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2007.11.25

映画『白い船』

ここ最近は殆どテレビを見なくなって、ハードディスクレコーダに番組が溜まる一方だったのですが、一念発起し少しずつ消化を開始。手始めに8月にTVで放映されていた映画『白い船』を鑑賞しました。

<以降、作品の内容に言及した記述があります>




















この映画、実話を基にしたストーリーで、島根半島の小さな漁村にある、全校生徒わずか十数名の小学校が舞台。ある日、教室から海を見つめていた男の子が、沖合い遠くを通り過ぎていく白い船を発見。しばらく観察を続けるうちに毎回決まった時刻に通ることに気付きます。これに興味を持ったクラスメートと赴任間もない若い先生が、教員たちの協力を得て色々と調べていくうちに、この船が博多と直江津を結ぶ九越フェリーの定期航路、「れいんぼうらぶ」であることが分かります。先生の提案で「れいんぼうらぶ」の船長さんに手紙を送ったことがきっかけで、このフェリーと小学校の間での交流がスタート。やがて子供たちの間にはこの船に乗ってみたいという思いが募り始め、この事が地元の新聞で報道されたこともあり、教育委員会と父兄たちの後押しを得て、ついに乗船が実現します・・・

さて中身はというと、終始ほのぼのムード。ドラマチックな展開も用意されておらず(中盤にちょっとしたハプニングはありますが)、正直序盤から終盤近くまで間延びした印象はぬぐえません。

しかし、かといって退屈なのかといえばそうではなく、作品を通じて流れる純朴な空気こそがこの映画の魅力。悪人どころか邪魔するような人間さえも出てこず、大人達はひたすら真っ直ぐに子供達の希望を叶えるために尽力します。その登場人物たちの中で、私のお気に入りなのが校長先生。この計画の立役者は主人公の若い先生というよりはむしろ校長先生と言えるほどで、並々ならぬ情熱を持って計画を進めます。公共交通機関の船長さんに向かって、「30分だけ寄航して」とか「沖合いに船を止めてほしい。漁船で迎えに行くから」なんて、"常識人”の口からはとても出てきません(笑)。校長役の田山涼成さんの笑顔もとても素敵で、こんな先生と一緒に過ごすことの出来る子供達はとても幸せだと感じました。

そして普段の大人達の子供に対する視線も暖かなもの。子供たちは気軽に挨拶を交わし、大人もそれに笑顔で応える。これを甘ったるい理想像などと言うのは野暮なもの。私も小さな田舎町を歩いていて、子供に突然挨拶されうろたえた経験は何度もあります。

こういう話を聞くと、「もはや都会では失われてしまった人情が・・・」なんて枕詞がつい口を突いてしまいますが、私はそうは思いません。子供はいつの時代も生まれた時はまっさら。彼らがどう育つかは成長を見守る我々大人の眼差し次第で、それには都会も田舎も関係ありません。

クライマックスでは子供たちを乗せたフェリーが村に接近し、双方から大人も子供も交えて手を振り合う場面で山場を迎えますが、この笑顔が消えない限り、この国から人情はまた決して失われないと確信します。

というわけで、風景の美しさも相まって、途中で何度かストップボタンを押しそうにはなったものの(苦笑)、最後まで観て良かったなと思う作品でした。島根は私のルーツでもあり、鳥取とよく混同される不遇な県ではありますが、小泉八雲も魅せられたレイクサイドシティ松江市をはじめ、良い雰囲気が随所に残っていますよ。一畑電車とか。主人公の先生の通勤経路が、ちゃんと松江温泉駅(現在は松江しんじ湖温泉駅)→平田市駅(これまた現在は雲州平田駅)→バスで塩津小学校、となっていたのも、鉄道ファンにはポイント高いです。こういう部分、他の映画だと適当にお茶を濁したりするのも多いですからね。ご当地もの、町おこしものといえば、福岡県になりますが玄界灘に浮かぶ小島、姫島を舞台とした「ここに、幸あり」という映画があり、こちらも小品であるもののしっとりと心に残る作品でした。

日本は海洋国でありながら、普段の生活であまり船を意識することはなく、関心も低いですが、船の旅もいいですよねぇ。いつかまた乗船する機会があればいいのですが。


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