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2012.03.28

タイ (4-2)放浪者たち

前のバスのお尻を追っかけながら、白々と夜の明け始めたパッタルンの街を出発。タイ国内はただ鉄道で駆け抜けるのみの筈だったのだが、まさかこうしてバスの車窓から地方都市の街並みを眺めていようとは。すぐに中心部は抜け、バスはタイの半島部を南北に縦断する幹線道路へと入る。車の流れが非常に速いので高速道路と呼ぶべきなのだろうが、道路に面した人家や施設、そしてジャンクション等を介さずに枝分かれする道路が幾つもあるので、実際には高規格道路である。やはり路面はしっとりと濡れており、窓を雨粒が斜めに飛ぶ場面もあった。

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《ハイウェイ?を走行中》

この速い流れの中を堂々と逆走する、命知らずなバイクに目を丸くしたりしつつ、高らかに響くエンジン音をBGMに30分ほど疾走。何故か前のバスに続いて道路を外れて行ったかと思えば、ガソリンスタンドで給油である。……出発前に満タンにしときーや……。

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バスは更に約1時間のあいだ、小雨に煙る風景の中をブンブン飛ばしていく。さて、前回の最後で「このバスは一体何処を目指すのか?」と疑問を投げかけてはみたのだが、これはただのレトリック。実際のところ9割方ここだろうな、という察しはついている。幹線道路は大きな街の中へ入っていき、交差点で分かれて中心部へ。沿道の標識や看板には「Hat Yai」の文字が目立ちはじめた。

かなり長い時間街中を走り続け、やがて国鉄の線路を広い構内を眺めつつ跨線橋で乗り越える。そういうわけで午前8時頃、ハート・ヤイの駅前に到着。我々を下ろすと、バスはすぐにそそくさと走り去って行ってしまった。

ハート・ヤイ(Hat Yai)はタイ南部地方の中心都市。現地訛りに追従してしばしば「ハジャイ」とも記され、こちらの方がキーボードで打ちやすいので、ここでは今後はこちらを採用(笑)。それはともかくとして、出発前に少々懸念していた事項がこうして実際にハジャイの街に立っていることで現実味を帯びてしまった。というのも、タイ南部地方はマレーシア国境に近いことからイスラム系の住民が多く、一部過激派によるタイからの分離・独立を求めてのテロ活動が頻繁に起こっており、ここハジャイ市街も例外ではない。危険度が高いのはもっと東の方の地域らしいのだが、ハジャイが属するソンクラー県も、外務省の危険情報では4段階のうちレベル2に相当する、「渡航の是非を検討してください」が出されている。列車でサッと通り過ぎるだけならば問題なかろうと判断したのだが、こういう事態は想定外である。

そちらもそちらだが、具現化するかどうか分からない危機よりも現在直面している危機。前途の列車のことである。とりあえずパッタルン~ハジャイ間(のどこか)は不通なのだとして、この先のハジャイ~マレーシア国境間の運転状況はどうなのか。構内にいた駅員にチケットを提示して尋ねてみると、ニコニコと笑いながら「このホームでそのまま待ってて!」みたいなことを仰っている。恐らく代行列車を仕立ててくれるのだろう。しかし、すぐにタイ国鉄を買い被り過ぎていたことを痛感させられることになるのだが。

仮初の安堵を得て、構内を見渡してみる。フアラムポーン駅は首都の代表駅だけあって駅設備自体は古いながらも現代的な香りが漂っていたが、こちらは雑然・喧騒・混沌という表現がぴったりな、イメージ通りのアジアの鉄道駅である。とはいえ床のツヤツヤのタイルをはじめとして手入れが行き届いているので、不潔という印象は微塵もない。ヘジャブを被った女性も目立ち、いよいよイスラム世界が近づいてきたという実感が湧いてくる。

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《ハジャイ駅・ホーム》

ホーム上には食べ物の出店が色々と出ており、見て歩いていたところお婆ちゃんに声を掛けられたので、フライドチキンをもち米と一緒に購入。とりあえずコレを軽い朝食としておく。お値段はふたつで40B(100円)だった。

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ベンチでかじりついている間に、ホームには3等客車のローカル列車が入線し、客を吐き出していく。今日は平日の月曜日。ちょうど今がラッシュアワーということなのだろう。ちなみに構内アナウンスはタイ語のみ。しかも発車案内板の類は設置されていないので、一応案内所はあるものの、外国人にとっては一切の情報から隔離されているという状況である。そんな様子を眺めつつ、丁度食べ終わったところで清掃係のおばちゃんがゴミを回収しにきてくれた。駅構内の清潔さも、こんなおばちゃん達の薫陶の賜物である。

しかし…… 本当に列車は来るのか?

(2011.12.12)


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