台湾一周の旅1日目 (5)夕暮れ前の淡水を散策
紅毛城へ向かうべく、駅から続く中正路を歩き出す。昼食は機内食だけだったので、そろそろお腹が空いてきた。適当な店を探していると、店先で焼いた肉をさばいている飯屋を発見、台湾最初の食事はここにした。この店の名物らしい焼鵝飯(焼きガチョウご飯)をオーダー、70元(約260円)。ケンタッキーフライドチキンをご飯に乗せて食べているような感覚だった。
とりあえずは空腹を満たし、中正路をさらに進む。淡水老街と呼ばれる淡水のメインストリートで、両側に飲食店や雑貨店、みやげ物屋が並ぶ狭い通りは人ごみでごった返している。バイクも頻繁に通るので、おちおち歩くことも出来ない。店をのぞきながら歩いていると「鐵蛋」という真っ黒い卵が多く目に付くが、私はゆで卵系は苦手なのでパスした。
しばらく進むと心もち道幅が広くなるが、今度はバイクの路駐の列が歩道を占拠している。道路の向こう側に渡ろうとしても、バイクが邪魔をして思うように横断できない。やれやれ。
マッケイ博士(淡水の偉いお医者さんらしい)の像がある辺りで商店街は終わり。人通りも減り、ほっとする。さて時計を見ると時刻は午後5時20分、そろそろ夕暮れが近づいている。日が落ちる前に紅毛城を見ておきたいので先を急ごう。
淡水河が見渡せるポイントに来ると、河の向こうに観音山がそびえている。日本統治時代には「淡水富士」と呼ばれていた。
ようやく紅毛城に到着、入場料を払って中に入る。大航海時代に台湾に進出してきたスペイン人により1629年に建城されたサントドミンゴ要塞が前身で、のちにこの城を奪取したオランダ人の手により改築される。当時オランダ人が「紅毛」と呼ばれていたのがこの城の名の由来である。清王朝の時代に入ると一時放置され廃墟になった時期もあったが、1867年に英国領事館が設置され、その後も持ち主を転々とし、台湾の手に戻ってきたのは1980年のこと。数奇な運命を辿ってきた、淡水の生き証人である。この事実から国家一級古跡に指定され、台湾はユネスコに加盟していない(できない)ために現在台湾には世界遺産は一件も存在しないものの、中華民国行政院の選出により文化遺産候補となっている。
歴史自体は極めて興味深い建築物であるが、中はパネルなどの展示物があるだけで特に見るべきものはなし。私が出てきたところで、日没のため入り口が閉められてしまった。
隣には瀟洒な洋館が建っている。イギリス領事館として使われていたのはこちらで、むしろこっちの方が中を見ていて楽しい。辺りはすっかり薄暗くなってしまい、FinePix F30の高感度の威力をもってしても写真を撮るにはぎりぎりの明るさである。
城の建つ高台からは観音山とその手前に広がる八里の街が一望のもと。八里の街に明かりが灯りはじめ、空の色が変わっていく様子をしばらくの間眺めていた。
(2007.10.13)
« 台湾一周の旅1日目 (4)淡水へ | トップページ | 台湾一周の旅1日目 (6)淡水の夜市 »
コメント