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2009.10.28

四国62h (1-8)ごめん・なはり線オープンデッキ車両 Part3

安芸駅を出発。ここから先は21世紀に入って初めて鉄道の開通した区間となる。後免を出発した時点では満員御礼だったオープンデッキも、先へ進むにつれてひとり、ふたりと姿を消してゆき、デッキに根を張っているのはとうとう私一人だけになってしまった。自然の風を充分受けられる(というか充分過ぎるほど)とはいえ30度を優に超える外気温。そして後免からの走行時間もそろそろ1時間になろうかという所なので無理もないが、こちとらこの列車に乗りたくてわざわざ宝塚から遠征してきたわけで、終点までお付き合いするつもりで半ばヤケクソ気味に粘ることにする。

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伊尾木を過ぎると再度海が近付いて来る。高知の都市圏からは大分遠ざかり、もうこの先は町らしい町も少なくなるので、風景もぐっと長閑さが増してきた。

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唐浜駅手前を最後に線路は内陸へと入っていき、今度こそ海とはサヨウナラ。11時50分到着の安田は安田町の中心駅であると共に、ここから山間部に入った馬路村の玄関口でもある。

馬路村は人口1,000人余りの小さな村ではあるが、今や柚子の名産地として夕張のメロン並みに全国区のブランド確立に成功した、「町おこし・村おこし」の優等生。夕張がかつて炭鉱の町だったように、馬路村も日本三大美林の一つに数えられる杉の一大産地であり、昭和中期まで国内屈指の規模の森林鉄道が山奥から田野や奈半利の貯木場へ向けて伸びていた。海岸部からの唯一の交通手段として旅客輸送も行っていたが、道路の開通に伴いその役目を終え、現在は村内の2ヶ所に保存鉄道として復活を遂げているそうだ。いかんせん路線バスの便が少なく、ごめん・なはり線と絡めての訪問は困難を極めるのだが、また機会を改めて訪れてみたいものだ。

線路沿いにはビニールハウスが目立ちはじめており、中ではナスやミョウガ、ピーマンなどが栽培されているとか。道程も終盤に入り、もう見どころも無かろうということで冷房の効いた車内へ。高知から1時間半立ちっぱなしだったわけで、達成感は十分である。ちょっと驚いたのは末端区間、しかも正午前後という中途半端な時間にも拘らず、座席が大方埋まっていること。海岸沿いに走る区間の多い恵まれたロケーション、阪神タイガース春季キャンプの観客輸送、そしてやなせたかし氏という日本を代表する児童文学作家の強力なバックアップを得ているわけで、地方のローカル線としては好材料が多く、抜けるような南国の青空にふさわしい活力を感じる路線である。開業フィーバーに沸いた初年度以外は赤字が続いているということだが、今後の健闘に期待ということで。

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11時58分、高架橋がポツンと途切れたところで終点の奈半利に到着。1面1線の棒駅は終着駅と呼ぶにはあまりにも呆気ない幕切れで、室戸岬を廻って牟岐線へとつながる見果てぬ夢の残り香を漂わせているようだった。後免~奈半利間は42.7km、大人片道運賃は1,040円となり、地方三セクとしては運賃水準はかなり低く抑えられていると言って良いだろう。(つくばエクスプレスの同距離の運賃は900円)

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《奈半利駅に停車中の列車(13時06分の列車で折り返す際に撮影)》

階段を降りて地上へ。ごめん・なはり線の各駅では高架駅には多くの駅でエレベーターが設置されており、地上駅でもホームへのスロープが設置され、バリアフリーと高齢者対応にも(完璧ではないものの)配慮がなされている。線内を走る車両にはすべてトイレが付いているのも、四国のローカル列車事情からすると異例である。

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《奈半利駅・駅舎》

こちらは奈半利駅のイメージキャラクターである「なは りこちゃん」。このように線内20の全ての駅(後免駅含む)にやなせ氏考案によるキャラクターが設定されている。アンパンマンだけで二千近いキャラクターを生み出しているやなせ氏のこと、たかが20体など片手間に過ぎないのかもしれないが、人間の創造力の偉大さをひしひしと実感させられる。

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近隣の観光地としては『「モネの庭」マルモッタン』という、パリ近郊のジヴェルニーにあるモネの自宅の庭を再現したスポットが存在する。この年の春にオランジュリー美術館で『睡蓮』の連作を鑑賞してきたこともあって興味があったのだが、駅からは少々離れていてバスに乗り継いでいかなければならず、今回はごめん・なはり線各駅から徒歩圏内の散策を優先したかったのでパス。幕末から近代にかけて造られた建物や石塀が残る奈半利の街並みを散策することにし、駅舎1Fの観光案内所に立ち寄って観光マップをゲットする。

時刻は正午。さあて、炎天下でぶっ倒れぬよう、気合を入れて参りましょうか…

(2008.07.19)

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