北播磨ぶらり旅 (3)北条鉄道(北条町~粟生)
北条町駅はアスティアかさいの開業に伴って移設され、メルヘンチックな新築の駅舎を構えています。普通乗車券の発券および改札業務は行われておらず、運賃は車内での精算となっています。
歩道橋から駅構内を眺めてみました。1面1線の棒駅で、側線には昔ながらのバスタイプのレールバスが留置されています。カラーリングこそ異なるものの、幼い頃に絵本で見た北条鉄道の車両はまさしくコレでした。実に20年以上の時を経て、ようやく訪問が叶ったというわけです。
ホームへ上がると同時に、折り返し粟生行きとなる列車が入線して来ました。こちらもレールバスタイプの車両ですが、見た目はJRで使われているような車両と何ら変わりありません。
左がフラワ1985形、右がフラワ2000形。「フラワ」は勿論、兵庫県フラワーセンターから採られたものです。
【動画】北条町駅に入線するフラワ2000形
[320×240, 15fps, WMV, 1.10MB, 59秒]
車内は全席ロングシート。一番前は既にふさがっていたので、一番後ろに座って流れ去る車窓を眺める事にしました。
北条鉄道北条線は、1985年に国鉄北条線から転換された第三セクター路線。後ほど乗車する三木鉄道と比べればましではあるものの、地方の三セク路線の例に漏れず経営状況は不振であり、主な役割は沿線の高校への通学輸送です。今のところ具体的な廃止案は出ていないものの、沿線人口の増加や観光輸送への梃入れ等の抜本的な改善策は見込めず、予断を許さない状況にあります。
このように経営環境は崖っぷちではあるものの、沿線の風景はのどかで心が安らぎます。途中駅も赴きたっぷりで、元は国鉄だっただけあり、なかなか立派な面構えをしています。特に法華口駅(ほっけぐち)には古い木造駅舎が残っており、毛筆体の駅名板も相まって、国鉄時代の面影を色濃く残していました。
《(上2枚)法華口駅》
取り立てる程の風光明媚な車窓ではないものの、古き良き日本の田園風景といった感じで、乗り潰し目的でなくても楽しめそう。駅は1~2km間隔で比較的こまめに設置されていますが、最後の網引~粟生間のみは3.5kmと長くなっています。ここまで来ると車内は座席がそこそこ埋まる乗り具合になっていました。若い人の姿もあり、心強い限りです。
JR加古川線が合流してくると、終点粟生に到着。神戸電鉄粟生線の始発駅でもあり、神戸都心へは粟生線で約1時間です。このように、この駅は三路線が集結するターミナル駅なのですが、周囲は若干の人家があるのみの、のどかな田園地帯。乗降客も乗り換え利用が大多数です。
ここから加古川線で加古川方面へ3駅の厄神駅を目指します。データイムには1時間に1度、神戸電鉄の電車、加古川線の上下列車、そして北条鉄道の列車が一堂に会し、4本の線路を埋め尽くす様子はなかなか壮観です。
西脇市行きの加古川線下り電車が入線。加古川線の電化に際して導入された103系電車で、中間車を先頭車改造した顔は何とも素っ気無い。そんな愛想の無さをカバーする為か、車体には派手なペイントが施されているのですが、何を血迷ったのかやたらリアルな目がいっぱい。西脇市出身のグラフィックデザイナー、横尾忠則氏によるデザインなのですが・・・ おいおい、子供をトラウマにするつもりか?
続いて私の乗る上り電車が入線、こちらは新型の125系電車です。単行なので座席はあらかた埋まっており、久々に一番前でかぶりつきに興じてみます。
電車は加古川の右岸に沿って下流へと下っていきます。加古川線は2004年末に電化され、直後に試乗しにやって来ましたが、今日が電化後2度目の乗車。心なしか都会的に変化し一皮剥けたような印象ですが、実はドアは半自動。気付かずボーッと扉の前で突っ立っていたら、駅員さんに「ボタンを押して下さーい!」と大声で知らされてしまいました。鉄道ファンの風上にも置けませんね(笑)。
ただ、電化はされたものの、スピードは凡庸で煮え切らない走りっぷり。電車になって加速性能は向上したものの、最高速度の引き上げはされていないようです。
加古川を右岸から左岸へ渡ると、間もなく厄神に到着します。この続きは次回にて。
(2006.05.31)
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