台湾一周の旅2日目 (6)平渓線・後編(十分~平渓)/深坑へ
駅で平渓線の終点、菁桐(チントン)までの切符を購入(右の写真)、15元(約55円)。今度は自動券売機を使えた。一昔前には日本でも主流だった、垂直に立ち上がったタイプの券売機で、台鉄は列車の種別毎に運賃が決められている為に、自動券売機といえども購入には(1)人数→(2)列車種別→(3)大人か子供/片道か往復→(4)行き先、と4ステップ必要になり、なかなかややこしい。(1)と(3)はオプション扱いで省略できそうなものだが、この辺の融通の利かなさが中華圏らしい。
*「無座」は「座席が無い」ではなく、自由席という意味。但し優等列車では少々意味合いが変わってくるのですが、その解説は後々に。
区間3217 十分(14:51)→平渓(15:04)
ホームでは駅員氏がタブレットを携えて待機している。入線してきた列車はやっぱり新型のディーゼルカーで、もちろんオールロングシートなのだが、十分までの車中で目をつけていた「特等席」が空いていたので、さっと確保へ向かう。
その特等席とは、先頭の貫通路の扉部分。何故か運転室には旅客も自由に出入りできる構造となっており、十分までの列車でも若い女性が運転士と歓談(?)していた。私が立ち入っても特に文句を言われる事も無かったので、ロングシートに座るくらいなら、この場所をオススメしたい。但し、狭いので定員は1名ですが・・・。
十分を出ると幾分谷は広がり、依然雨は降り続いているものの、心なしか周囲の景色も明るくなったような気がする。
相変わらずゆったりとしたペースで山間を進み、十分から10分少々で平渓に到着。線名に名を冠している通り、ここは沿線で最も大きい町なのだが、台北へ出るにはバスの方が圧倒的に早い。そんな実情を反映してか、駅は棒線構造の上、ホームは何とも狭っ苦しい。そんな鄙びた駅に似つかわしくない程の観光客が、ホーム上で列車の到着を待っていた。
私もここで降りるか終点の菁桐まで行ってしまうか、ギリギリまで決めかねていたが、深坑方面行きのバスはほぼ90分間隔。時間を潰すにはこのような大きな町の方が都合が良いので、ここで降りることにした。
駅舎の壁にはこんな掲示が。空襲の際の避難経路を示しており、どの駅にもある。
駅から階段を下り、川のほとりへ。台北方面へ通じる道路が走っており、まずはバス停でバスの時刻を調べることにした。
停留所で時刻表を見ると、今まさにバスがやって来る時刻。振り向いたところで、バスが姿を見せた。あまりのタイミングの良さに、一本落とすか迷う暇もなく飛び乗ってしまったが、この選択が得策であったかどうかは知る由も無い。
バス 平渓(15:20)→深坑(16:00)※実時間
運転席の真後ろの座席に腰掛ける。深坑までの運賃は45元。細かい硬貨を持ち合わせていなかったので、やむなく50元玉を運賃箱に放り込む。こっちの硬貨は大柄で重いので(というより日本の硬貨が世界でも類を見ないほど機能的なのだが)、バスの乗車に備えて嵩張るのを覚悟の上で小銭を用意しておくか、何とも悩ましい所である。
もっとも、そんなジレンマに苛まれるのは旅行者だけで、地元の人は皆ICカードを用意している。『悠遊卡(EasyCard)』がそれで、台北および周辺地域の公共交通機関で共通利用できる乗車カードである。MRTの運賃が2割引になるほか、バスとの乗り継ぎ割引も受けられ、ノーマルタイプのほか敬老カードや学生カード等、バリエーションは多岐に渡る。但しノーマルタイプは発行額が500元(≒1850円、うちデポジット100元)で、リピーターや長期滞在でなければ旅行者にはあまり縁がなさそう。余談ではあるが、残念なことに(?)SONYのFelicaではなく、オランダPhilips社のMifare(マイフェア)の技術を使っているそうだ。
バスの運賃は15元単位なので、例えば45元区間ならピッ、ピッ、ピッと3回読み取り機に当てるのだが、不思議なことにそのまま連続で当てるのではなく、パスケースを裏返して表、裏、表という風にタッチする様子を多く見掛けた。一体どういうシステムになっているのだろう?
バスは谷間のワインディングロードを結構なスピードで攻めていく。年寄りの立ち客も多かったのだが、彼らへの配慮なぞ見せるそぶりも無い。まあ、苦情が出ないことからして、彼らも慣れっこなのかもしれない。私は御免蒙りたいが。
40分程走った所で、久々に賑やかな町の中へ。運転手氏に「次だよ!」と教えてもらい、深坑神木前の停留所で下車する。時刻は午後4時。
(2007.10.14)
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