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2009.12.28

キングオブ廃線跡~晩秋の武庫川渓谷にて~・その3(福知山線旧線跡)

三部構成の第三回です。最初のページはこちら


第二武庫川橋梁をはさんで、矢継ぎ早に長尾山第一トンネル(長さ306.4m)へ突入。長尾山トンネルといえば、2001年に阪急山本駅と宝塚市西谷地区とを連絡する目的で開通した市道トンネルを、私もよく通ることもあってまず思い浮かべます。宝塚市北部に連なる山地を長尾山山系と呼び、このトンネルの名称もそこから由来しているようですが、この2つのトンネルの位置関係はそれぞれ宝塚市の西端と東端になり、地元の人間としては若干の違和感が。

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《長尾山第一Tから第二武庫川橋梁を振り返る》

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《同トンネルの三田側出口》

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《同トンネルの三田側ポータル》



トンネルを出てちょっと歩いたところで宝塚側を振り返ると、神戸市最北端に位置する千刈水源池(千刈ダム)から宝塚市街の西端を経由して西宮市の上ヶ原浄水場へと通じる、「神戸水道」の導水管が川を渡っているのが見えます。神戸市街に上水道を供給するために大正時代に建設された水路で、ほぼ全区間をトンネルで通過する難工事だったそうです。

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《トンネルの右に見えるパイプが神戸水道》

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《三田方面を向いて》

数多あるビューポイントのうち、白眉なのはやはりココでしょう。武庫川が雄大なカーブを描き、視界が一気に開ける地点です。

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ここまで来れば武田尾駅までは残り1.5kmほど。この辺りからは「親水広場」「展望広場」「桜の園」といった具合に市によって公園として整備されたエリアとなり、秘境の雰囲気はぐっと薄まります。長いトンネルも無い為、武田尾駅から往復するだけでも気軽に廃線跡の雰囲気を味わえるので、お弁当を持ってピクニックというのもお奨めです。

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《(上2枚)燃えるような紅葉。公園にて》

もう武庫川の流れもだいぶ穏やかになっています。すぐ先に出口の光が見える長尾山第二トンネルを抜け、切り通しを通過。

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最後のトンネルをくぐると、川の流れの向こうに武田尾の集落が視界に飛び込んできます。

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《最後の長尾山第三トンネル(三田側坑口)》

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《集落が見えてきました》

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《終わりまでしっかりと枕木が》

兵庫県道327号・切畑道場線に接続する駅前通りへ。ここは旧線時代の武田尾駅構内にあたり、道幅が異様に広いのも行き違い設備が存在した名残です。ちなみに武田尾駅と宝塚市西谷地区を結ぶ阪急田園バスがこの道を通り、同地区からのパークアンドライド用の駐車場も設けられていました。道路を横切っているパイプは上述の神戸水道。

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道草を食いながら歩いて、生瀬駅から丁度2時間で武田尾駅に到着しました。

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コースとしてはこれでおしまいですが、廃線跡は舗装道路と化しながらももう少しだけ続いており、新線の橋をくぐってしばらく行ったところにある「草山トンネル」が真のラストのトンネル。

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《(上2枚)草山トンネル》

現在の武田尾駅構内です。山深い土地ながら、昼間でも15分間隔で7両編成の新型通勤電車が発着する、「秘境駅」の異端児的存在です。

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遊歩道やサイクリングコースとして整備された廃線跡はたくさんありますが、これだけ原型を残した廃線跡というのは全国でも珍しく、産業遺産としても貴重なものです。しかしながら廃線から20年が経過し、設備の老朽化も進んで、とうとうJR西日本がコース閉鎖を検討するような情勢にまで発展しています。


 西宮、宝塚両市にまたがる人気のハイキングコース、JR福知山線廃線跡(約5キロ)について、JR西日本が西宮市に管理などを打診したところ、財政難を理由に断られていたことが分かった。打診のきっかけは昨年起きたハイカーの転落死亡事故。JR西は「安全に責任が持てない」と封鎖も検討したが、ハイカーの反対などで断念。暫定措置として転落防止用の柵などを新調した。(木村信行)

 福知山線は1986年、複線電化に伴い生瀬-道場駅間が現在の線路に付け替えられ、旧線は廃止された。

 貴重な植物が残り、美しい四季の変化を楽しめる武庫川渓谷沿いだったことから、跡地利用がなかった生瀬-武田尾間はハイカーが次第に増加。98年には宝塚市が武田尾駅から南約1キロの廃線跡をJR西に無償で借り、自然公園「桜の園」として整備したことから、ハイキングコースとして人気が高まった。

 西宮市側の約4キロは現在もJR西が管理しており、立ち入り禁止。コースの入り口には「事故が起きても責任は負いません」と記した看板が掲げられ、老朽化の進むトンネルや橋りょう、柵も補修されてこなかった。

 ところが昨年8月、ハイカーの男性(61)が西宮市側の廃線跡から約6メートル下の川岸に転落、死亡する事故が発生。宝塚線の脱線事故を受け安全対策を問われていたJR西は対応を検討し、土地を無償貸与する条件で西宮市に整備、管理できないか打診した。

 これに対し同市は「維持管理費など負担が大きい」と拒否。JR西は廃線跡封鎖も検討したが、数億円に上るという工事費などがネックとなって見送った。その後、9月に「立ち入り禁止」の看板を新設。老朽化した柵も約5000万円かけて計約1キロにわたり新しいものと交換した。

 「これで十分とは思わないが、何もしないわけにもいかず…」とJR西の担当者。

 一方、市民ハイキングを主催する「櫻守の会」の男性(76)は「ハイカーの自己責任に委ねたらいいこと。将来的には自然公園として県などに整備してもらえれば」と話している。(2009年11月02日・神戸新聞)


私も「ハイカーの自己責任」というスタンスを支持する一人ですが、福知山線脱線事故以降、JR西日本も安全対策にはナーバスになっているので、宝塚・西宮両市への管理の引き継ぎの話がまとまらなければ、いつ閉鎖になってもおかしくない状況です。むしろこれまでの20年間、通行を黙認してくれたばかりか最低限の補修まで施工してくれたJR西には感謝すべきですが、気になってはいるもののまだ未訪問の方がおられましたら、なるべく早めの訪問を強くお奨めします。

(2007.11.30)

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コメント

おはようございます。

福知山線の旧線、学生時代客車列車に乗って通った記憶があります。

また関西で行きたい場所が1つ増えました!

ぞうさんこんばんは。
つい20年前まで単線非電化のローカル線だったのに、今や朝のラッシュ時間帯には3分毎に電車が走るようにまでなり、その変貌振りには驚くばかりですね。私も現役時代の様子を一目だけでも見てみたかったものです。廃線跡のハイキング、秋の紅葉ももちろんのこと、春の桜の季節もなかなか良いみたいですよ。

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