台湾一周の旅3日目 (1)旅立ちは台北駅から
旅行3日目。鬱陶しい雨は去り、再び晴れ間が戻ってきた。8時前にホテルを出発し、キャスターバッグを転がして民権西路駅へ向かう。
ところで、台北の街を歩いていて印象的なのが、歩道部分の構造。建物の2階以上が車道側に張り出していて、歩道はその張り出し部分が屋根となり、一種のアーケードのようになっている(このような構造の事を「騎楼」と言うそうです)。雨の日は非常に助かるのだが、困ったことに建物毎に結構な高さの段差が付いている。この歩道部分、市道なのか、それとも私有地(=建物の敷地内)なのか定かではないが、一つ建物の前を通り過ぎる度に、キャスターバッグをよっこらしょと持ち上げなければならない。中には申し訳程度にスロープが付いている場所もあるのだが、僅かな距離を進むのにも随分と骨が折れる。
台北駅に到着し、1Fのベーカリーで朝食を仕入れておく。調理パン2個とコーヒーで90元(約330円)と、日本と同等の値段だが、外食が安い台湾では非常に割高に感じる。
エスカレーターで地下1Fの改札口へ。自動改札も導入されているが、私のきっぷは磁気化されていないので、有人改札を通る。
台北駅は1989年に線路が地下化され、ホームは地下2Fに設置されている。ちなみに地下化される前の台北駅の様子は、『冬冬の夏休み』という映画の冒頭部分にチラっと映っている。
台鉄(在来線)のホームは2面4線。日本では東京駅に相当する首都の代表駅なのだが、あの巨大な駅舎とは不釣り合いな程に小ぢんまりとした規模である。ラッシュ時なのでホームにはひっきりなしに列車が発着し、制約のある設備で捌くさまは名鉄名古屋駅を思わせるが、線路容量に比較的余裕があるのと、上下2線ずつ使えるだけあって、名鉄名古屋駅ほど逼迫した状況では無さそう。実際に今の時間は、朝ラッシュ時の新宿駅中央快速線上りホームのように、ホームの両側に交互に発着している。
それでも決してターミナル駅として満足な設備ではない為、この駅を始終着とする列車は殆ど設定されておらず、西部幹線(基隆~台北~高雄)の優等列車は一つ東隣の松山駅を、東部幹線(台北~花蓮~台東)の優等列車は三つ西隣の樹林駅を、基本的に始終着駅としている。西部幹線と東部幹線をスルー運転する列車も多く、この辺も名鉄名古屋駅とそっくりである。
【ホームの番号について】
台湾ではプラットホームを「月台」と呼びますが、台湾の鉄道ではMRTを除いて、ホームの番号の付け方は1番線、2番線・・・ではなく、プラットホーム単位で第一月台、第二月台・・・と表現します。島式ホームの場合は両側の線路をAとBで区別するので、台北駅の高雄方面行きホームの場合、第三月台なので3Aと3Bになります。
<1st>自強1009 台北(08:35)→嘉義(11:40)
台鉄で台湾島を一周する旅。第一走者は台湾の特急列車、自強号である。この列車で台北から3時間、阿里山の玄関口である嘉義(チアイー)へと向かう。定刻では8時35分発なのだが、基隆始発なので発車5分前でもまだ姿を現していない。
隣の台湾高鉄(台湾新幹線)のホームからは、8時30分発の左営(高雄の暫定的なターミナル駅)行き列車が、発車メロディに見送られて出発していった。今年1月に仮営業を開始した当初は、乗車券はプラチナチケットと化していたそうだが、現在では開業フィーバーも落ち着き、本数も増えただけあり、嘘の様に車内はガラガラである。各駅停車タイプだが、高鉄嘉義駅(在来線の嘉義駅とは別の場所にある)の到着は9時56分と、所要時間は自強号の半分である。
【動画】台北駅を出発するEMU500形通勤電車
[320×240, 30fps, WMV, 1.60MB, 37秒]
気付けば、発車案内板には「遅れ」の表示が。台鉄では朝夕を中心に遅延が慢性化しているとは耳にしていたが、その原因までは把握していなかった。しかし、その“謎”の一端は程なく明らかとなる。
《台北→嘉義のきっぷ》
定時の発車時刻直前になり、ようやく入線。列車からは通勤客が次々と降りてくる。この様子を目の当たりにし、何となく遅延の理由が理解出来た。台鉄の列車種別は、最優等列車の自強号をはじめとして、呂光号・復興号・区間快車・区間車・普快車と、非常に細分化されているのだが、肝心の遠近分離が出来ていないのだ。種別間の運賃格差が小さい為に通勤列車と長距離列車の線引きが曖昧になり、扉の数が少ない優等列車は乗降に手間取って遅延が発生する・・・というからくりである。
まあ、私にとっては数分の遅れなど痛くも痒くもなく、余所の地域の鉄道事情など知ったことではないので、汽車旅を楽しむ事に専念しよう。
というわけで、次回に続きます。
(2007.10.15)
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