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2012.04.24

マレーシア (2-2)バターワース駅にて

フェリー埠頭からマレー鉄道バターワース駅までは、歩道橋を歩いて2~3分ほど。マレー鉄道はヨーロッパの民営化された国鉄と同様に施設管理と運営を別会社が行う上下分離方式を採っているが、両者とも公社なので実質的にはマレーシアの国鉄と考えて差し支えない。マレー語のKeretapi Tanah Melayuの頭文字をとって「KTM」という略称が一般的に使われており、ここでも今後はこの略称で呼ぶことにする。

バターワースからイポーまでの区間では線形改良工事が進捗しており(イポー~クアラルンプール間は既に完成)、それに合わせてバターワース駅を複合的な交通ターミナルとして整備する計画らしく、現在は仮設駅での営業となっている。

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《歩道橋から旧駅の跡地?を眺める》

で、こちらがいかにも仮設でございます、という感じの駅舎。その前ではタクシーの客引きが屯しているが、おつむが弱いのか駅舎へ入っていく(=これから列車で旅立つ)私にも声を掛けてくる。ていうか写真撮影の邪魔だからどいて。

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《KTMバターワース駅・仮駅舎》

一応内部の写真も。

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歩道橋を歩いている時に、ちょうどクアラルンプールから到着した列車からゾロゾロと乗客が出てくる様子を目にした。時刻表では到着時刻は6時半となっているが、今は7時半。1時間遅れということになる。実はマレー鉄道の乗車の際に一番の問題となるのがこの慢性的な遅延。その遅れにしても「時々」とか「しばしば」というレベルではなく、


確実に


遅れるのである。Web上に数多ある旅行記でも、列車が定刻どおりに到着したという報告は一つもなく、100%遅延すると断言して間違いないようだ。実際のところ、マレーシアの長距離交通は路線バスが主流となっており、高速バスならば運賃・所要時間・定時性いずれもバスが優勢。わざわざ鉄道を利用するのはマレー鉄道という響きに妙な憧れを抱いてやって来る旅行者か、現地人でも余程の物好きくらいである(後述のETSは別)。とはいえ、私も鉄道でのマレー半島縦断という目的がなければマレーシアなんて一生訪れることはなかったはずなので、訪問の動機として重要な役目を果たしてくれたことは否定できない。

因みにチケットだが、予めインターネット経由で購入を済ませてあり、自宅のプリンタで印刷したE-チケットを持参している。このチケット販売ページにしても妙にインターフェースが分かり難く、職員用の管理者ページを扱っているのかと勘違いしてしまうほど。リアルタイムで空席状況が反映され、シートマップから好きな座席を選べる点は良いのだが、決済がクレジットカードなのがインターフェースのこなれなさもあって少し不安。最初AMEXを使ったところ、対応していないらしく決済はされずに座席だけがキープされた状態になってしまったが、ページの記述どおりに10分待ったところ、座席がリリース。今度はVISAを使って無事入手となった。バターワース→クアラルンプールの運賃は1等車でRM67(1680円)。窓が2列分の大型窓なので、南行きで眺望が良くなる奇数列の一人掛け席、5Aを取っている。

(下の画像がE-チケット。クリックすると原寸大で表示します)

Btwkl_ticket

出発まで20分ちょっとあるので、駅前に展示してある2両の機関車に近寄ってみる。自分は熱烈な鉄道マニアではないため、「あー、機関車だー」という以上の感想も語れる知識もないのだが、こうして現役を退いてからも大切に車両が保存されている様子を見るとやはり幸せな気持ちになる。

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《(上2枚)蒸気機関車》

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《(上2枚)ディーゼル機関車》

発車20分前を切ったところで、少し早いがホームへ向かうことに。駅舎からホームへの通路の途中、マレー人の若い女性駅員が「ケーエル? 1番ホームよ!」と教えてくれる。今回の旅行記でも既に幾度か「マレー人(マレー系)」という言葉を何の気なしに使っているが、これは例えばユダヤ人の定義にみられるような、「マレー語を母語とし、それにアイデンティティを求める」という思想的な社会属性での区分らしく、ある特定の人種を指す言葉ではないとのこと。マレーシアの憲法では『日常的にマレー語を話し、イスラムを信仰し、マレーの習慣に従う者』とされている(憲法が定める定義にしてはフワっとしすぎですが)。数百年にわたって混血が進んでいるため肌の色も多様で、この彼女もネグロイドかと見紛うほどに真っ黒である。


1 / EKSPRES RAKYAT
Butterworth(08:00) → Sentral Kuala Lumpur(14:06)

ホームで列車とご対面。本来ならば前日バンコクからここへ到着しており、初めて見る風景ではないはずなのだが(あっ、涙が)。電源車を最後尾につないでおり、私の乗車するR1号車はその次の車両だったので編成全体の確認はしなかったが、かなりの長編成のようだ。KTM Intercityと称される長距離列車で、愛称は「EKSPRES RAKYAT」。日本語では「急行人民号」とでも訳せば良いだろうか(中国や北朝鮮っぽいですが)。私が乗車するのはKLセントラル(Sentral Kuala Lumpur)までだが、列車はシンガポールまで行く。

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電源車に続いてステンレス車体にマレーシアの国旗に使われている赤・青・白・黄の4色の帯を締めた客車が連なるが、塗装の剥げや外板のボコボコ具合など、メンテナンスに関しては徹底しているとは言い難く、特に電源車は相当くたびれている。まぁ、無事に目的地まで送り届けてくれさえすればそれでいいのだが、“無事”では済まなかったんだなこれが。

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車内はこんな様子。「Premier Class」と称される1等車両で、横3列の回転式リクライニングシートが並び、シートピッチも広い。とはいえこのクラスは2等車の2倍の運賃が必要なので、これ位の差別化を図ってくれなければ困るといっちゃ困るが。ちなみに2等車の方は横4列の集団離反式リクライニングシート。またKTM Intercityはクラスに関わらず、全車が冷房車で構成されている。客室端には液晶テレビが設置されているが、今のところ何も映っていない。

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外観があんな感じなので内装も然り。全体的に経年劣化以上に薄汚れた感じだし、蛍光灯が何ヶ所か切れている。そういえば《はやぶさ・富士》で使われていた寝台客車がここマレーシアに渡り、今月(2011年12月)から運用を開始するらしいが、このメンテナンス状態だと見るも無残な姿になるのも時間の問題ではなかろうか。

午前8時、定刻どおりに列車は動き出す。出発前から100点満点で60点くらいの印象で始まりそうだが、ともかくクアラルンプールまで6時間(あくまでダイヤ上では)の旅のスタートである。

(2011.12.13)


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コメント

初めまして!来月主人とペナンに行きます。
バターワースからクアラルンプールまでマレー鉄道に。
スーツケースって置く場所あるんですか?
お写真拝見すると、足下には置けそうですが。

いろいろ行かれててうらやましいです!
うちは、アジア中心です。
遠くてトルコ(^^;

いつか北欧へ行きたいと思っています。

お邪魔致しました!

sakuさま、初めましてmoon3

ご質問の件ですが、ちょうど私が乗車したときにスーツケースの置き場所に困っている夫婦がいまして。利用したのは1等車だったのですが、客室の前方と後方に座席のない空きスペースがあったため、そこへ置くように勧めた覚えがあります。デッキではない(=壁の向こう側ではない)ので目の行き届く範囲内ですし、盗難の心配はまず無さそうな感じでした。1等車ならば座席間隔も広いので足元にも置けないことはないですが、バターワース→KL間となると6時間以上の長丁場なので、ちょっとツライかもしれませんね。

趣味が高じてこんなBlogを書いていますが、上には上が沢山いらっしゃるのでまだまだ…です。私も次回の旅行先はトルコか北欧あたりかな?と漠然と考えているので、奇遇でした。

それではどうぞ楽しいマレーシアの旅をpaper

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