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2009.10.21

四国62h (1-3)四国山地の懐へ

特急しまんと1号 坂出(06:19)→大歩危(07:23)

「瀬戸の花嫁」の入線メロディと共に、2000系気動車の《しまんと1号》が非貫通先頭車を先頭にホームへ入ってきた。3両というミニ編成ではあるが半室グリーン車が設置されており、辛うじて特別急行列車としての面子を保っているかのようだ。高知県のほぼ西端に位置する中村まで足を延ばすので、高松からの走行時間は4時間にも及び、新幹線網が伸張した現代ではかなりの長距離列車の部類に入るだろう。

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先頭車両である1号車の前側に設置されたグリーン車区画へ。アッパークラスの貫禄十分のどっしりとした座席が横3列で並んでいるが、1990年に量産車が登場して以来内装のリフレッシュは一切行われていないため、登場当時の原型を完全に留めている。うば桜は言い過ぎとしても随所に傷や塗装の剥げが見受けられ、国鉄型車両の無骨なインテリアから今一つ抜けきらない印象も相俟ってか、さすがに疲労の色は隠せない。もっとも、一番驚いたのはグリーン車にもかかわらず床がカーペット敷きではなくリノリウム仕上げだという事だったのだが。

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指定された席は2番のCだったが、ご覧の通りガラガラなので、最前列の1番Aへ移動。デッキとの仕切りがガラス張りになっているので、運転室を通して前面展望を楽しめる「簡易展望席」になっているのだ。席に落ち着いて間もなく車掌さんが車内改札にやって来たが、大歩危までの指定券を見せると、「大歩危駅には駅員がおりませんので、そのまま改札を通って下さいね」との一言が添えられた。省力化が進んだ結果とはいえ、特急停車駅で無人駅というのはやはりどこか不可思議なものが。

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《多度津までの複線区間を走行中》

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《多度津に到着。一番左の4番線に入線》

予讃線の複線区間の末端である多度津に到着。土讃線の起点であり、ここから先は予讃線・土讃線ともに単線となる。左カーブを描いて予讃線に別れを告げると、讃岐平野の西辺を一直線に南下。琴平までは電化区間だが、電化費用を低廉に抑えるために架線は直接吊架という方式が採用されており(路面電車によく使われる方式)、構造上高速走行には適さないために、気動車特急が120km/hで走れる一方で電車は最高速度が85km/h程度に抑えられるという、ある意味逆転現象が起きている。

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《多度津~琴平の土讃線電化区間。架線の構造にご注目》

琴平はこんぴらさんの愛称で親しまれる金刀比羅宮の最寄り駅。この列車は高松発なので車内に大きな動きはないが、岡山方面からやって来る《南風》の場合だと、この駅でごっそり下車してしまう光景も珍しいものではないそうだ。4年前、高松琴平電鉄の乗り潰しの帰りにこの駅を利用した経験があるが、流石に全国にその名を轟かせる古社の玄関口だけあり、並々ならぬ風格を纏った駅舎だったのを覚えている。

琴平で高松都市圏の近郊区間は終わり、ここから先は普通列車の本数が激減。頭上からは架線が消え、いよいよ讃岐山脈の山越えに挑んでいく。沿線の家並みが疎らになるのと呼応して列車は丘陵地帯を縫って走るようになり、ぐっとローカル風情が濃くなってきた。そしてこの車両の振り子機構が本領を発揮するのもここから。車齢20年近いベテランとはいえ、気動車としては世界で初めて実用化に成功した制御式振り子列車という栄誉は、デビュー時そのままの力強い走りの前に聊かも色褪せることはない。


【動画】グリーン車最前列席からの前面展望。小刻みにカーブを繰り返しながら勾配を上り詰めていきます

讃岐財田付近からは狭い谷間に分け入り、程なく突入する猪ノ鼻トンネル(長さ3845m)で讃岐山脈のサミットをクリア。トンネルを出ると間もなく差し掛かる坪尻駅はスイッチバック構造の駅として知られ、周囲に人の香りが全くない秘境駅としてもその筋の人々には有名である。当方の列車は発着線の一段上を通る本線を、左に大きく車体を傾けつつ豪快に通過。様子を窺う間もなく一瞬のうちにホームが飛び去って行ってしまった。2日後にもう一度この区間を通過するので、その時はもう少し注意を払って見てみようと思う。

そして列車は土讃線指折りのハイライト区間へ。池田の町が広がる山峡の盆地へ向けて、180度のダイナミックなカーブを交えながら一気に山腹を滑り降りていく。進行方向右側に座っていれば眼下にそのパノラマが開け、その様子はさながら滑走路への最終アプローチにかかる着陸機のようだ。吉野川を渡る橋梁上で何故か黄色信号に引っかかってしまったものの(【追記】徳島行きの普通442Dが佃を通り過ぎるのを待っていたようです)、徳島線と合流する佃を経て、阿波池田には定刻どおり到着した。

ここで上り特急の始発便である岡山行き《南風2号》と行き違うが、この編成はアンパンマン列車。ボディにはアンパンマンに登場する主要キャラクター達が所狭しと描かれている。この列車についてはせいぜい外観のラッピング、そして車内にシールが貼られている程度なのだが、後日図らずももっと強烈なバージョンの列車に乗り合わせる羽目になる。

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阿波池田を出ると吉野川中流域の渓谷沿いに走り始め、線形はより一層険しさを増す。防災面からの要請もあり段階的に線形改良は行われているものの、戦後まもなくの土讃線全通当初から受け継ぐ隘路がベースであることには変わりがない。昔、幼稚園の頃に新居浜から高知への家族旅行でこの区間を通ったことがあり、現在は名前だけが高知以遠の区間特急列車の愛称として細々と残っている、キハ58系の急行《あしずり》に乗車した。当時は観光アナウンスにも力が入っており、四国山地を抜ける区間のトンネルの総数まで教えてくれた記憶がある。あれから20年を経て劇的なスピードアップ、そしてアコモデーションの向上を実現した土讃線の優等列車だが、こういう何気ないサービスが鉄道旅行の味わいをより一層深めてくれるもので、是非とも復活を希望してやまない。

断続するトンネルの合間から小歩危峡・大歩危峡の景勝をチラリ、チラリと見やり、7時23分に到着する大歩危駅で途中下車。「祖谷のかずら橋」を模した吊り橋のミニチュアが迎えてくれるホームに降り立つ。《しまんと1号》に続き阿波池田行きの普通列車が発車してアイドル音が消えると、今度はそばを流れる渓流の音と蝉時雨が辺りを支配するようになった。

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(2008.07.19)


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