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2012.03.07

タイ (3-5)2,000kmの旅のはじまり~フアラムポーン駅にて

さて、ここまでバンコク滞在中の出来事を長々と書き綴ってきたが、ようやく今回の旅の本題であるマレー半島縦断のスタート地点、フアラムポーン(Hua Lamphong)駅に立つことになった。ここは12本の発着線を持つタイ国内最大、そして東南アジア最大の鉄道駅。一部のローカル列車を除いてバンコクを発着する列車は全てこの駅を始発・終着としており、東京駅と上野駅と新宿駅の機能を全て併せ持つような首都の中央駅である。

駅舎内へ入る前に、外観の写真を撮ろうと駅前広場に出てみた。100年前の1910年に造られた駅舎が今でも大切に使われている。

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《フアラムポーン駅・正面外観》

駅の周辺は繁華街ではないので高い建物はなく、旅人目当ての安食堂や木賃宿が目立つのみ。東京のターミナル駅3駅のうちでは上野駅が最も近い印象といえる。

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駅舎内へ。壮大なドーム屋根の駅舎はドイツのフランクフルト中央駅をモデルに設計されたそうだ。近距離列車も頻繁に発着する上野駅やフランクフルト中央駅とは違い、フアラムポーン駅は中・長距離列車主体の駅。そして列車の発着は朝夕に集中しているため、首都の玄関口の役割を一手に担う駅でありながら今の時間は人の流れは少なく、落ち着いた雰囲気である。各種ショップや飲食店も充実しており、早く着き過ぎたところで暇つぶしには事欠かないだろう。

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LEDの発車案内板によると、14時45分発の国際特急(International Special Express)35列車・バターワース行きは5番ホームからの発車となっている。つい先日までタイ北部方面へ向かう列車は洪水の影響で迂回運転を行っていたが、この日は既に全列車が平常運転に戻っていた。

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ちなみに乗車券だが、マレーシアまで行く国際特急は1日1往復で車両数も少ないため、乗車当日や前日では入手は難しいとのこと。というわけで3週間前くらいに現地の旅行会社を通じて手配してもらい、一昨日のホテルのチェックインの際に受け取るという段取りになっていた。運賃は2等エアコン寝台下段で1,210B。日本円で約3,000円である。旅行会社を通すと発券手数料として20%が加算されるので、実際の支払い額は約3,600円となった。チケットは後述する理由で手元にないため、画像をお見せできないのが残念である。

駅を少しうろついているうちに早くも発車20分前。5番ホームへと進む。フアラムポーン駅ではヨーロッパの駅と同じく、乗客でなくともホームには自由に出入りできるようになっている(昔は一応ホーム入り口で乗車券のチェックを行っていたようですが)。丸屋根のドームの下で発車を待つ長編成の列車。タイ国鉄の路線は全線非電化なので、駅構内にはディーゼルエンジンの音が絶えず響き、排気ガスの匂いが満ちている。もっと早く来て駅をあちこち見て回っておけばよかったのにな…と、少し後悔。

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で、今夜のお宿となるのはこちらの列車。

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列車の種別としては特急ということになるが、その中でもバンコクとタイ第二の都市・チェンマイ間を走る特急1・2列車と並び、通常の特急料金に更に20Bが加算される、特別扱いの列車である。そしてバンコクを発着する列車で国境を越えるのも定期列車では唯一この系統のみで、名実共にタイ国鉄のフラッグシップトレインという位置付けとなっている。終着駅バターワースへの到着時刻は翌日12時55分(*注)、所要時間は途中国境駅での入出国審査の為、1時間の停車時間を含めて、21時間10分である。
*注:マレーシア時間。タイより1時間早い。

もっともバンコク~シンガポール間にはオリエント急行のアジア版、イースタン&オリエンタル・エクスプレス(E&O)という化け物列車が一月に1~3往復運行されており、こちらが真の花形列車ということになるだろうか。とはいえこういう超豪華列車の乗客というのは加齢臭が漂い出す頃になってようやくサマになるのであって、ハネムーンならまだしも、20代や30代ではたとえ乗車料金を工面できたところで、荘重な雰囲気の中で思い切り浮いてしまいそうな気がする。

列車は10両編成。そのうち先頭の1両は荷物車、中ほどの1両は食堂車なので、客室部分は8両である。しかもそのうちバターワースまで足を延ばすのは先頭寄りの2・3号車のみで、残りの6両はタイ南部地方の中心都市・ハートヤイ止まり。出発間際のチケット入手が困難な理由がお判りいただけただろうか。最後尾には2人個室の1等寝台が連結されているが、バターワースまで行くのは2等エアコン寝台の客車のみ。最上位種別らしく、どうやら全車両がエアコン付き寝台の豪華編成のようだ。

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《指定された車両まで延々と歩く》

一旦乗車する車両を通り過ぎ、先頭の機関車へ。国境までの約1,000km、よろしく頼みますよ!

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こちらが指定された車両。2号車の16番寝台となっている。

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さていよいよ車内へ――と乗車口に向かおうとしたところで、何やら妙な若い男が「チケットを見せて!」とにじり寄ってくる。チラと券面を見たところで、「これが2号車だよ!」と。うん、そんなコト分かってるよ。そして私のキャスターバッグを勝手に担ぎ上げて車内へ入り、私の寝台まで来たところで「これがキミの場所だよ!」 うん、番号書いてあるから見れば分かるよ。どうやらチップ稼ぎが目的のお節介野郎のようだ。別に数十バーツくらい惜しくもなんともないのだが、素直にホイホイ払ってしまえば益々図に乗るだろうし、他の旅行者の迷惑を考えると望ましい行動とは言えない。そういう訳で一応コップンカップとは言っておいたものの、その後は一切目を合わせずにガン無視。そのうち諦めて去っていったのだった。ヨーロッパのように発車間際の盗難事件が日常茶飯事、というわけではないだけまだ平和ではあるが、このような不審者を締め出すためにもホーム入り口での改札は復活させた方が良いのではなかろうか。もっとも、フアラムポーン駅は地上駅なので、構内へは駅の周りから簡単に侵入出来てしまい、効果は全く見込めないかもしれないが。

で、こちらが車内の様子。中央通路を挟んで線路と平行に寝台が並ぶ、「プルマン型」と呼ばれる配置となっている。日本の寝台車だと開放式A寝台に相当するのだが、バンコク~バターワース間1,149kmの運賃が特急・寝台料金込みで3,000円なのに対し、日本のそれは寝台料金「だけ」で10,500円である。今は座席の状態となっているが、夜になると係の人がセッティングを行ってくれるそうだ。

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座席モードの場合、4人掛け相当のボックスシートを2人で使うことになるのでスペースはゆったり。座る場所は寝台番号によって指定されているが、幸いにも進行方向を向いた側だった。荷物は座席の下に収納できるようになっており、念のため100均で買っておいたダイヤル式のチェーンでくくりつけておく。いかにも頼りなさげなチェーンだが、車内の治安は全く問題なさそうなので、牽制効果があれば十分だ。

発車5分前くらいになって、私のボックスの向かいに上段寝台の乗客がやって来る。インドかパキスタンあたりの人だろうか、褐色の肌の物静かな青年で、理知的な雰囲気を漂わせている。彫りが深いこともあって、なかなかハンサムだ。目が合ったので「どうぞよろしく」と軽く会釈。静かな旅を楽しむのには最高の同道者である。寝台列車の乗車券には名前と性別が記入されており、異性の他人同士が同じボックスの上下寝台にアサインされることが無いように配慮されているようだ。通路をはさんで隣のボックスには、2~3歳くらいの男の子を連れた若い西洋人の夫婦。タイ国鉄唯一の国際列車の車内は、やはりワールドワイドな顔ぶれである。

14時45分、ほぼ定刻ぴったりに列車はそろりと南へ向けて一歩を踏み出す。シンガポールまで1,900km、3本の列車を乗り継ぐ34時間の長い旅が始まった。

(2011.12.11)

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