▼展示室1 洋画の魅力
明治以降の日本人による洋画作品を展示。冒頭の着物姿の天女に(本多錦吉郎『羽衣天女』)、いきなり西洋画の固定観念を打ち破られます。明治時代に初めて日本で取り入れられた油絵(洋画)が、日本の風土と溶け合い、やがて一つの様式を確立していく過程を追っていきます。
この展示室では、私はやはり風景画に注目。自然景観から街の一角の光景まで、日本の素朴な風景が色彩豊かに描かれています。また須田国太郎の『工場地帯』は、情景は暗いものの戦前の日本のエネルギーがこもった力作。風景画以外では、安部合成『見送る人々』が秀逸です。兵士の出征を見送る場面をダイナミックに描き、彼らの感情が伝わってくるようで心を動かさずにはいられません。
▼展示室2 「ゲンビ」に集った作家たち
「ゲンビ」とは、関西で1952年に結成された芸術研究グループ、「現代美術懇談会」の略称です。ここではその「ゲンビ」に参加した作家たちの作品を紹介しています。
・・・ごめんなさい、特にコメントはありません。現代美術、苦手なんですよ・・・
▼展示室3 在仏の作家たち/1980年代以降の表現
「在仏の作家たち」では、戦後長くフランスにあって活躍した日本の現代美術家たちの作品を展示。黒田アキ『コロラトゥラの夏』は、小さくして部屋の壁に飾っておきたいような、爽やかな色彩が印象的。
「1980年代以降の表現」では写真を大胆に取り入れたりと、新たな模索が試みられた現代美術作品を展示。ひとつ強烈な個性を放つのが、福岡道雄の『何もすることがない』。遠目に見るとただの黒いパネルですが、近づいてみると「何もすることがない」の小さな文字がパネルの全面にびっしり。じっと見ているとクラクラしてきそう。同じように思っている人は真似してみてはどうでしょう、必ずや悟りが開けるかと(笑)。
▼展示室5 近現代の彫刻-さまざまな人間像
部屋の入り口近くで存在感を示すのが、ジョージ・シーガルによる『ラッシュ・アワー』。その名の通り、ラッシュアワーの光景の一瞬を切り取った作品で、今にも動き出しそうな迫力。思う存分に様々な角度から眺めてみました。
ここまで観てきて、作品そのものだけでなく作品の配置、そして展示室の空間デザインもよく考えられ、これもまた見所のひとつであることに気付きました。展示室5は北入り口の通路とガラス越しに面していて、人の往き来を静かな展示室から眺めていると、まるでこれ自体が一つの作品のようでもあります。
▼展示室4 小企画 美術の中のかたちー手で見る造形 山村幸則「手ヂカラ 目ヂカラ 心のチカラ」
最後の展示室は今までとは違い、目で見てではなく触って鑑賞する異色のコーナーです。まず前室に設けられたカウンターで、安全のため腕時計やアクセサリなどを預けます。次にアイマスクを渡され、真っ暗な視界の中でスタッフの誘導を頼りに展示室へ。手を伸ばすとそこには「何か」が。手探りで辿っていくと、それがとてつもなく巨大な物であることに気付きます。つい手を離してしまうと、
「作品から手を離さないでくださいね。迷子になりますよー」
との注意が。原則的に“おさわり禁止”の美術館で、触らないと怒られるという体験は滅多に出来るものではありません(笑)。
作品を一周すると、アイマスクを外して「ネタばらし」。触覚と視覚が一致する瞬間です。なかなか面白い試みなので、コレクション展を観に来られたならば、ぜひ体験して頂きたいですね。今年は11月18日までです。
《アイマスクは4種類から選べます。これはオーギュスト・ロダンVer.》
入り口に戻ってきた後は、スタンプラリーのスタンプを集めます。8ヶ所中5ヶ所をクリアすればOKなので、15分ほどで終了。賞品をゲットしたのち、美術館の外観をぐるっと眺めてみました。
《南西方向から》
《海沿いのプロムナード》
ここまでで約3時間半。芸術鑑賞って頭を使うので、時間の割には精神的にも肉体的にも疲れます。私の住まいは阪急沿線なので、阪急王子公園駅から乗るのが一番安いのですが、くたびれたので一番近い阪神岩屋駅から阪神・阪急乗継ぎで帰宅しました。来週の週末は秋の京都で博物館・美術館巡りをしてみようかと思っています。
兵庫県立美術館(11月17日(土)・18日(日)はコレクション展を無料開放)
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
(2007.11.03)
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