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2012.05.01

マレーシア (2-4)マレーシアの特急街道を駆ける

イポーはペラ州の州都。タイピンと同様に過去にスズの採掘基地として繁栄を極めた街で、現在でもクアラルンプール首都圏・ジョホールバルに続くマレーシア第3の都市圏(第4の都市と記載している文献もあるが、ペナン州を都市として統計に入れるかの違いなので、どちらも正解)である。イポー駅の駅舎はムーア建築の豪壮な構えの建築で、この駅自体がこの街の観光名所になっているそうだが、今回は列車の中から眺めるしかなさそう。

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《イポー駅ホーム》

停車時間を利用してちょっとだけホームに降りたものの、遅れているためか僅か3分ちょっとの停車で再出発。乗降扉は手動なので、動き出してからホームを抜けるまでの様子をデジカメの動画機能を使い、デッキで撮影してみた。自己責任が根付いた国ならではのお楽しみである。


【動画】イポー駅を出発するKTMインターシティの車窓

さてここから先は、2009年に高速化を兼ねた複線電化工事が完成した区間。クアラルンプールを経由してセレンバン(Seremban)まで、ETS(Electric Train Service)と称されるマレーシア初の電車特急が、新型車両による1~2時間間隔の高頻度で運転されている。停車駅の多寡によってプラチナ・ゴールド・シルバーの3タイプがあり(運賃も速いタイプのほうが高い)、最速のプラチナだとイポー~クアラルンプール間約200kmを2時間で走破。自らの不甲斐なさの所為とはいえ、都市間輸送で路線バスに大きく水をあけられたKTMがとうとう逆襲開始、といったところだろう。もっとも、当方の客車急行列車もETSに比べて運賃がリーズナブルなためか、ポツポツとあった空席がイポーで一気に全て埋まってしまった。そしてこの駅から乗り込んだ乗客が手にしているテイクアウト料理。それ、お金払うんで分けてもらえませんか…と頼みたくなるほどに、私は飢えに飢えている。

イポーを境に線形が飛躍的に良くなったため、この列車もディーゼル機関車牽引の客車なりに、いよいよ本気での力走が始まった。ETSの営業最高速度は140km/hとのことだが、さすがにそこまでは及ばずも、まるで在来線から新幹線に乗り換えたかような感覚である。線路の軌間は1,000mmの狭軌ではあるが、地盤が固いためか曲線での制限速度も緩いらしく、時たまカーブで強い遠心力がかかる。ただ、イポー以北にも増して車窓が単調になってしまったのが痛し痒しではあるが。イポー駅をはじめとして、通り過ぎる各駅は線路改良を機に近代的に改装され、まだまだ発展途上の駅周辺の風景も手伝い、さながらニュータウンの新線のような印象である。

複線区間に入るとこれ以上遅れが拡大することもなく、長かった旅も残すはあと1時間余り、だったのだが…。快調に疾走を続けていたところ、突然、車内の蛍光灯がすべて消灯。すると今度は車内の温度がみるみるうちに上昇していくのが体感できる。すぐ後ろの電源車との間で慌しく乗務員が行き来していたのですぐに事情が呑み込めたのだが、つまり


電源車の不具合で編成全体のサービス電源がダウン


したわけである。バターワース駅で目にした際のボロさに一抹の不安がよぎったものの、まさか本当にやらかしてくれるとはね。

13時50分頃、クアラルンプールを前にした最後の停車駅、タンジュン・マリム(Tanjung Malim)に停車。少し長めの停車時間を取ったかと思えば、出発後しばらくして、メカニックの奮闘の甲斐あって電源車復活。やれやれ、このまま冷房が使えなければ蒸し風呂状態になるところだった。しかもこの列車はクアラルンプールを越えてシンガポールまで足を延ばすのだから、直らなかったら影響は大きかっただろう。遅延・兵糧攻めに加えてこんなアクシデントがあると、もしこの場でCS調査が行われれば、光の速さで最低点を献上するところである。それに加えて車窓の風景に特に見るべき所がないとくれば、いよいよ評価すべきポイントが一つもない。尤も、最初からそれほど過大な期待はしていなかったのだが、ここまで悉く裏切られるとは。

そんなこんなで色々あった旅もいよいよ終盤。クアラルンプール首都圏の近郊区間に入り、通勤型電車ともすれ違うようになる。次第に高層ビルも増え、バンコク以来の大都会へやって来たという実感が湧いてきた。私の座る席は進行方向右側で、クアラルンプールの中心部方向とは逆側だったのだが、それでも反対側の窓をのぞき込めば、ペトロナス・ツイン・タワーとKLタワーの姿がチラリと。ガーデン・シティの異名を取る街らしく、その緑の豊かさには目を見張る。

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列車は都心を前にスローダウン。1時間遅れているのに焦る素振りは露ほども見せず、徐行状態のままでクアラルンプール駅到着である。そして更に少し走って地下に潜れば、目的地のKLセントラル駅。時刻は午後3時過ぎ、7時間の旅は充足感よりも疲労感の方が優ったのだった。

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《KLセントラル駅ホームにて》

(2011.12.13)


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