台湾一周の旅4日目 (3)Here Comes The Sun~祝山でご来光観賞~
列車が完全に停止するのを待たずして扉を開け(手動なのです)、若さにものを言わせて駅の階段を駆け上がる。首尾よく展望台のベストポジションを確保し、悦に入った。ふと横を見ると、またしてもあのカップルが!これで3度目の邂逅である。
足元には雲海が茫洋と広がり、眼前には朝焼けのグラデーションを背にした中央山脈の峰々が、そのシルエットを鮮明に浮かび上がらせている。
《AM5:55》
中央山脈の主峰としてこれらの峰々を従えるのが、台湾最高峰、そして東アジアの最高峰でもある、標高3952mの玉山(ぎょくさん/ユイシャン)である。戦前に初等教育を受けられた諸氏には、『新高山(にいたかやま)』と言った方が通りが良いかもしれない。
写真で見る限りでは只々幽玄たる光景に他ならないのだが、すぐ傍ではお立ち台に立ったおじさん(ボランティア?)が拡声器で何やら口上を述べ立てており、しんみりと感慨に浸らせてはもらえない。
【動画】中央山脈のパノラマ・空気を読まないおじさんの口上添え
[640×480, 30fps, WMV, 974KB, 10秒]
しかし文字通り雲行きが怪しくなり、瞬く間に雲が山を覆い隠してしまった。
《AM5:59》
遂には一寸先もガスの状態に。神様、マジですか・・・
《AM6:01》
あちこちから溜息交じりに落胆の声が上がり、気の短い人は早くも展望台を離れる始末。そして、がっくりとうなだれる我々を意にも介さず、延々とがなり立てるおじさん。うるさいぞっ(怒)。
《AM6:04。一縷の望みを胸に秘め、ガスを睨み続ける皆さん》
そんな我々の切なる願いが通じたのか、みるみるうちに目の前の雲は流れ去り、今しがたの光景が甦る。落胆が一転して歓喜へと変わったが、この間たったの5分少々。いつになく濃厚なドラマを体験させられたのだった。
数分後、左手の低くなった山の陰から日が差し、光芒を投げかけられた彼方の雲がピンクに染まる。
《AM6:15》
正面に視線を戻すと、山の端の輝きが刻一刻と増している。サングラスを装着し、手ぐすねを引いてその瞬間を待つ。
そしていよいよ・・・!
《AM6:18》
《AM6:19》
《AM6:20》
あけおめーーーー!(違)
思わず目頭が熱くなる。嬉しいとか悲しいとかではなく、志を同じくして集った者達との一体感、とでも表現すればいいだろうか。一人きりで眺めていては決して湧き上がり得なかった感情であることは確かである。
《AM6:21》
たっぷりと余韻を味わい、充足感で財布の紐が緩くなっているであろう観光客を当て込んで開いている出店を見て回る。
《お越しやす~》
目的を達成した途端、猛烈な空腹を覚える。もちろん食べ物系の出店も出ているので、茶腹も一時とばかりに蛋餅を購入。冷え切った体にはたまらない一品である。
ホフホフと頬張りつつ、再び出店を見て回る。阿里山名物の山葵椒鹽(わさびコショウ)を売る店の前を通りかかった所、おばちゃんが有無を言わさず蛋餅にふりかける。う~ん、確かにうまいことはうまいんだけど、買って帰った所で使い道が分からんよ(苦笑)。
日の出から20分。太陽もだいぶ高くなった頃、まだまだ賑わう展望台を背に、阿里山歩道へと踏み出した。
《AM6:37》
(2007.10.16)
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