台湾一周の旅5日目 (10)花蓮鉄道公園
花蓮市(ホワリエン)の人口は10万人余りで、西海岸および北部の諸都市には遠く及ばない規模ではあるが、台湾東部では台東と並ぶ主要都市。旅行者にとっては太魯閣渓谷観光のベースキャンプとして立ち寄る機会の多い街である。
次の列車の発車時刻までは2時間弱あるので、少し市内を散策してみることにする。駅舎を出るが、なんせ太魯閣渓谷は台湾を代表する観光地。駅の出口では客引きがわんさか待ち受けているのでは・・・と身構えていたが、意に反して一人も見当たらず拍子抜けだ。花蓮駅の駅舎は台東駅とは打って変わり、日本の主要都市にもゴロゴロありそうな実用本位のサイズである。
駅の背後にはすぐそばまで急峻な山並みが迫っており、神戸を思い起こさせる。手荷物預かり所にバッグを預け、まずは駅のすぐ脇にある花蓮鉄道公園へ。ここには台東線がナローゲージだった時代に活躍していた車両が展示されている。入場は無料で、敷地は特にフェンス等で仕切られてはいない。
普通列車用とおぼしき車両は、中が見学出来るように開放されていた。車両の端から端までずらっと転換クロスシートが並び、ナローゲージながら辛うじて横2+2列が確保されている。満席の光景はさぞや壮観であっただろう。そして言うまでもなく非冷房である。
小さな公園ではあるが車両のバリエーションは多彩で、なかなか網羅的な“ミニ博物館”である。惜しむらくは屋根がなく野ざらし状態なので、車両の腐食の進行が早い事だろうか。加えて管理者や警備員が常駐していないために人為的な損傷も見受けられた。台湾には本格的な鉄道博物館が存在せず、コストとの兼ね合いもあり野外展示にせざるを得ない事情は理解出来るのだが、貴重な産業遺産でもあることだし、ファンとしても美しく化粧直しされた「鉄路の名優」達が全国から一堂に会する、管理の行き届いた施設の創設を期待したいところだ。平渓線の項で触れたように、近年は鉄道が趣味の対象として俄かに注目を浴びているので、追い風も大きいのではないだろうか。
*上の気動車の窓は換気の為に開いており、誰の手によるものかは不明ながら、それなりの維持・管理はされている様子でした。
下の写真の車両はなんと寝台車。花蓮~台東間は約170kmで、この程度の距離に寝台車が必要だったとは、その鈍足振りはただならぬものだったようだ。
公園見学後は花蓮忠烈祠へと足を向ける。
(2007.10.17)
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