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2012.04.02

タイ (4-3)父さん、僕はまだタイにいます

アジアの鉄道駅の空気にどっぷりと浸かりつつ、プラットホームのベンチで1時間半ほど待っただろうか。時計の針は9時半頃を指しているが、ホームに入ってくるのはどう見たって遠くまで行きそうもない、ローカル列車仕様の客車ばかり。いよいよ不安が襲いはじめ、前もって存在を確認していた鉄道案内所で尋ねてみたところ…!

「この列車は運転打ち切りです。一日一本なので次の便は明日ですよ」


やっぱり列車なんて来ないがなーー!!


まあ、今になって冷静に考えてみれば、代行バスの到着が何時になるか分からない、しかも個々の乗客の行き先を確認するなど人数を管理していない時点で代行列車など出しようがないのだが、あの駅員が自信たっぷりに「そのまま待ってて」と言うものだから、素直に信じきってしまっていた。なんでもタイやマレーシアの鉄道職員は、自分の職分以外の領域については一切責任を持たないというから(日本以外では何処の国でもそうなのかもしれませんが)、日本流のプロフェッショナリズムを要求すること自体が間違いのようである。タイ国鉄としては、南部の大都市であるハジャイまで送り届けた時点で、一応責任は果たしたものと考えたのだろう。

「出札窓口でチケットを払い戻してもらってください」と案内所のおばさんが仰るので、窓口にチケットを提出。「このままバンコクへ戻りますか?」ととんでもないことを言い出すのでギョッとしたのだが、恐らく無賃送還の規定を適用する意思の確認なのだろう。当然ながら払い戻しを要求すると、バンコク~バターワースとバンコク~ハジャイの差額である265Bが返ってきた…はずなのだが、もはや幾ら返ってくるかなんてどうでもいい。とにかく今日中にペナン島まで辿り着かなくてはならないのだ。

とっくにマレーシアのガイドブックと入れ替えて、バッグの中へしまい込んでいたタイのガイドブックを再度引っ張り出す。ハジャイとペナン島間の距離を知りたいのだが、ここは外国、地図を見たところでまったく距離感覚が掴めない。路線バスとかで行ける?それとも陸路では時間が掛かりすぎるから飛行機で飛ぶべき? なんにも情報がない。

そういえば先ほどから構内を右往左往する私に、窓口での遣り取りに聞き耳を立ててか「バターワース?」などと話し掛けてくる男がいる。旅行会社かタクシーか何かの客引きだと思って最初は無視していたのだが、このままでは打つ手もないわけだし…と考え直し、妙な話だったらキッパリ断ることを前提にとりあえずついて行ってみることにした。

連れて行かれたのは駅のすぐ前の旅行会社。どうやら12時半発のバターワース行きのツアーバスがあるらしい。そして気になる所要時間は3時間とのこと。まだ出発まで3時間もあるのか…と絶望的な気分になるものの、今取れる策としては不本意ながらも最上のものだろう。その場で予約を入れることにした。料金は350B(=約900円)と意外に安く、どうやらボラれたわけでも無さそう。客引きだからと警戒してしまったが、というか警戒するに越したことはないが、今回は真っ当なものだったようだ。

大幅な遅延が確定したことにまたしても絶望的な気分になりつつも、バターワースへの移動手段が確保できたので、出発までの時間をつぶす方法へ頭を切り替える。ガイドブックによるとハジャイの街自体に特に見所はないらしい。しかも小雨がぱらついていることもあり、荷物はともかくとして傘を差して歩き回るのも億劫。というわけでカフェでも探して読書をしながら過ごすことにした。

20111212094648s
《ハジャイ駅・駅舎》

20111212094724s
《駅前通り》

ハジャイは「小バンコク」と称される大都市だけあり、駅から少し歩いただけでも高層ホテルやショッピングモールが目につく。バンコクからは遥か900kmという際涯の地でありながら、最果ての侘しさというものを全然感じさせないのは流石である。ところでカフェはどこよ?と、たまたま駅前通りを歩き始めてすぐの所にあった金行の警備員のお兄ちゃんに、「この辺りにカフェはありませんか?」と訊いてみる。すると、「次の交差点を左に曲がって、更に次の交差点を右ダヨ」と教えてくれたので、キャスターバッグを転がしてそちらの方へ。しかし……


見当たりませんでした。


もしかしたら、その辺にいくらでもある道端の食堂のひとつを指して言っていたのかもしれないが、スタバみたいなのを想像していたので。結局駅のすぐそばにあったロビンソンデパートの中にあるKFCへ。とりあえずアイスクリームサンデーを注文し、ようやく一息つく。落ち着いたところで、同じ列車でバターワースを目指していた約70名のその後が気になりはじめた。本当、どうなったのだろうか。

このロビンソンデパート、中に入ってしまえばサパーン・タクシン駅そばの店舗と全く同じ雰囲気。街なか自体もそうなのだが、とてもテロが頻発している地域とは思えない、至って平穏な空気に包まれている。まぁ、戦場の最前線にいるわけでもなし、無防備はよくないが所詮行きずりの過客、怖がりすぎるのもどうかというところだろう。どうでもいい話だが、このKFCの店内ではタイのKFCのオリジナルソングが長時間居る間に延々とヘビーローテーションされており、いっそコレを今回の旅のテーマソングにしてやろうかと思ったほど。

平和な店内で2時間余りを過ごし、時刻は正午前。今度こそ、タイを離れる時間が近づいてきたようだ。

(2011.12.12)


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