カテゴリー「書籍・雑誌」の2件の記事

2009.10.29

書評『香港路線バスの旅』

つい先日まで路線バスで巡った香港旅行記を連載していましたが、丁度タイムリーにこんな本が出版されまして、予約注文していたのが届いたのでちょこっとご紹介。

著者は『香港巴士鐵路旅遊協會』の主宰者の方。あとがきに「バスを紹介するフリをして香港各地の旅を語る企画」と書かれていますが、その通りで序章として乗り方指南、以降は厳選された路線の車窓から見える景色や沿線の風物の描写にもっぱらページが割かれ、メーカーがどうとか形式がどうとかという車輌の話題については全く扱われていません。私も車輌そのものには興味が皆無なのでニーズにぴったり合致したわけですが、そういった意味でディープなマニア向きの本ではないことは確かです。

路線のチョイスも車の洪水に混じって走る市街地路線から海や山へ向かうのんびりとしたリゾート路線、空港島やランタオ島内を走る路線、都心と郊外間の輸送を担う長距離路線、ミニバスや香港-深セン間の連絡バスなどなど、東京都の半分という面積の中に様々な要素が高濃度に凝縮された香港の魅力を、多面的に余すことなく拾い上げた構成。『香港巴士鐵路旅遊協會』内のバス路線紹介のコーナーで既に取り上げられた路線も多く収録されていますが、そちらも書籍化にあたって全面的に書き直されています。「バスに乗って社会科見学」という、香港の社会史に片足を突っ込んだ話題も。

巻頭の数頁を除いてモノクロページとなっており、写真も最低限のテキスト主体の内容ですが、風景描写が緻密なので物足りなさは感じませんね。200ページ超とボリュームも充分です。収録路線の中には渡航回数2回のバス初心者の私が乗車した路線も幾つか含まれ、メジャーどころは一通り押さえられているので、香港路線バスの入門書としては最適。香港はその都市規模に比べて鉄道が発達しているとは言い難いので、行動範囲を広げるにはバスへのチャレンジは決して避けて通れない道。それだけにこのような一般向けの解説書が切望されていたわけで、満を持しての登場といったところでしょうか。

とはいえ難しい予備知識は全く不要で、オクトパスカードと通用乗車地圖(この本では香港街道地方指南が薦められていますが、バスの乗りこなし術を磨くのには交通案内に特化した通用乗車地圖の方が向いているかと。そう高いものではないので両方買ってしまうのが手っ取り早いですが)を用意し、あとは失敗を重ねながら体で覚えるのが一番だと思いますね。一度体験したら最後、がっちりと心をとらえて離さない路線バスの旅の楽しさと、香港への愛がたっぷりと伝わってくる良書です。

#蛇足ですが、今年8月に開業したMTR西鉄線の延伸開業区間も反映されていました。発売が延期となったのはこのせいでしょうか。

出版社のサイトから収録路線のリストを引用。手前味噌ですが、私の乗車記にもリンクを張っておきます。

<濃縮香港の市街地編>
九巴12   古き九龍の下町に出会う
城巴10   トラムと追いかけっこ
城巴90B  都会のウォータースライダー
九巴6A   ゴールデン・マイルから九龍下町へ
117    究極の九龍的密集地帯を行く
新巴720  海上のハイウェイを快走

<海へ向かう編>
NLB11  峠をふたつ越えた先に水の都
小巴1A   弾丸ミニバスルート
新巴9    夢幻の光景を抜けて小さな岬へ
NR330  激変に晒される小島の現在
九巴91   たった三〇分で出会える美しい海

<山道を走る編>
新巴15   ジェットコースター走行に驚く
九巴51   新界へ昔ながらの峠越え
NLB23  山上の大仏様は香港週末行楽地

<楽しいレジャー路線編>
新巴14   香港好きが密かに愛する林間ルート
城巴629  光あふれる南海岸へ
城巴967  湿原と隣り合わせに同居するニュータウン (※リンク先はほぼ同じルートの城巴969)
R8     中国語を話すミッキーに出会う

<変わり種バス編>
新巴15C  全天空展望オープントップバスに乗る
九巴78K  終点まで乗れないバス
港鐡接駁巴士 無料で乗れる香港鉄路接続バス (※リンク先はK65・流浮山→上璋圍)
S1     空港内をチョロチョロ走り回る

<社会科見学路線編>
九巴11   風前の灯、九龍に残る衙前圍村
小巴87A  香港物流拠点社会科見学ルート
九巴2D   貧-富-貧を往復する
九巴75K  香港の水ガメ、船湾淡水湖を見る

<中国への往来編>
皇崗巴士   深圳と香港をシャトルする
B2     海上の境界を越え「香港出島」へ

<空港アクセス編>
AENS   空港アクセスバスはAENS四タイプ (※リンク先は龍運E34・機場(地面運輸中心)→天水圍市中心)
機鐡穿梭巴士 空港特急を補うシャトルバス


2007.11.20

月刊「大阪人」

先日の「関西文化の日」に、大阪歴史博物館という所に行って来ました。その時の話はまた記事にしますが、地下遺構ツアーが出発するまで待ち時間があったので、ミュージアムショップを冷やかしていたのですが、その時に見つけたのが月刊「大阪人」という雑誌。

月刊「大阪人」公式ホームページ

「大阪人も知らない大阪」発見Magazine 読めばあなたも大阪通、というキャッチフレーズが付いていますが、私はあいにく兵庫人(笑)。それでも兵庫府民(居住地は兵庫県だが勤務先は大阪府)という属性なので、大阪は地元同然です。

さて最新号は12月号、でかでかと赤字で表紙に書かれた今月の特集タイトルは「西淀川萌え」。さらに「工場萌え」「歴史萌え」と萌え萌え連発。発行元は財団法人大阪市都市工学情報センターという、名前からしてお堅そうなシンクタンクなのですが、中身は意外と言っては失礼かもしれませんが斬新な構成です。

この西淀川、正確には西淀川区ですが、大阪湾に面する大阪市の西の端っこにある区で、神崎川を挟んで尼崎市と接しています。尼崎は全国的にも有名な重工業都市ですが、西淀川も大阪市内で指折りの工業地帯。大工場から小さな町工場まで林立しています。東京23区で例えるなら大田区でしょうか。

その西淀川区の歴史、産業、風俗もろもろにスポットを当てていますが、私が目を引いたのが町工場の「ものづくりの現場」を取材した記事。彼らは日本を動かすような大企業でこそありませんが、我々の日常生活にさりげなくではありながら、決して無くてはならないあの製品から、未来を先取りした最新技術まで、工業立国の日本を根幹で支える立役者です。

関西ではお節介団体公共広告機構のローカルCMで『やったろう!関西』というシリーズを放映中で、これでは全国有数の中小企業密集地帯、東大阪市の町工場が紹介されているのですが、こちらも負けず劣らず、って感じですね。オーバーではなく、もしこの地域の工場が一斉に操業停止するような事があれば、日本の産業を大きく揺るがす事態になりそうです。

日本はいずれ中国やインドに追い抜かれるなんて悲観的な見解もあることはあるのですが(実際只の放言とも言い切れない気も・・・(苦笑))、少なくともここで培われた驚異の工業技術は、一朝一夕には真似出来ない日本の誇りでしょうね。トンからミリグラムまで、メートルからナノメートルまで・・・ってキャッチフレーズ、どうですか?私が作ってみたんですけど。

他にも幾つか連載記事がありましたが、堅苦しさなど全くなく、知的好奇心をくすぐりながらスラスラと軽く読める構成で、興味が湧きました。結構創刊から久しい雑誌のようですが、どうして今まで知らなかったんだろう?

ってことでジモピーも他所からのお客様も、もし見かけたら是非手にとってみては。タイガースと粉モンと吉本新喜劇とヤクザだけではない、大阪の意外な一面を発見できるかも。あ、でもそのうちタモリ倶楽部の雑誌特集で紹介されたりして。そんなニオイがプンプンします(褒め言葉ですよ)。

【追記】Amazonでも売ってました。


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