« 『京とれいん』に乗ってみました | トップページ | マレーシア (3-6)マラッカ旧市街その1(白昼のチャイナタウンにて) »

2012.05.22

マレーシア (3-5)ヘリテージホテル探訪

マラッカ編の初回なので、ごくごく簡単ではありますがマラッカの歩みについて。

マレーシアの歴史は、14世紀末にスマトラ島からマレー半島へ逃れてきた王族が興した王国を端緒としているが、その最初の王国が置かれたのがここマラッカの地。その後マラッカは現在の中近東地域から南アジア、そして極東を結ぶ「海のシルクロード」の中継点として大きく発展していくことになる。現在マレーシアがイスラム圏であるのも、このように草創期から海上貿易を通じてアラブとのつながりが非常に深かったことに由来している。

しかし16世紀初頭、ヨーロッパが大航海時代に入って間もなく、香辛料貿易による利益を独占しようと極東へ進出してきたポルトガルによってマラッカは占領され、マラッカ王国はこの地を追われることに。しかしその君臨も長くは続かず、17世紀の1641年に今度は覇権を競い合っていたオランダがポルトガルを駆逐し、約200年に渡ってオランダが植民地として支配することになる。19世紀にはイギリスがマレー半島全域を統治下に置いたことでまたしても帰属が変わり、1941年からの4年間は一時的に日本の占領も経験することになる。

このように絶えず世界史の荒波に揉まれ続けてきたマラッカが「マラヤ連邦」の一員として完全な独立を果たしたのは、たかだか半世紀前の1957年のこと。現在旧市街にはポルトガル・オランダ・イギリス統治時代の史跡が数多く残り、多民族国家であるマレーシアでも特に「文明・文化の交差点」としての特徴を色濃く反映する街として、2日前に訪れたジョージタウンと共にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されている。

マラッカを語る上でもう一つ欠かせないのがプラナカン文化。15世紀頃から中国、当時の明より移住してきた華人男性と、現地のマレー人女性との婚姻関係との間で生まれた融合文化のことである。同義の別名として「ババ・ニョニャ」という言葉もあり(「ババ」は華人男性、「ニョニャ」はマレー人女性を指す)、マレー系にも中華系にも属さない固有の民族グループとして、今なお独自の文化を継承しているそうだ。シンガポール成立後にそちらへ渡ったプラナカンも多く、経済界でも一大勢力を築いているとか。

で、この『Hotel Puri』も、そのプラナカンが建てた家のひとつ。元々商才に長けた華人の末裔として、特に成功を収めた富豪たちがこの現在トゥン・タン・チェン・ロック通りと呼ばれる通り沿いにこぞって豪邸を建て、「ミリオネア・ロード」という別名も付いたほどらしい。詳しくはホテルのウェブサイトの解説文をご覧頂きたいが(→コチラ)、街へ出る前に少し、この文化財としても貴重なホテルの建物内を歩いてみることにした。

プラナカン建築は奥行きが非常に長いことが特徴だというのを前のエントリで書いたが、これはオランダ統治時代に間口の広さで税金の額が決められていたためなのだとか。この手の話は世界中でよくあることで、類例では建物の接地面積が税金額の基準だったなんてものもあるが(アルザスのコロンバージュなど)、所詮役人の浅知恵など市民の機智の前には無力だという好例である。下の写真はロビーの風景だが、建物内には随所に中庭が設けられ、採光にも十分に配慮した設計となっている。

20111214160013s
《ロビーにて。プラナカン文化とキリスト教文化であるクリスマスデコレーションのコラボ?》

ロビーの中庭から空を見上げて。建造当時は通気も兼ねていた為に吹きさらしだったが、エアコンが設置された現在ではガラスで塞がれ、天窓となっている。

20111214160035s

こちらは朝食会場の前にある池つきの中庭。建物の最奥部までは100mあるとのことで、後述する表通りの喧騒とはまるで別天地の感である。

20111214155623s

20111214155739s

館内の一角にある、アンティークな家具や美術品が展示されたミニ博物館。プラナカンは華人とマレー系の混血とはいえやはり中国文化が色濃いが、例えば陶器を例に取るとパステルカラーの淡い色彩を多用したりと、さりげない部分に個性があるそうだ。

20111214155508ss

20111214155544ss

もう午後4時なので、ホテル探訪もそこそこに街へ繰り出すことに。

(2011.12.14)

前のページへ:マレーシア (3-4)Road to Melaka(後編)


« 『京とれいん』に乗ってみました | トップページ | マレーシア (3-6)マラッカ旧市街その1(白昼のチャイナタウンにて) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/224041/54739527

この記事へのトラックバック一覧です: マレーシア (3-5)ヘリテージホテル探訪:

« 『京とれいん』に乗ってみました | トップページ | マレーシア (3-6)マラッカ旧市街その1(白昼のチャイナタウンにて) »

スポンサーリンク

Blog内検索

Amazonでお買い物しませんか?

無料ブログはココログ