きのくに小旅行 (2)御坊でスーパーミニ私鉄・紀州鉄道に乗車
紀州鉄道 御坊(11:28) → 西御坊(11:36)
今回御坊まで足を延ばした目的が、これから乗車する紀州鉄道だ。御坊の駅は市街地から離れており、この路線は駅と市街地のフィーダーという役割を担っている。駅は御坊・学門・紀伊御坊・市役所前・西御坊の5駅のみ、総延長は2.7km。千葉県の芝山鉄道(2.2km)が開業するまでは「日本一短い鉄道」として名が知られていた。ホームページを見てみると、地方私鉄の多くの例に漏れず、鉄道事業は副業的な扱いになっている。鉄道事業からは既に撤退して、社名に名残をとどめるのみ、という例も多々あるが、こちらは短いながらも健在だ。
列車は駅舎側のホームの端に切り欠いてある、0番ホームから発車する。線路は草ぼうぼう、歪みも多い。今の時間帯は30分毎に運転している。少し待っていると、ユサユサと車体を揺らせてレールバスが入ってきた。
運転手は初老のおじさん。出発直前につかつかと乗ってきて、折り戸を閉め発車。高度にシステム化された鉄道にはない味がある。乗客は私とビジネスマン、そして地元の人と思われる軽装のおじさんの3人。
線路は北へ向かい、すぐに紀勢線と分かれて左へ折れる。ガタガタの線路の上を40km/h程のスピードで進む(スピードメーターは動いていなかった)。次の学門までは1.5kmだが、かなりの時間が掛かった。その学門でビジネスマンが下車。駅名が「学問」に通じるこの駅の入場券は、受験生に人気がある。
ここから先は駅の間隔がバス並みに短くなる。旧型の車両が留置してある紀伊御坊でおじさんが降りると、乗客は私一人に。市役所前ではスピードを緩めるが、「ここで降りますか?」「西御坊まで行きます」というわけで、そのまま通過。まさにバスだ。
直線の線路の向こうに車止めが現れ、物置のような駅舎が見えてきた。西御坊まで8分のショートトリップが終了、なんだか駅というより駐車場のよう。車内の運賃箱に180円を入れる。かつてはこの先にも線路が延びていた。
駅前の商店街を東へ歩くと、西本願寺日高別院が見えてくる。御坊の町は、この寺の門前町として発展してきたのである。境内には幼稚園が併設されており、児童達の喚声が響く。
駅へ戻るが、まだ折り返しの列車の時刻には早いので、市役所前駅まで歩くことに。まわり道をしても10分足らずで着いた。
紀州鉄道 市役所前(12:14) → 御坊(12:21)
やってきた列車の運転士は、行きの時と同じ人。1日に2回も乗れば顔を憶えられてしまうだろう。紀伊御坊で2人を乗せ、私を含めて3人で御坊に到着。運賃は全員分で480円。経営環境は厳しいなんてものではないだろうが、無責任な旅人は、いつまでもこの温かな鉄路が存続することを願うのだった。
紀勢線普通 御坊(12:30) → 湯浅(12:49)
みどりの窓口で、川西池田の一つ向こうの中山寺まで乗車券を購入。2520円。100kmを超えているので途中下車は自由だ。ここから和歌山方面への普通列車は30分毎に出ていて、利便性は高い。20分ほどで次の目的地の湯浅。この駅には一部の特急も停車する。
(2004.06.10)
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