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2013.08.18

オランダ (3-5)仮住まいの名画たち~ハーグ市立美術館~

トラムStatenplein停留所から歩いてすぐのハーグ市立美術館(Gemeentemuseum Den Haag)へ。主に近代以降の作品を所蔵する美術館だが、現在マウリッツハイス美術館が改装工事のために休館中で、その間一部の所蔵作品がこの美術館に移されているのである。一昨年購入したガイドブックには入館料は10ユーロと書かれているが、今はマウリッツハイスコレクションが加わっているせいか14.5ユーロに大幅値上げされていた。

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《ハーグ市立美術館・外観》

現在午後3時、閉館時刻は5時とあと2時間しかないので、入り口で入手したハイライト作品の案内マップを基に館内を巡ってみることにした。館内はフラッシュを使わなければ撮影自由となっているが、今回は展示作品の写真は一枚も撮影していない。

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《ハーグ市立美術館・エントランス付近》

そのマウリッツハイスコレクションの目玉作品が、レンブラント『テュルプ博士の解剖学講義』とフェルメール『デルフト眺望』。現在『真珠の耳飾りの少女』をはじめとする四十数点の作品が日本とアメリカを巡回しており、私も昨秋に混雑覚悟で訪れたのだが(→こちらの記事)、これらの2作品はデン・ハーグへ来ないと観ることができない。

まずは『テュルプ博士の解剖学講義』から。幅2.2m・高さ1.7mと、想像していたよりも大きい絵だったのに少々驚く。このサイズだと接近すると表面に塗られたニスの反射でなかなか全体像が掴めないのだが、それほど混雑していないので自由なアングルで眺めることができた。集団肖像画というジャンルに新風を吹き込んだ、レンブラントの出世作。「光と影を操る画家」らしく、画面を司る明と暗の対比の巧みさは既にこの時点で完成の域に達している。

そして『デルフト眺望』。こちらはフェルメールの作品の中では大きい方ではあるものの、ほぼイメージ通りの印象だ。旅行最終日に訪問することになるアムステルダム国立美術館所蔵の『小路』と並ぶ、2点しか現存しない風景画のひとつでもある。デルフトで1654年に起きた火薬庫爆発事故の数年後に描かれた作品とされているが、諸行無常の儚さと危機感が彼を制作へと駆り立てたのだろうか。近代・現代のようにカメラが存在しなかった時代、生まれ育った街の美しい風景を永遠にキャンバスの中へ封じ込めておきたいという、郷里への思慕と愛情のようなものが伝わってくるような気がする。

2作品、特に『デルフト眺望』の前にはいつも人が滞留しているが、昨秋の神戸での展覧会で『真珠の耳飾りの少女』がパンダのような扱いを受けていたのに対し、常設展のこちらは比較するのもおこがましいほどに鑑賞環境は上である。遠い国にある絵画が気軽に見られる巡回展もそれはそれで一定の意義があるのかもしれないが(それにしても日本の新聞社主催の展覧会は碌でもないものが多いです)、こうして現地に残してくれたことにはただただ感謝するのみ。

他にはアーフェルカンプ『氷上の遊び』等の著名作品、そしてハーグ市立美術館所蔵の現代美術もササッと鑑賞。私が訪れた時期にはカイユボットの展覧会が開催されており、フロアの相当な面積がどこまで歩いてもカイユボットだらけ状態になっていた。彼は印象派の面々を経済的に支えたパトロンとしてのイメージが強いのだが、画家としての実力も高く、19世紀後半のパリの風景を描いた作品群は圧巻である。しかし5年前にオルセー美術館で鑑賞した『床の鉋かけ』に、よもやオランダで再会することになろうとは…。

広い美術館なので閉館ぎりぎりまで粘っても半分程度しか消化出来なかったが、オランダで必ず訪れておきたかった二ヶ所の美術館のうち、まず一つはクリアである。早くも夕方を迎えてしまったが、残りの時間を使ってデン・ハーグの主要観光スポットを見て回ることにする。

(2013.04.20)


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