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2008.01.18

台湾一周の旅4日目 (2)祝山へ

5時20分、ざわついたホームにヘッドライトを燦然と輝かせながら、列車が闇を掻き分けて姿を現した。先頭に立つのは運転台付きの客車(制御客車)で、欧州ではよく目にする推進運転だが、客車と客車の間にも機関車が挟み込まれている。後で確認した所、祝山側から客車4両+機関車+客車4両+機関車の10両編成だった。白く曇った窓ガラスが、山の寒気の厳しさを雄弁に物語っている。


【動画】阿里山駅のホームに入線する、祝山行き列車
[320×240, 30fps, WMV, 0.99MB, 23秒]

運良く目の前に扉が止まり、扉のすぐ横の座席をゲット。ここなら一番に降りられるはずだ。オールロングシートで、ナローゲージだけに向かいの人の膝がくっつきそうな程に狭い。

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《祝山行き列車の車内》

車内は暖房が入っておらず(そもそも暖房自体備えられていないのかも)、体感温度は外と殆ど変わらない。そういえば、今投宿しているホテルも、外気が一定の温度を下回った時だけに、全館一括制御で暖房が入るようになっていた。その“一定の温度”は確か7度Cだったと記憶しているが、昨夜はかなり冷え込んでいたにも拘らず、結局一度も暖房が入る事は無かった。阿里山では中級ホテルでさえ暖房設備の貧弱さが目に付くらしく、寒さに弱い人はかなりの忍耐を強いられることになるかもしれない。

閑話休題。5時30分、列車がのっそりと動き出す。私が乗っている車両の座席はあらかた埋まっているが、次の沼平でも乗客を迎え入れる。外はまだ漆黒の闇が支配しており、車窓は望むべくも無い。寒さに打ち震えながら、ただただ振動に身を委ねるのみである。

沼平に到着。阿里山賓館や阿里山閣大飯店の最寄り駅であり、ここからの乗車もかなりある。席にありつけた人は僅かで、残りは祝山までの20分間立ちんぼうである。

行く手には半径数十メートルの急カーブが次々と現れるが、列車はかなりのスピードをキープしたまま、車輪をきしませつつクリアしていく。この阿里山森林鉄道は、よく箱根登山鉄道をスケールアップしたような・・・と形容されたりするが、後ろでグゥオーと唸りを上げ続ける機関車のエンジン音も相まって、実際の速度以上にスピード感があり、淡々と登っていく電車(これは数々の工夫の賜物ではありますが)には無い味わい深さに満ちている。

ほとんどの乗客は前を向いたまま大人しく座っているだけだが、中にはこのくそ寒いのに窓を開け、寒風を一身に受けながら景色を眺めている猛者もいた。

列車は視界の開けない、深い森林の中をひたすら登り続ける。刻一刻と空の色が変わり、ようやく周囲の風景も色味を帯びてきた。

絶え間なく響いていたエンジン音が衰えると、祝山に到着。時刻は5時55分、阿里山駅から25分の短い旅ではあったが、阿里山森林鉄道のエッセンスは味わう事が出来た。

(2007.10.16)



<おまけ>
客車と電車、そして平坦路線と山岳路線の違いはあれど、日本にもナローゲージの路線が存在します。こちらは三重県を走る、三岐鉄道北勢線の車両です。
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