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2012.03.16

タイ (3-7)国際特急列車の車窓から・Part2

次の停車駅はナコーン・パトム。デジカメ写真のタイムスタンプによるとサラヤ駅の手前あたりではあるが、まだバンコク都内を離れるか離れないかのうちに、早くも大洪水の痕跡を目の当たりにすることとなった。最初は溜め池か何かだと思っていたのだが、その真ん中から木が生えていたり、電話ボックスが半分水に浸かっていたりと、最早疑う余地がないほど明白。線路敷すれすれまで水が迫っていた箇所もあり、南本線は洪水発生期間中もほぼ完全に平常運転を維持していたとはいえ、結構ギリギリの状況でもってどうにか凌ぎ切ったようである。

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列車はこの辺りからいよいよ特急列車らしくスピードを出しはじめる。10両編成の列車は荷物車と食堂車を除いて韓国大宇(DAEWOO)社製のステンレス客車で構成されているが(2号車は1996年製)、固定窓の冷房車は気密性が高く、速度を上げても走行音があまり車内に響かないのはさすが客車列車。むしろクーラーの動作音の方が気になるくらいである。揺れもそれなりにあるものの流石に四大幹線の一翼、マハーチャイ線のガタガタの線路とは比較にならないほど保線状態は良好だ。車内改札も行われたが、『タイ鉄道旅行(岡本和之・著)』に書かれていたように、「若い車掌と年配の車掌が二人一組で、まるで儀式のように切符の内容を読み上げながら」ではなく、やって来たのはおじさんが一人だけ。それでも券面の記載内容を声に出してつぶやきながら手元のチェック表に書き入れていったのだった。

16時15分頃、ナコーン・パトム(Nakhon Pathom)に到着。時刻表よりは数分遅れてはいるが、これならばまだまだ定時の範囲内だろう。この町はタイ最大の大仏塔があることで知られており、駅からも歩いてすぐのようだ。もしかしたら列車からもチラッと見えたのかもしれないが、注意していなかったせいか見逃してしまった。

この駅での停車中に、食べ物の売り子が何人か車内に乗り込んできた。タイの鉄道ではお馴染みの光景だそうだ。固定窓なので窓越しに販売することはできず、停車時間も短いので、呼び止める間もなくササーっと通り過ぎていく感じである。とはいえまだ夕食には早い時間なので、売れるとしたらおやつ程度だろうか。

ナコーン・パトムを出発したあたりで最初のトイレに立つ。2号車には男女共用で和式と洋式が一つずつ設置され、いずれも垂れ流し式ではあるが、トイレットペーパーが用意されているし、清潔さも問題ない。また、洗面台に手洗いソープが置かれていたのは意外だった(わざわざ日本から「手ピカジェル」を持ってきたのです)。アコモデーションレベルに関しては、日本のブルートレインと同等に近いと評価してよさそうだ。

立ったついでに車内を少し散策。国境を越える2・3号車は乗客構成が国際色豊かである以外は特筆すべきもない風景であるのに対し、ハート・ヤイで切り離される4号車以降となると、やや雑然とした雰囲気に変わるとともに通路に巨大な荷物がデーンと置かれていたりと、外国人旅行者御用達の国際列車であると同時にまた大衆列車でもあるという一面を垣間見ることができる。

ずんずん歩いて編成の中ほどにある食堂車へ。フアラムポーン出発から1時間半、早くも仕事に一区切りついた乗務員がテーブルを囲んでいる。私も後ほどこの食堂車のメニューにお世話になるが、実はわざわざここまで足を運ぶ必要はない。

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ノーン・プラドゥック(Nong Pladuk Junction)でタイ中部の地方都市・スパンブリーへ向かうローカル線、そして第二次世界大戦中に日本軍によって建設され、タイ~ビルマ(現・ミャンマー)間を結んでいた泰緬鉄道の名残であるナムトック線(映画『戦場にかける橋』の舞台となったクワイ川鉄橋がこの路線の途中にある)を分けると、ここまで西へ進んできた列車はいよいよ南へ向けて方向転換。以降、ひたすら赤道を目指して走っていくことになる。

ところで何度か書いているようにこの車両は冷房車なのだが、運賃とは別にエアコン料金を徴収しているためか、ガンガンに冷房を効かせている。私も乗り込んですぐにジャケットを羽織らざるを得なくなったのだが、“原発ヒステリー”“節電ヒステリー”に染まる日本では、少なくとも公共スペースではもう向こう数年は体験できないほどの強烈な冷気である。さすがにコートを引っ張り出すまでには至らなかったが…。ちなみにタイ国内には原発は1基も存在しないので(経済成長を受けて2020年頃を目標に導入計画が持ち上がっていたが、福島第一原発の事故を契機に大幅見直し)、反原発の急先鋒の方はいっその事タイに移住されてはいかがだろうか…と、必要以上に不安を煽る手合いに向けてこう皮肉りたくなる。そういえば以前香港のホテルに連泊した際、ハウスキーピングの度に冷房の温度設定が最低(18度C)まで引き下げられていて困惑した…ということがあったっけ。

17時過ぎに到着したラッチャブリー(Ratchaburi)は、バンコク郊外では最も著名な水上市場・ダムヌンサドゥアク水上マーケットの近くにある町。バンコクからも日帰り見学ツアーが組まれ、最も賑わう朝に間に合わせるために早朝にバンコクを出るプランが定番だそうだ。それにしてもフアラムポーンを出てからそろそろ2時間半が経過しようというのに、未だにバンコク郊外という括りにある地域をウロウロしているとは。新幹線ならば同じ時間で東京から京都まで行けてしまうではないか。

というわけでまだマレー半島に足を踏み入れてすらないのですが、続きはPart3で。

(2011.12.11)



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