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2012.03.24

タイ (4-1)目覚めれば…

日付が変わり、断続的ながらも眠りに就く。途中、停車のショックで目が覚め、ホームでは真夜中にも拘らずかなりの音量で案内放送がかかってはいたが、遮音がしっかりしているので車内にはほとんど響いてこない。そして通過駅でも「ぽっぽや」が当方の列車を見送ってくれるのは、昼間でも丑三つ時でも同じ。鉄道の運行が数多くの人々によって支えられているというごく当たり前の事が、省力化の進んだ先進国の鉄道では実感が薄くなってしまった。保線状態の差か、南下するにつれて振動が激しくなったのは、気のせいだろうか。

夜行列車にしてはそれなりに満足に眠れ、何処かの停車駅にて二、三度目かの“覚醒”。まだ夜は明けていないのだが、やけに車内が騒がしい。夜行列車には防犯のために鉄道警察官が同乗しているそうで、昼間にも無線での交信を耳にしていたのだが、この時間からガーガーピーピーとやっている。これは徒事ではないな…とカーテンを開けて通路を覗き込むと、なんと乗客がみな降りる支度をしているではないか。茫然とする私に通路にいた乗務員が、クルマのハンドルを動かすジェスチャーをしてくれる。一言も言葉を交わしてはいないが、何らかの原因で列車の運転が抑止され、バスでの代行を実施するのだろうということはすぐに理解できた。突然のアクシデントで車内はバタバタしているが、私はとりあえずトイレへ。垂れ流し式なので本来は駅での停車中に使用してはいけないのだが、この非常事態なので仕方がない。トイレの前には短い列まで出来るほどで、後に列車が去った後にはかなりの量の「落とし物」が残されることにはなるが…。

ステップに足を掛け、未明のホームに降り立つ。駅名票を目にし、初めてここがパッタルン(Phatthalung)という駅だということが判明。空気には雨上がりのようなじっとりとした感触と匂いがある。この時季ほぼ一滴も雨の降らないバンコクとは気候も大きく異なるようだ。

20111212060135s

時計を見ると午前6時。時刻表によればこの駅は既に1時間前に出発しているはずなのだが。ホームは列車から追い立てられた人々か、それともバンコク行きの上り列車を待っているのか、早朝とは思えないほどにごった返している。

それにしても10両編成、客室部分の正味では8両分の乗客を一気にバスで運ぶのだから、相当な台数のバスの手配が必要になるのではないか。仮に1両につき36名と考えると、列車はほぼ満席だろうから8両で約280名。駅舎から駅前広場をのぞいてみると、もう2台のバスが乗客を乗せつつ待機しているものの、とてもこれでは追いつかない。

長期戦になりそうな予感で待合室のベンチに腰掛けてはいたが、やはり尻が据わらない。そういえば駅前広場に停まっているバスは一向に動き出す気配が無さそうである。そんなわけでとりあえず様子を見に行ってみることに。地面には幾つも水溜りが出来ており、今もどうやら霧雨が降っているようだ。帰国後にニュースで知ったのだが、タイ北部・中部では乾季への移行に伴い洪水が終息へ向かっていたこの時期、今月下旬頃から今度はタイ南部で大雨が続き、新たに洪水が発生したとのことだ。未曾有の大厄災に見舞われた国からやって来た旅人にとっては、とても他人事だとは思えない。

1台目のバスは満席だったので、後ろの2台目のバスへ近寄ってみる。まだ若干ながら空席があるようだったので、荷物室にバッグを預け、車内へ。とにかく手当たり次第に掻き集めたのか、非冷房なのに加え、前の席の人の後頭部をつぶさに観察できるほどに極端にシートピッチが狭い、列車の等級とは明らかに釣り合っていないバスである。もっとも、横5列席のバスもある中で4列だったのが僅かな救いではあったが。外国人の面々が多数乗り合わせているので、少なくともとんでもない場所に連れて行かれる心配はなさそうだが、乗客のダウナーな気分が満ち満ちていることもあり、ハリウッド映画でよく見るような囚人の護送バス、といった趣である。

私が乗り込むのを待っていたかのように、バスはすぐに出発。それにしても肝心な事がまだ分かっていない。


このバスは一体何処を目指すのか?


*以降の回、しばらくテキスト主体の構成となります。どうぞご了承ください。

(2011.12.12)


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