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2009.10.31

一般道の法定最高速度を80キロに引き上げ&コミュニティ道路を新設

いささか泥縄という気がしないでもないですが、形骸化した法律にもとうとうメスが入るようです。


『<一般道路>規制速度17年ぶりの見直し 生活道を独立』

 警察庁は29日、道路の規制速度の決定方法を見直し、生活道路を一般道から独立させて新たな道路区分として原則時速30キロに制限するなどの新基準を示した。バイパス道路など走行上の危険が少ない道路も新区分とし、法定最高速度(60キロ)を上回る70キロか80キロとした。規制速度の見直しは17年ぶり。

 現行の規制速度は、歩道の幅や信号機の数などの項目を係数化した「標準規制速度算出表」を基に各都道府県の公安委員会が決定していた。新方式は、国勢調査を基に一般道のある地域を市街地と非市街地に二分。車線数や中央分離帯の有無などを考慮して12パターンに分類し、40キロ▽50キロ▽60キロ--の基準速度を決めた。これを目安に、各都道府県警が住民らの意見を参考に管内の道路を点検、公安委が最終的な規制速度を決める。11年度末までに大方の作業を終える見通しで、原則、基準速度からプラスマイナス10キロの範囲で収まるよう求めた。

 警察庁によると、全国の202路線を対象に検証したところ、92路線(46%)で現行より基準速度が上回り、各地で規制速度が見直される可能性もある。ただ、交通事故の多さや通学路など基準速度を補正する要因も同時に示されているため、最終的な予測は難しいという。

 一方、生活道路の選び方は、地元住民や道路管理者の市町村らが協議して判断。該当する場合は原則30キロに抑える。幅5.5メートル未満の道路での事故は、08年には19万3316件で全体の25%。5年前に比べ約1万4800件減ったものの、同時期に事故全体は約18万6000件減少しており、生活道路対策が急務と判断した。【千代崎聖史】(2009年10月29日・毎日新聞)


道路交通法といえば、日本で2番目くらいに破られる回数の多い法律だと思いますが(1番は労働基準法)、その中でも規制速度(制限速度)は最たるもの。国内に数千万人いるドライバーで完璧に遵守して走っている人は、まあまず居ないでしょう。それなりに裏付けのある設定なので決して無意味だとは考えていませんが、少なくとも実情には合っていない規制だったわけで、見直しもごく自然な流れでしょうね。私の近所の高架バイパスなんて、正直に60キロを守って走っているとまるで止まっているような感覚ですし(笑)。

実際に80キロにまで引き上げられるのは、歩行者とは完全に分離されたバイパス道路だとか、北海道のように何もない原野の中を走る道路といった、安全性が担保された条件に限られるでしょうが、数十年前と比べるとクルマの走行性能や安全性能も飛躍的に向上しているわけで、私個人の感覚では他の道路についても一律10キロの引き上げならば全く支障がないように思えます。例外は道幅が狭くて歩行者用のスペースが充分確保出来ない場合だとか、市街地や集落の中を抜ける区間などで、この場合は据え置き、もしくは規制速度の引き下げも検討されてしかるべきでしょう。

要するに実効性および妥当性のある法律にすることが大事で、危険箇所ではしっかり速度を落とし、問題ない場所では現代の車両性能に応じた速度を認めるという、メリハリのきいた運転を法律サイドからも保証しなければならないわけで。現状のように見通しの良い直線で“ねずみ捕り”を行うような取り締まりは国民の反感を買って当然です。思うに、この60キロという上限が地方の無駄な高速道路建設の遠因にもなっていると私は分析しています。なにも道路を新設しなくても、従来の国道を高規格化すれば事足りる程度の流動である地方も多いはずなので。

20080409154131もう一つは生活道路の選定についてですが、こちらは特に目新しい概念ではなく、例えばドイツではVerkehrsberuhigter Bereichという名称で既に浸透しており、専用の規制標識も設定されています(右の写真。こちらはゾーン解除の表示)。沿道の住宅や施設に用事のある車両以外、つまり通過するだけの車は進入してはいけないという意味ですね。日本各地でも渋滞が慢性化している幹線道路を避けて生活道路を抜け道として使う車が増え、地域住民が脅威にさらされている様子が報道されたりしますが、このように明示的に設定すれば法律で取り締まることも可能。制限速度も30キロに限らず、20キロや10キロでも構わないでしょう。道路の主役はあくまで歩行者なわけですから。

まあ、現在の法律だとドライバーのほぼ全員が“検挙者候補”の立場に甘んじなければならないわけで、あまりに遅きに失した感はありますが今回の改正の方針には諸手を挙げて賛成ですね。合理的な走りを推奨すると共に、その一方で所構わず速度を出すようなアンポンタンはビシバシしょっぴいてほしいと思います。


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コメント

   北海道在住の71歳です。

 海外で運転して日本の道路を走るとやたら標識と反射材がまぶしく、また安全施設と称するガードレールや、注意書きが目に入ります。
そのほか北海道より直線でなくとも、郊外はほとんど100㎞以上の規制です。

 また北海道の道路は単調で直線も多く、免許をとって50年以上ですが、早くから取締が厳しいことが気になっていました。

 最近譲り車線を走っていると、80㎞位で先行していった車を、覆面が160から170㎞と想像できるスピードで遙か彼方から追尾し、真後ろに着くや回転燈とサイレンを鳴らして停車させています。
地元警察署のPRでは6割の死亡事故は「居眠り」か「脇見運転」とか。
これってゆっくり走った人が事故を起こしているのでないでしょうか。

 ご参考までに、これでも60㎞でないとパトカーのレーダーに捕まるというところのURLを記します。場所は別海町です。

  http://www.geocities.jp/yfcsh619/Rt272photo.jpg
  http://www.geocities.jp/yfcsh619/Rt272Map.jpg

初めまして。コメントいただきありがとうございます。

私は生憎海外での運転経験はなく、ヨーロッパの道路(主に一般道)を路線バスで通った程度なのですが、確かに市街地や集落内では50km/h以下、郊外では100km/h以上と、合理的な速度設定がなされていた記憶があります。翻って日本だと、例えば国道でありながら集落の中を抜ける狭い道など、いつ物陰から子供や動物が飛び出してきてもおかしくないような、標示速度で走っていても危険を感じる、明らかに道路環境と釣り合っていないような速度設定に戸惑うこともままありますね。

ご指摘の北海道の事例ですが、少し古い資料(2003年)になりますが(http://www2.ceri.go.jp/jpn/pdf2/k-gt-200310-oubeisyokoku3.pdf)、こちらの記述によると事故件数あたりの死亡事故率は全国平均の約2倍ではあるものの、一方で走行台キロあたりの事故件数は全国の半分以下とのことです。死亡事故を類型別に見ると、人対車両の事故を除けば正面衝突の割合が圧倒的に高くなっていますが、これは私の推測ではあるものの、非市街地で線形も極めて良好ながらも60km/h前後をきっちりと守って走っている車両に追い越しをかけ、対向車線を高速で接近してくる車両と衝突する、というケースが最も多そうな気がします。相対速度が高いためにしばしば悲惨な事故となり、それが「北海道では事故が多い」というイメージに繋がっているのでしょうね。警察側の論理からすると「最高速度の引き上げは更なる死亡事故件数の増加を助長する」ということなのでしょうが、むしろ道路環境と乖離した速度設定が無理な追い越しを誘発している、と分析することもできますし、そもそも現実問題としてこのケースによる重大事故が多発しているはずで、現状維持が最適解だとはとても考えづらいですね。人間の集中力も速度とは関係なく、時間経過とともに逓減していくわけですし、60km/hでダラダラ走るよりも飛ばしてさっさと目的地に到着してしまった方が、却ってリスクは少なくなるのではないかな、と。

URLを張っていただいた場所についてもそうなのですが、少なくとも現行の「ネズミ捕り」ではドライバーを疑心暗鬼に陥れるばかりで、事故防止の機能は全く担っていませんよね。かくいう私も信号も交差点もないバイパス道、しかも100km/hが許容された高速道路にぴったりと並行した道で、覆面パトカーに23km/hオーバーで捕まった経験があるので、この種の理不尽さは骨身に沁みて体感しています(笑)。その反面、本質的な課題である、遵法意識の低い危険な運転者を徹底的に排除するという法整備の方向性へはいっこうに動かないのですから、何ともはや…。アメリカのスリーストライク法ではありませんが、違反を繰り返す運転者には軽微な違反でも重い処罰を科す、という制度を設けても良いのでは、と考えていたりします。まぁ、てんかんの発作だの亀岡の無免許運転だの、全体からすると瑣末な事例にばかり囚われる国民性からすると望むべくもない、というところですが。長文失礼いたしました。

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