タイ (3-6)国際特急列車の車窓から・Part1
というわけでいよいよ出発。タイ国鉄の路線は北本線・南本線・東北本線・東本線の四大幹線を軸にしており、いずれもバンコクが起終点となっているが、フアラムポーン駅出発直後は4路線ともひとまず北ヘ向けて針路を取る。
列車はホームを離れた時からずっと小走り程度の鈍足で進んでいるが、これはフアラムポーン駅の北側にスラム街が存在するため。車窓のすぐそばを家屋や商店がかすめていく。バンコクの約900万の人口のうち、スラム人口は100万人を優に超えるそうで、都市の暗部どころかこうして外国人旅行者の目にも容易に触れるようになっている。だからといってバンコクという街の印象に何か変化を及ぼすというものでは決してないのだが。後方の食堂車からは出発直後からおばちゃんがやって来て、夕食と朝食のメニューを配布して回っているため、私も一枚。
駅から2kmほど進んだ所で、早速東本線の線路が東へ向けて分岐していく。といっても私の席は進行方向左側なので、実際の分岐の様子は見ることは出来なかったが。線路は立体化されておらず、長編成の列車はクルマの奔流を堰き止めつつ大通りをゆっくりと横切っていく。
10分強で最初の停車駅・サムセン(Samsen)に停車。バンコクの官庁街・ドゥシット地区の北の外れに位置する駅で、王室一家の住まいである宮殿もすぐそば。しばらくはこうしてバンコク市内の駅にこまめに停まっていくことになる。
更に10分ほどでバーンスー(Bang Sue Junction)駅に到着。北/東北本線との分岐駅で、このような複数路線の分岐駅では、英国風に駅名に「Junction」と加えられている。バンコクメトロとの接続駅にもなっており、将来的にはバンコクのサブターミナルの機能を持つことになるのだろうか。
《バーンスー駅にて》
バーンスー駅を出てしばらくすると、我が南本線の路線は西へ向けて分岐。線形の関係で、南へ向かう列車は北→西→南と大回りすることになる。線路は相変わらず地平を走っているが、現路線に沿って複線分の立派な高架橋が建設中だった。この区間は2014年をめどに都市鉄道として生まれ変わるとのこと。北/東北本線の方も高架化工事が進展しており、大都市としては著しく鉄道整備の遅れたバンコクではあるが、いよいよ本格的に動き始めたようだ。
分岐後間もなく、チャオプラヤー川を鉄橋(ラーマ6世橋)で渡る。フアラムポーン駅からは相当北上しており、都心の高層ビル群がはるか遠方に霞んで見える。
15時25分頃、バーン・バムルー(Bang Bamru)着。フアラムポーン駅を出発して既に40分が経過しているが、実はこの駅、フアラムポーン駅とは直線距離にして7kmほどしか離れていない。途中チャオプラヤー川を横切るとはいえ、もしフアラムポーン駅で列車に乗り遅れそうならば、そのままタクシーを飛ばしてこの駅へ向かえば間に合う可能性が高いということか。なんだか飯田線や大船渡線のアレを思い出してしまった。
《バーン・バムルー駅にて》
更にしばらく進んだタリンチャン(Taling Chan Junction)駅で、王宮地区の対岸に位置するトンブリー(Thon Buri)駅からの線路と合流。かつてタイの西や南方面へ向かう列車はこのトンブリー駅を発着していたが、チャオプラヤー川への架橋後は長距離列車はフアラムポーン駅に集約。現在は比較的短距離の列車が中心に発着しているが、それでもタイ南部地方の入り口まで足を延ばす列車が昼行・夜行で一日二本運行されている。
タリンチャンは通過し、サラヤ(Salaya)でフアラムポーンからは丁度1時間。ようやく、と言うべきか、いよいよバンコク首都圏を抜け出し、列車は地方へと入っていく。
(2011.12.11)
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