ポルトガルの旅2日目 (1)アレンテージョ地方へ
今日からはしばらくリスボンを離れ、アレンテージョ地方(Alentejo)を巡る。além do Tejo(テージョ川の下)が語源で、その名の通りテージョ川の南部の広い面積を占めている。まあ、一言で言えば田舎です。今日はそのアレンテージョ地方の中心地であるエヴォラ(Évora)という町へ向かう。
朝食をとり、ホテルから歩いて2分のエントレカンポス駅へ。昨日はぐずついた天気だったが、今日は快晴。本格的な鉄道の旅も始まるだけあって、胸が躍る。
ホームへ上がる。線路別複々線をもつ2面4線の駅で、ひっきりなしに通勤電車が到着しては、大量の乗客を吐き出していく。
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【動画】エントレカンポス駅に到着する、二階建ての通勤電車
[320×240, 30fps, WMV, 1.34MB, 31秒]
乗車位置案内などといった気の利いたものは無いので、上がってきた階段のすぐそばで待つ。しばらく通勤電車を見送っていると、明らかによそ行きの雰囲気を持った客車が、無骨なデザインのディーゼル機関車に牽引されて入線してきた。7時59分発のエヴォラ行きインターシティである。窓の上に黄色い帯をあしらった客車が目の前を通り過ぎていき(黄色い帯は欧州では1等車のシンボル)、慌てて駆け出すと後ろから数人の同士達が走ってついてきた(笑)。
車内に入ると、大柄でゆったりしたシートが3列で並んでいる。今回は1等車を利用。2等車との差額はわずか3ユーロなので、こちらにしてみた。リクライニングこそしないが、ソファのような坐り心地で非常に快適。ビュッフェとの合造車なので他の客車に比べて部屋の面積が狭く、プライベート感がある。朝一番の列車なので、暖房が入ったばかりで寒い。
ポルトガルの特急はヨーロッパでは珍しく全席指定制。ヨーロッパの列車の例に漏れず座席は集団見合い式で回転はしないために進行方向と逆の席に当たると悲惨だが、幸い車内はスカスカなので席は選び放題。朝日の差しこまない西の窓側に腰掛ける。
地下鉄青線の乗換駅で、ポルトガル各都市への高速バスが発着するバスターミナルがあるセテ・リオス(Sete Rios)駅を出発しシントラ方面の線路と袂を分かつと、巨大な水道橋のかかる都市部とは思えないほどの深い谷に沿って列車は走っていく。ここで検札、NS(オランダ鉄道)の車掌さんに比べると、ポルトガル人は小柄なせいか、それとも制服のせいかちょっぴり野暮ったい(笑)。
やがて瀬戸大橋の四国側高架橋のような4月25日橋へのアプローチ線に入り、昨日テージョ川のほとりから仰ぎ見た4月25日橋の下層を進む(二段構造になっていて、上層は道路)。眼下にはベレン地区の街並みがまるでミニチュアのように広がっていて、昨日訪れた各ポイントがはっきりと確認できた。

《4月25日橋を渡る列車の車窓から。鉄骨が邪魔なのはご勘弁》
まるで海のように広いテージョ川をゆっくりと渡りきると、すぐにトンネルへ。トンネルを出た所のPragal駅に停車すると、テージョ川対岸のリスボン郊外のベッドタウンを走る。緩やかな丘陵地帯に低層の住宅地が広がっており、市内へ向かう車で道路は渋滞中。こちらも先行列車が詰まっているのかノロノロ運転だったが、しばらくするとスピードを上げ、ようやくきびきびと走り出した。
Pinhal Novo駅まではまだ都市郊外の雰囲気だったが、この駅を境に景色は一転して田園風景に様変わり、線路も単線になった。オリーブやコルク樫が立ち並ぶ中、時折草を食む牛や馬、羊や山羊などが車窓を通り過ぎていく。
列車は緩やかな丘陵地帯の中を、頻繁に警笛を鳴らしながら小気味よいスピードで飛ばしていく。いつの間にやら1等車の車内にいるのは私一人になっていた。エントレカンポスを出て2時間弱、平原の向こうに白い家々と城壁がへばりついた丘が見えてくると、エヴォラ到着のアナウンスが入った。
(2007.02.14)
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