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2008.01.10

台湾一周の旅3日目 (2)縦貫線(台北~桃園)

列車は約4分遅れで台北駅を出発。樹林駅の手前までは地下を進んでいく。指定された9号車43番は通路側なので、とりあえず空いている窓側の席を選んで座っておく。車内は横4列ではあるがゆったりとしたシートピッチの回転式リクライニングシートが並び、国鉄時代の在来線特急グリーン車並の居住性。立派なフットレストまで装備されている。ちなみにJRのグリーン車や、欧州の1等車にあたるアッパークラスは、台鉄(在来線)の定期列車には存在しない。また、全席禁煙席である。

車内放送は複数の言語で行われるが、残念ながら韓国KORAILのように日本語での放送はなし。次の停車駅、板橋(バンチョン)駅で、私が座っている席に指定券を持った乗客が現れる。「後ろが空いてるよ」と教えてもらい、そちらの窓側席に移った。板橋駅は台北市の衛星都市で、台北県の県庁所在地である板橋市の中心駅で、台湾高速鉄道の駅も設置されている。現状では台湾高鉄の列車も含め、全ての旅客列車が停車する、台北都市圏西部の要衝駅だ。

さて、私がどうしてこのように席を転々と出来るのか。台鉄の優等列車(自強号・呂光号・復興号)は原則的に全席指定席で、このように座席指定が必要な列車を総称して「對號列車」と呼ぶのだが(一部例外も存在するので、優等列車=對號列車ではない)、満席の場合でも席が無いのを承知で乗車できる、「自願無座」という制度が存在する。この制度がある為、ラッシュ時に優等列車が立ち客を満載している姿は日常茶飯事なのだが、もし空席があれば、その席が指定されている乗客が現れない限り、着席も可能。そういった理由で、空席を求めて座席を転々とする乗客の姿はごく自然な風景なのである。

ちなみに、自動券売機でも優等列車の切符を購入できるが、この場合は空席の有無に関わらず、自動的に「無座」となる。運賃は座席の指定がある場合と同額なので、余程の短距離乗車でない限り、窓口で指定を受けた方が良い。もちろん区間快車・区間車・普快車(と一部の優等列車)のように、「非對號列車」と呼ばれる全車自由席の列車の場合は、全員が「無座」の切符で乗車しているので、自動券売機で発行することによるデメリットはない。

板橋駅を出てしばらくすると、列車は地上へ。やがて左手には淡水河の支流、大漢渓が近づいてくる。桃園駅に到着する前に朝食を済ませておくが、座席にテーブルがないのが不便だ。

そういえば、台湾の道路は右側通行なのだが、台鉄は日本の鉄道と同様に左側通行。台湾高鉄も同じく左側通行だが、対してMRTは右側通行である。道路と鉄道とで通行方向が異なる国は多いが、同じ鉄道で二種類の通行方向が存在すると、利用する方も結構混乱してしまう。

ここでこの車両と路線の簡単な解説を加えておきたい。現在乗車している車両は1996年に登場し、現在自強号の主力として活躍しているE1000形という形式。10両の韓国製の客車と、両端の南アフリカ製の電気機関車が一体となった、TGVと同様の所謂プッシュプルタイプの車両である。静粛性は優れているが、外観・内装共に10年前に登場した新車とは思えない程の無骨なデザインだ。内装については485系と瓜二つである。

そしてこの路線だが、基隆から台北、新竹、彰化、嘉義、台南を経て高雄までが縦貫線、そして高雄から屏東までが屏東線で、それらを総称して西部幹線と呼ばれている。途中、竹南~彰化間で台中線(通称山線)と海岸線(通称海線)に分かれるが、台湾第3の都市である台中を経由する山線の方が輸送量は多く、優等列車も主にこちらを経由する。

この列車は基隆から屏東まで、西部幹線の全線を走破する列車。台北~高雄間の所要時間は4時間19分、途中停車駅は板橋・桃園・台中・彰化・嘉義・台南・新左営で、自強号の最速列車(1005列車、板橋・台中・彰化・台南のみ停車で3時間59分)に匹敵する俊足ぶりである。縦貫線は日本の東海道本線に相当する台湾の大動脈であるが、台湾高速鉄道の開業により主役の座を明け渡すことにはなったものの、在来線と高速鉄道は運営母体が異なるため、韓国のKTXとセマウル号の関係とは対照的に、依然として自強号は台鉄のフラッグシップトレインであることに変わりはない。

台北~嘉義間は263.8km。概ね東京~浜松間の距離に相当するが、自強号の運賃は600元、日本円で約2220円となり、JR本州3社の幹線で同距離の運賃(4620円)の半額以下である。日本の鉄道運賃もこれ位安ければ、青春18きっぷなんか使わないのになぁ、と羨ましいことこの上ない。

台北から約30分、桃園駅に到着。この続きは次回にて。

(2007.10.15)


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