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2008.12.11

フランス (4-12)TGV東ヨーロッパ線(ボードルクールJCT~ストラスブール)

私の乗車している13号車の隣にはバー・カー(ビュッフェ車)が連結されているので、特に用はなかったが旅の無聊を紛らわそうと足を踏み入れてみる。品揃えとしてはワインをはじめとしたアルコール類にソフトドリンク、軽食にチョコレートバーなどのお菓子といったところ。カウンターは小さいながらも色とりどりの商品が整然と並べられ、旅の高揚感に後押しされてつい手を伸ばしてしまいそう。

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カウンター横の喫食エリアは殆どが立ち席になっているが、狭いスペースとはいえ満員御礼。パリ~ストラスブール間は僅か2時間20分、なにも窮屈な座席にじっと固まっていなくとも、ドリンク片手に雑談でもしているうちにあっという間に着いてしまうことだろう。

13号車に戻り客層をざっとチェックしてみると、見るからにビジネスマンという風体の人は少数派で、カジュアルないでたちの旅行者が大半である。例えばパリ~リヨンやパリ~マルセイユといった大都市同士を結ぶ路線ならばもっとビジネス需要の比率が高いのだろうが、ストラスブール都市圏の人口は45万人程度。1等車とはいえ気安ささえも漂い、東海道新幹線グリーン車のように会議室の延長みたく重苦しい空気は皆無である。瞼を閉じてまどろむ人も多く、静まり返った車内には乾いた走行音だけが響いている。

パリを出て随分経った頃、まったりとした雰囲気に包まれた車内に車掌さんが登場。きっぷを拝見・・・である。検札の様子を眺めていたところ、セルフプリント乗車券を差し出したのはどうやら私だけ。本人確認の為、しっかりとIDの提示(外国人の場合はパスポート)を求められた。これでは譲渡や転売は不可能だろう。それにしても、普段気軽にメモ代わりに使っているインクジェット用紙が8千円の価値をもつ金券として機能しているというのは、何となく不思議な感じである。

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東へ驀進を続けているうちに天候は猫の目のようにコロコロと変化し、時には雨粒が窓を伝う場面もあったが、高速新線に入っておよそ1時間、パリから約300kmの距離にあるボードルクール近郊のジャンクションで在来線へ。実は東ヨーロッパ線は2008年現在まだ全線開通しておらず、ボードルクール~ストラスブール間は在来線の走行となる。全線開業の暁にはパリ~ストラスブール間は更に1時間50分にまで短縮されるそうだ。もっとも、ストラスブール以外のフランス国内各都市へ向かう系統はここまでの間に全て高速新線を抜けてしまうので、これらの都市にとっては完成したも同然なのだが・・・

在来線に下りると、線路の通行方向がいつの間にやら左側通行から右側通行へと変わっているのに気付く。SNCFはTGVも含めて原則として左側通行なのだが、普仏戦争後のドイツ領時代に線路が複線化されたアルザス・ロレーヌ地方では、ドイツと同じ右側通行となっている。空気を切り裂くような激走こそ影を潜めたが、高規格の複線は続き、時速百数十キロをコンスタントに保ちながらきびきびと走っていく。景色こそ大して代わり映えはしないが行く手には踏み切りも現れ、ローカル色の濃くなった車窓と呼応するように、心なしか車内と車外の距離が近くなったような気がする。

ロレーヌ地方とアルザス地方の間にはヴォージュ山脈が立ちはだかっており、列車は今にもせせらぎが聞こえてきそうな狭い谷間へ分け入り、右へ左へ小刻みにカーブを切っていく。それでも大幹線らしく大幅に速度を落とさざるを得ないような急曲線は存在しないようで、なかなかの速度を維持したままカーブに突っ込み、その度にググっと強い遠心力を感じる。振り子列車を向こうに回しての見事なスラローマーぶりだ。

高速新線内にはなかったトンネルを抜け、アルザス平原に出るといよいよラストスパート。勢いを取り戻した列車は直線主体の線路を200km/hにもなろうかという速度で駆け抜けていく。それなりの規模の集落も沿線に増え、都市圏が近づいてきたことを実感する。

実に2時間ぶりに到着を告げる車内放送が入り、ゴソゴソと起き出したり荷物を整理したりと車内がざわつき始めると間もなくスピードが落ちた。最後はしずしずと徐行しつつ、ストラスブール駅のドーム屋根の下へ。18時43分、定刻通りの到着である。ステップを降りてホームに立つと、空気がひんやりと冷たい。

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【動画】TGV東ヨーロッパ線・動画クリップまとめ
     (前のエントリに貼り付けた動画と同じものです)

ここストラスブール駅もTGVの開業を契機に大改装工事が行われ、じっくりと眺めるとなかなか面白いのだが、19時までにホテルへチェックインしておきたいのでとりあえず先を急ぐ。駅前広場から右斜め前方の通りをしばらく進んでいくと路面電車(トラム)の走る通りに出てくるので、左折してすぐの場所が予約してある「Hotel Restaurant Pax」。ネット上で評判が良く、『地球の歩き方』を持参すると宿泊料を10%割り引いてくれるというのがこのガイドブックを選んだ理由である。もっとも、あらかじめ予約メールで交渉済みだったので、提示は求められなかった。

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《Hotel Restaurant Pax 外観》

チェックインを済ませて部屋に落ち着くと、時刻は午後7時過ぎ。まだ日没までにはもう少し時間があるので、ホテルのすぐ近くのプティット・フランスまでふらっと散歩に出掛けることにした。

(2008.04.07)


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