台湾一周の旅6日目 (2)総統府
西門から東へ歩くと、やがて官庁街の中へ。無機質なビル群は姿を消し、歴史を感じさせる重厚な建物が目立ってきた。
程なく総統府の北西の角へ到着。平日の午前9時から正午まで内部見学が可能で、入場者の列が出来ている。
総統府は日本統治時代に台湾総督府の庁舎だった建物で、現在は台湾の大統領である総統の官邸。当然ながら警備は厳しく、見学者入り口の門にもマシンガンを携えた兵士が立っており、決して穏やかではない雰囲気である。入場の前にパスポートのチェックがあり(中国人と香港人はここではじかれる)、バッグをはじめとした所持品は全て預けなければならない。そして入館中は胸にワッペンの着用を義務付けられる(右の写真)。
ようやく中へ入り、スタッフに促されて少し先へ進んでいた日本語ガイドに合流。各部屋には展示物やパネルがあり、説明を受けながら見学コースを巡っていく。
・・・のだが、このガイドのおじいさん、総統府自体の説明というよりは、終戦前後の自らの体験談を私情たっぷりに語ってくれる。迫害を受け、死線をさまよったという話は胸に迫るものがあり、日本の歴史認識および戦後教育についての主張も目から鱗が落ちるような思いだったが、だからといって貴重な時間を割き、教育勅語を延々と暗唱し出すのはいかがなものだろうか(そして尻馬に乗る参加者も)。ただでさえ自由見学は許可されていないのだから(偶数月の第一日曜日のみ自由見学が可能)、もっと有意義な時間を過ごしたいもの。
とはいえ、日本と台湾の深い繋がりを再認識する機会でもあるし、台北を訪れたのならば一度は足を運んでみたい場所ではある。
見学を終え、荷物をピックアップした後、建物の正面(東側)へ回る。正面からは広い大通りがガランとした風景の中に延びており、まるで国会議事堂周辺を髣髴とさせる。
その大通りを400mほど東へ進み、五叉路になっている景福門(東門)の前に到着。清国時代の19世紀末に築かれた台北城(台北府城)の4つ残る城門のうちの一つで、往時を偲ばせる貴重な文化財である。この台北城、完工から僅か20年後には都市計画の妨げになると言う事で城壁が全て取り壊されてしまったのだが、台湾総督府、つまり日本人の手によるというのが何とも面目ない。
交差点を南へ折れ、中正紀念堂へ向かう。
(2007.10.18)
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