2018.10.01

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2018.08.23

快速特急「洛楽」~観光列車『ひえい』乗り継ぎ(後編)

 11時23分、叡山電車の出町柳駅に到着。京阪電車の改札のすぐ外までは去年にも来ているのですが、叡電の駅については10年以上のご無沙汰のはずです(最後はたぶんこの時)。


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 土日祝日ダイヤだと、データイムは鞍馬行きと八瀬比叡山口行きが各々15分間隔で交互に発車。両系統が分岐する宝ヶ池までは7.5分間隔での運転となります。私が到着した時刻は、叡山電車の誇る2種の観光列車が続けざまに発車するという“フィーバータイム”。


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 まず先発していくのは、鞍馬行きの900系電車『きらら』。第1編成のデビューは1997年なので、そんな印象は微塵もないものの早くも20年選手です。ただ単に乗車するだけならばここまで乗ってきた11時20分着の洛楽がベストな接続となりますが、座席に座るとなるとこれでは明らかに出遅れる形に。今回は大阪・神戸方面からの日帰りにしてはゆっくり目の出発でしたが、これから貴船口・鞍馬方面へ向かう乗客は国内外からの遠征組も交えてまだまだ多いです。


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 そして、私のお目当てはこちらの『ひえい』。700系という昭和末期生まれの車両を大胆なデザインに大改造し、今年3月から営業運転を開始したばかりの観光車両です。正面の金色のリングをはじめとして随所に用いられている楕円の由来についてひえいのスペシャルサイトから引用すると、

叡山電車の2つの終着点にある「比叡山」と「鞍馬山」の持つ荘厳で神聖な空気感や深淵な歴史、木漏れ日や静寂な空間から感じる大地の気やパワーなど、「神秘的な雰囲気」や 「時空を超えたダイナミズム」といったイメージを「楕円」というモチーフで大胆に表現しています。

とのこと。デビューから半年も経っていないニューカマーながら、星の数ほどある日本の鉄道車両の中でもここまで強烈なインパクトを放つ車両はそうそう無いかと思われます。


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 微妙に角度を変えながら更に前面部を。2枚目の写真、乗降扉の右側にあるひえいのシンボルマークは、大地から放出される気のパワーと灯火を抽象化したものなのだそうです。にしてもこの金のリング、どうやってくっつけたんだろう……(それ考えると夜も眠れない~)


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 車体中央部。後ほど車内からの写真も掲載しますが、窓という窓がことごとく楕円形になっています。深みのあるグリーンの塗色と、阪急電車を彷彿とさせるツヤツヤの光沢感が素敵。写真に収める際にはマイナス補正推奨です。下部のストライプは比叡山の山霧をイメージしたものとか。


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 鞍馬行きホームから車両の全体像を。大まかなシルエットについては前面の「く」の字が曲線になった程度で種車とほぼ変わりありませんが、やはり金リングの効果は絶大です。余談ながら手前のホーム、昔の阪神春日野道駅ホームをも凌駕する異様な細さですね。点字ブロックは敷いてあるものの乗客の乗り降りに使われてはいないようですが、一応これも含めて4面3線ということになっています。


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 フルカラーLEDの行先表示器は、日本語(常時)と英中韓(切り替え表示)の4言語対応。


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 それでは車内へ。乗降扉の窓もやっぱり楕円です。種車からはドア(とドアエンジン)ごと交換されており、開閉音はとても静かです。


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 大先輩のきららは変則的な配置のクロスシートとなっていますが、ひえいが定期運用に就く出町柳―八瀬比叡山口間は約15分の短い行程ということで、こちらはロングシート。とはいえ非常に深い窪みのついたバケットシートが設置されており、一人分のスペースも心持ちながら広め。窓間の柱部分を使って設けられたヘッドレストも合皮製となっています。外観のインパクトにまず目を奪われる車両ではありますが、所謂「出オチ」ではなく居住性に関してもしっかりと配慮が払われているのには感心です。この辺はドーンデザインにも見習ってもらいたいところ。


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 中間部分には腰当てつきの立客スペースが。種車も2扉だったので、乗降扉を埋めた部分というわけではありません。


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 乗降扉と座席の間仕切り。


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 運転席は金リングを避けるためにやや中央寄りへと移設。今となってはクラシックな回転式のマスコン・ブレーキハンドルも健在です。


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 昭和63年製造、平成30年改造。700系は旧型の車両の走行機器を流用したうえで車体のみを新造して誕生した形式なので、足回りについてはもっと古いそうです。


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 照明は近年の鉄道車両ではもう定番になったと言っても良い、電球色のLEDダウンライト。


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 ひととおり内外装の観察を終えたところで、11時37分の発車時刻を迎えました。ひえいの運行スケジュールについてはスペシャルサイト(→こちらから)に時刻表が掲載されているので、チェックしての訪問をおすすめします。2018年8月現在のスケジュールでは火曜日が検査のために終日運休ですのでご注意を。

 比叡山方面への観光客輸送だけではなく沿線住民の足としての役割も担っているため、単行の車両では毎時8本の高頻度運転でも出町柳口はなかなかの混雑ぶり。鷺森神社・曼殊院・修学院離宮などといった観光スポットが点在しているためにこちらへの観光客の乗り降りも多く、車内の入れ替わりは頻繁です。すぐ上で書いたように車体こそ新車同様にリノベーションされているものの足回りは古いままなので、VVVF制御車のような滑らかな加減速は望むべくもなく。見た目と乗り心地の著しいギャップという点では、最近乗車した列車だと近鉄の『青の交響曲』もそうでしたね。

 全区間乗り通しても14分という乗車時間では、必然的に行程パートはあっさりとしたものに。今回の乗車では叡電全線に有効なフリーきっぷを使っているので終点までお付き合いしてもよかったのですが、出町柳での発車待ちの時間を入れたならば観察するのには充分な時間だったので、鞍馬系統と八瀬比叡山口系統が分かれる宝ヶ池で下車することに。電車に揺られた時間はわずか9分でした。デビューしたての観光車両ということで、私と同様に鞍馬直通の列車に敢えて乗らずにここで乗り継ぐという人も結構おられました。

【追記】
 尤も、乗車時間が短いということは一日当たりの運行本数が多い、つまりは訪問者のスケジュールに課す制約が小さいと言い換えることもできます。鬼怒川温泉エリアで走り始めた東武鉄道のSL<大樹>の片道の所要時間が30分強と短めなのも、乗車チャンスを増やすために敢えてそういった設定にしていると伝え聞いていますが、訪問の目的・動機にはなっても負担にはならないというのが、こういった観光列車に限らずこれからの観光資源全般に望まれる条件と言えるかもしれません。


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▲宝ヶ池でひえいを見送る


 叡電のジャンクション、宝ヶ池。右奥にひえいの種車になった700系が写っていますね。ちなみに手前のホームと線路は本当に曲がっており、このアングルだと魚眼レンズっぽく見えるのが面白いところです。


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 8分後に追いかけてきた鞍馬行きは、市街地区間を抜けてもこの混雑。さっきの『きらら』でさえここまで混んではいなかったのだけれど。


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 その観光客の相当数は、終点一つ手前の貴船口で下車していきます。SNSで拡散しまくられているせいか、最近貴船神社が国内外のツーリストの間で大ブームになっているそうで。とはいえ私も他人事ではなく、後刻鞍馬寺の奥の院からの帰りにココを通ることになるわけですが。なんだか今から気が重いな……。


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 かくして12時16分、終点の鞍馬に到着。貴船口からフリーきっぷを使わないで折り返し乗車するという行為を防ぐべく、到着した電車の車内にそのまま留まることは出来ない(=一旦改札を出場する必要がある)というルールになっています。乗車の際にも電車到着後、下車客が掃けて駅員の誘導があるまでホームに立ち入ることは出来ないという、地方でも自動改札機の普及に伴って姿を消しつつある列車別改札が、この駅の立地上の理由だとはいえ15分ごとに大々的に実施されています。


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 次回へ続く……かどうかは気分次第ということで。


«快速特急「洛楽」~観光列車『ひえい』乗り継ぎ(前編)

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