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2009.04.08

ドイツ (4-6)ニュルンベルク・ドイツ鉄道博物館その2

1F(日本式では2F)は戦後から国土の東西分裂の時代を経て、統一ドイツ誕生前夜の1989年までの歴史を概観していくコーナー。そしてドイツの近代史を語る上では決して避けて通ることの出来ない、ナチスドイツについての展示もこのフロアで扱っている。ナチスを題材にした書物や映像作品などはそれこそ世に溢れているが、ここでは鉄道とナチスの関わりという、鉄道博物館ならではの独特な切り口で迫っていく構成となっている。

ナチスドイツを扱ったメディアといえば、それこそ善と悪のコントラストが鮮明になっているというイメージが強いものだが、ここでは極めて冷静に・・・というより淡々と学術的な解説に徹している。なかでもとりわけ目を引いたのは、ナチス時代に構想が練られていたという、線路幅が4~5mはあろうかという超広軌鉄道。現代でも「走るホテル」というのは豪華寝台列車の代名詞となっているが、こちらは本当にホテルの建物がそのまま線路の上を走っている…と言っていい位の巨大な車両の模型が置かれており、一目見た時、「ドラえもん」で秘密道具を使い、自宅を線路の上を走らせて海水浴に行くという話を真っ先に思い出した。

ナチスドイツの話題といえばやはり負の側面ばかりがクローズアップされがちだが、アウトバーンの整備に代表されるように少なからず“功績”もあるわけで(原動力が軍事面からの要請であるにせよ、鉄道技術が飛躍的に発展したのもこの時代)、この超広軌鉄道計画も実現していればどれだけ夢のある話だったことだろう。この博物館でもナチスドイツのセッションはかなり大きく、とかく腫れ物に触るように扱われがちな「自国の負の歴史」をこれだけ大々的に、しかも公正に語られているのには舌を巻かずにはいられない。同じ敗戦国でも、背景を無視した感情論に走る日本の歴史教育とは雲泥の差である。

敗戦後の国家分裂と共に、ドイツの鉄道網も西ドイツ側の西ドイツ国鉄DB(Deutsche Bundesbahn)と東ドイツ側の東ドイツ国鉄DR(Deutsche Reichsbahn)に分断されることに。その後は我が国の国鉄と同様に、自動車や航空との競合にさらされながらも鉄道は国の経済・産業の礎としてその発展に大きく寄与することになる。鉄道貨物の斜陽化により、既に日本国内では全廃されている操車場(ヤード)の仕分け作業の様子が館内のビデオで放映されていたが、高速で走ってくる貨車の車輪に制動靴を噛ませたり(火花が火花が~!)、走行中の貨車にピョンと飛び乗ってブレーキを掛けたりと、現代では考えられないほどの危険を伴う作業だったようである(キオスクやJR時刻表でお馴染みの鉄道弘済会も、元々は鉄道の現業従事者の傷病補償のために創設された組織)。

やがて東西ドイツは1990年に統一を果たし、それに遅れること4年、1994年にはDBとDRが合併し、新生ドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)が誕生することになる。今では元東ドイツ国鉄の機関車が旧西ドイツ地域に所属していたり、あるいはその逆もあったりと、かつての分断国家時代の面影はすっかり払拭されてしまっている。そして21世紀、ドイツ、そしてヨーロッパは高速鉄道網拡充の時代を迎え、留まることの無い進化を続ける鉄道は新たなステージへ・・・

と、一通りお勉強を終えたところで、小さな子供がICEを模した車に乗って遊んでいる部屋へ。ここにはとある田舎の村に鉄道が開通し、年月とともに町と鉄道が発展を遂げていくという、絵本の「ちいさいおうち」を髣髴とさせるようなジオラマが展示されている(こちらは絵本とは異なり、町の発展が完全に“善”として描かれていますが)。

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隣には鉄道模型のジオラマの部屋もあるようだったが、今のところ運転される気配がなさそうだったので、今回はパス。2Fは企画展示室となっており、1970年代の西ドイツ国鉄の利用促進キャンペーンらしい「Go easy, Go Bahn」(JNRのディスカバー・ジャパンみたいなもの?)の資料展示、そして一昔前の車両の模型がズラっと一堂に会した大部屋が。クリーム色を地色としたくすんだ赤や青の塗装とか、今では野暮ったくも思えるカラーリングも、これはこれで重厚感があっていい味を出しているかも。私も子供の頃から外国の車両には興味を示していたので、「そうそう、昔絵本で見た車両はこんな感じだったよね~」と懐かしみつつ眺めていた。

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時刻は午後3時半、入場してから早くも2時間が経過しようかという頃である。というわけで先程は後回しにしておいた屋外エリアへ。

(2008.04.12)

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