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2008.09.09

フランス (2-2)近郊列車でプロヴァンへ

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《プロヴァン行き列車の発車標》

Transilien/LigneP Paris Est(07:45)→Provins(09:14)

改札を抜けて16番ホームに出ると、低運転台でぬぼっとした表情の列車が発車を待っている。4両編成の列車の側面には両引き3扉が並び、一見ありふれた近郊型電車のようだが、実はこれはプッシュプルタイプの客車。しかも牽引する機関車はディーゼル機関車で、まるでインターシティを思わせるような余所行きの香りがプンプンと漂ってくる。

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この列車は「Transilien(トランジリアン)」と称されるパリ首都圏の近郊鉄道網の一員で、RERとの違いはまず都心部に直接乗り入れず、長距離列車が発着する地上ターミナル駅を始発・終着としていること。そしてRERよりも更に遠方(一部はイル=ド=フランス地域圏外)へ路線を延ばしていることである。メトロやRERと同様に特に固有の路線名は付けられておらず、アルファベットで系統を区別するようになっている。緑の木の葉に白抜きでTの文字が書かれたマークが目印だ。

TransilienもRERと同様に二階建て車両が主力となっているが、プロヴァン行きの列車は平屋の車両。何故か車内の照明が点いておらず不気味なほど薄暗かったのだが、発車間際になってようやく点灯した。今日は週末でもあり、世界遺産の町へ向かう列車らしく観光客風情の乗客もそこそこ見受けられたが、それでも4両に分散するとガラガラである。

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《車内の様子。左側のスペースはトイレ》

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《座席の間には木製の立派なひじ掛けが》

ヨーロッパの駅らしからず「ジリリリリリ」とクラシカルな発車ベルがけたたましく鳴り響き、列車は定刻通りプロヴァンへ向けて出発する。線路が複雑に絡みあうパリ東駅の構内をのっそりと抜け出た途端、解き放たれたように加速を開始。強馬力のディーゼル機関車にとってたった4両のステンレス製の客車は軽い荷物でしかないのか、瞬く間に時速百数十キロのスピードに達してしまった。この系統にはRERのE線が途中まで完全に並行しており、緩行線の役割はそちらへ譲って当方はパリ郊外の住宅街をノンストップで豪快にすっ飛ばしていく。標準軌の威力か堅固な地盤の賜物なのか、かなりの急曲線にも一向にスピードを緩めることもなく果敢に突っ込み、その度にググっと強烈な遠心力が掛かる。そして次々と目まぐるしい速さで飛び去っていく途中駅。新快速をも遥かに上回るスピード感に思わず顔がニヤけてくる。

実は前日撮影したデジカメ写真をPCに転送した後に削除するのを忘れていて、出発後しばらく一枚一枚削除する作業に追われていたのだが(今日のと混じっているので一括削除が出来ないため)、15分程で作業を終えて車窓に目を転じると、いつの間にやら都会らしい風景はパタッと途絶え、戸建てがパラパラと点在する緩やかな丘陵地へと変わっていた。

RER-E線の末端近く、Gretz Armainvilliers(グレッツ・アルマンヴィリエ)でCoulommiers(クロミエ)方面へ向かう線路から分岐すると、頭上からは架線が消える。それでもパリとシャンパーニュ地方の主要都市であるトロワとを結ぶ重要幹線なので高規格の複線は続き、朝靄の立ち込める大平原を疾走していく。

パリ東駅から約30分、ようやく最初の停車駅・Verneuil-l'Étangに到着(8時17分)。あの大都会パリからこれだけの時間で来れるとは俄かに信じられないほどの田舎駅で、ちょっと狐につままれたような気分である。この後も長閑な田園風景の合間に10分前後毎に駅が現れ、駅前にどでかいサイロがあったりと農業国フランスを印象付けるような風景が展開していく。

8時47分、Longueville(ロングヴィル)に停車。手元の時刻表によると、この駅で9時03分まで16分の停車を行うようなので、一旦ホームに降りてみることにする。構内は広く駅の外れには大きな機関区もあるが、微かにディーゼル機関車のアイドリング音が聞こえるだけの本当に静かな駅で、清らかな空気に心が洗われていくようだ。

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《ロングヴィル駅ホーム》

車内へ戻ってホームと反対側の写真を撮っていると、同じ車両にいた車掌さんが「外に出て撮るといいよ!」みたいなことを言って反対側のドアをプシューと開けてくれた。あ、そっちも開くんだ・・・ こちら側のホームにはパリ行きの列車を待つ人が十数人。こんな静かな駅に佇んでいると、ここからたった1時間で行けるパリがとてつもなく遠い場所のようにも思えてくる。

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《機関区》

そのパリ行きの列車が入線してくると間もなく当方の列車も再出発。進行方向が変わり、重軌条から一転して単線の細道へユサユサと踏み出していく。ここまで来ればプロヴァンはすぐそこ。列車のスピードと比例して駅の間隔もぐっと短くなり、ローカル鈍行と化したこの列車にパリ郊外を爆走していた時の面影は既にない。

スーパーマーケットの裏手を走ったりと久々に町らしくなり、9時14分、終着駅プロヴァンに到着。パリから1時間半の行程は、メリハリの効いた思いの外楽しい旅路であった。

(2008.04.05)

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<付録>パリからプロヴァンへ列車で行くには

【1】
列車の本数はそう多いとは言えないので、まずは時刻表を入手しておきましょう。

トランジリアン時刻表
http://www.transilien.com/web/site/accueil/etat-trafic/fiches-horaires

上のページにアクセスして Réseau Paris Est → Pと辿り、プルダウンメニューから Paris Est - Longueville - Provins を選んで「Télécharger」のボタンを押下すると、PDF方式の時刻表のダウンロードが始まります(往復のものがセットになっています)。ちなみにInternet Explorer以外のブラウザではうまくDL出来ないこともあるようです。

【2】
ファイルを開いたら、まずはそれぞれの列車の一番上の欄に書かれている「LS」とか「SD」という文字に注目。この路線は平日こそそこそこの本数が確保されていますが、土曜日になると大きく減ってしまい、日曜・祝日となると更に少なくなってしまいます。この文字は運転日を表しているので、駅に行ってみたらその列車は運転されない日だった・・・ということがないように、事前にしっかりと確認しておきましょう。

空欄 = 毎日運転
D = 日曜・祝日運転
DV = 土曜運休
LS = 日曜・祝日運休
LV = 土曜・日曜・祝日運休
S = 土曜運転
SD = 土曜・日曜・祝日運転

【3】
プロヴァン行きの列車は、パリ東駅(Paris Est)から直通の列車と、グレッツ・アルマンヴィリエ駅(Gretz Armainvilliers)でRER-E線と乗り換えになる列車の2種類があります。時刻表を見ると、パリ側の駅名欄は

Paris Est/Magenta

となっているのがお分かりかと思いますが、各列車のうちパリ発/パリ着の時刻が黒文字で記されているのはパリ東駅から(へ)の直通列車です。一方、赤文字で記されているのは、パリ北駅至近に位置するMagenta駅から(へ)のRER-E線の発車(到着)時刻となり、この列車は必ずグレッツ・アルマンヴィリエで乗り換えとなります(終点ではないので注意!!)。ちなみにこのRER-E線はMagentaだけではなくサン・ラザール駅そばのHaussmann St Lazareからも乗車できます(パリからプロヴァンへ向かう場合は、Magenta駅の発車時刻から4分マイナス)。

【4】
切符はパリ市内のどのメトロ・RER駅からでもプロヴァンまで通しで購入できます。駅窓口のほか、「Ile de France」と書かれた自動券売機でもOK。大人正規片道運賃は10ユーロ程(Paris Est経由でもMagenta経由でも運賃は同額)ですが、「Mobilis」というパリ首都圏の一日乗車券を利用すると若干割引になります(ゾーンは1-6を選んで下さい)。ほか、26歳未満限定となりますが土曜・日曜・祝日のみ利用できる「Ticket Jeunes」を使えば更にオトク。

今回はプロヴァンへ向かうケースを説明しましたが、他のイル=ド=フランスの近郊の町へ出掛ける際にも応用できると思います。

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