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2011.12.24

タイ (1-2)ひとりぼっちのエアポート・レール・リンク

というわけで空港連絡鉄道、『エアポート・レール・リンク』で都心方面へ向かう。この路線は試験運行を経て2010年に正式開業したもの。本来は2007年頃に開通するはずだったのだが、高架線の橋脚の強度不足が発覚し(早い話が手抜き工事)、そのままズルズルと延期が繰り返されたという、タイらしいエピソードを経てきている。

運行形態だが、都心側の終着駅であるパヤータイ(Phaya Thai)駅でバンコク・スカイトレイン(BTS)と、その2駅手前のマッカサン(Makkasan)駅でバンコクメトロと接続しており、それぞれの駅と空港駅とをノンストップで結ぶエクスプレス便、そして他に5駅ある途中駅を含めて各駅に停車する、空港駅~パヤータイ駅間運行のシティラインの3本立てという陣容となっている。2011年12月2013年7月現在、空港駅発の列車は概ね、

●スワンナプーム~パヤータイ間のエクスプレス
  終日30分間隔 終日60分間隔
●スワンナプーム~マッカサン間のエクスプレス
  終日40分間隔 終日60分間隔
●スワンナプーム~パヤータイ間のシティライン
  平日ラッシュ時12分間隔15分間隔、平日閑散時間帯および土日祝日20分間隔

というダイヤになっている。お気付きの方も居られるかもしれないが、なぜエクスプレス便のパヤータイ発着列車とマッカサン発着列車をわざわざ系統分離しているのかがよく分からない。これらを「空港駅~マッカサン駅~パヤータイ駅の3駅停車」に統合してそれぞれの運転間隔を実質的に倍にすれば、利便性の向上と共に時間帯が合わなかった為にシティラインに流れるという「機会ロス」も減らせるはずなのだが、タイ国鉄傘下という「国営企業」ゆえ、こういうマネージメントを真面目に行う気がないのだろうか。

*弊ブログでは地名・駅名には原則的に現地語を併記するようにしていますが、当方タイ文字の読み書きが出来ませんので、代替策としてローマ字表記を併記することとします。

まあそれはともかくとして、窓口でチケットを購入してパヤータイ行きエクスプレスの出発ホームへ。エクスプレスとシティラインのホームは完全に分離されており、車両も別々のものが使われている。パヤータイまでの運賃はエクスプレスだと150B(=390円)、シティラインだと45B(=120円)と結構な差があるが、エクスプレスに関しては年末までのプロモーション価格として90B(=230円)に値下げされている。昨年開業したばかりの新線にも拘らず、チケットは磁気化されていないただの紙、そして改札はホームへ通じるエスカレーターの手前でオバチャンがチケットのモギリを行うという、何とも原始的なシステムである。

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《エクスプレスの期間限定ディスカウントチケット。パヤータイ駅で下車時に回収されてしまった》

スワンナプーム~パヤータイ間のエクスプレスは今年の6月に新設されたばかりの系統で、先発列車は6時ちょうどに都心方面行き列車のトップバッターとして発車する便。というわけでこの時間までに到着した航空便をすべて受ける形となるのだが、発車5分前の時点でホームにも車内にも人影がまったく無い。そういえば先ほど駅構内へ入っていった乗客は皆シティラインのホームを目指していたが、やはり高い運賃を敬遠しているのか。
【2013-07-06追記】
現在はシティラインが始発(平日6時02分、土日祝日5時52分)。パヤータイ行きエクスプレスの始発は6時30分に繰り下げられています。

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《エクスプレスのホーム。人影なし》

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《エクスプレスの乗降扉(ホーム側から)》

続いて車内の様子を。ボックスシートと進行方向向きor逆向きの固定クロスを適当に組み合わせた配置となっており、シートの座り心地は固く肘掛けも省略されており、床全体にカーペットが敷かれているものの全体的に簡素な造りである。車両自体はドイツのシーメンス社製であるが、どこかイギリスの新型特急列車の雰囲気が漂っている。空港連絡鉄道なので勿論荷物置き場も用意されているが、車内スペースの割合としては少なめなのが気になるところ。

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《エクスプレス車両の車内全景。人影なし》

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《貫通路付近》

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《ボックスシート部分》

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《進行方向向き/逆向きシート部分》

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《乗降扉(車内から)》

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《荷物置き場》

6時ぴったり、アナウンスも何も無く、扉がスーッと閉まって発車となる。地下駅を抜け出るとそのまま高架に上がっていくが、まだ窓の外は闇である。すぐに空港エリアを抜けると車輪の音をきしませながら大きく左カーブを切り、あとは都心までひたすら真西へ一直線。実は高架の足下にはタイ国鉄東本線の非電化単線線路がぴったりと並行しており、マッカサン駅を経てバンコクの中央駅であるフアランポーン駅まで続いている。ちなみにこのエアポート・レール・リンク、現在タイ国内では唯一、架線集電による電車が走る路線となっている(BTSとメトロは第三軌条集電)。

このエクスプレス、最高160km/h運転を行うということだが、景色が見えないせいかスピード感が感じられない。それでも途中駅のホームはかなりのスピードで飛び去り、少なからず始発電車を待つ人の姿が確認できた。出発前にエアポート・レール・リンクの昼間の側面展望をYouTubeで閲覧してきたのだが、空港側の沿線は田園地帯が主体ながらも新興住宅地がポツポツと点在し、通勤輸送もまた兼ねているのだろう。この様子だとシティラインの始発列車は空港からの乗客との混乗でかなりの乗車率になるのではなかろうか。

そんな郊外の途中駅をすべてスキップしていくエクスプレスの車内は、走行音以外には物音ひとつしない静寂を保っているが、さすがに新車らしく静粛性は高いものの、気になるのがユサユサという横揺れ。この揺れが高速走行中の全区間に渡って続き、新線ならではの滑るような乗り心地を味わうことが出来ない。橋脚の強度不足もさることながら、軌道敷設の精度もなおざりなのだろうか。とても開業2年目の新線とは思えない乗り心地にまたも「トホホ」である。

車窓をぼんやりと眺めているうちに、電車はあれよあれよという間にビル群の谷間へ。60km/h程度にスピードを落としてマッカサン駅を通過する。この駅には香港のエアポートエクスプレスと同様に、スワンナプーム空港出発便のシティチェックインが出来る施設が設けられているが、航空会社が今のところタイ国際航空とバンコク・エアウェイズに限定されており、実用性が極めて薄い。ダイヤにせよ乗り心地にせよ、世界でも最後発の空港連絡鉄道にしてはお粗末な部分がとかく目に付く路線である。

6時17分、東の空が明るくなり始めた頃、終点のパヤータイ駅に到着。やはりホームに降り立った乗客は私一人だけであった。空港からの所要時間は17分、路線長は28.6kmなので表定速度は丁度100km/hと、スピードに関してはエクスプレスの名に恥じない走りっぷりである。空港→都心は私の一人旅だったものの、折り返しとなる空港行き列車にはかなりの数の乗客が乗り込んでいった。

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《マッカサン駅に到着したエクスプレス》

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《エクスプレス車両のフロントマスク》

ちなみにこれは余談であるが、パヤータイ駅西のホームの外れはそのままプツッと高架線が途切れており、簡易的な車止めがポツンと置いてあるだけで、突き破ればそのまま十数メートル下の地面へ真っ逆さま。恐らく私自身はもう二度と乗車することはないだろうが、タイというお国柄、「電車が車止めを乗り越えて転落事故発生!!」というニュースが入ってきても、「あ~、やっぱりね」という反応をしてしまいそうなのが怖い。

次回はスカイトレインでホテルへ移動します。

エアポート・レール・リンク 公式サイト
http://www.srtet.co.th/en/index.html
(英語版にリンク。時刻表も掲載されています)

※空港駅・マッカサン駅・パヤータイ駅ではエクスプレスとシティラインの改札が別々の上、どちらが先に発車するかの案内もないようなので(エクスプレスがシティラインを追い越すことはありませんので、先に出た列車が終点まで先に到着します)、予め時刻表で乗る電車を決めてから駅へ向かうことをお奨めします。

【2013-07-06追記】
エアポート・レール・リンクのダイヤが大幅に変更になったので、最新の情報に更新しました。エクスプレスが両系統とも60分間隔に減便されたため、シティラインが先発列車になる時間帯が格段に増加しています。なお、エクスプレス・シティライン共、所要時間に変更はありません。

(2011.12.09)


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