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錦田から10分少々、再び車窓は田舎から都会の風景へと変わり、元朗(ユンロン)に到着。駅前で降り損ねて一つ先の停留所まで連れて行かれたのはいいとして、今まで何とかもっていた空がとうとう泣き出し始めてしまった。乗り物の車内にいれば少なくとも雨に煩わされることはないが、やっぱり気分はちょっと落ち込む。雨の少ない季節なら尚の事だ。
駅から続く細道を進む。あれだけ街中を席巻していた高層住宅がここには影も形も見当たらず、まるで別世界。
九広鉄路(KCR)西鉄線で元朗へ向かう。西鉄線は2003年末に開通した新しい路線。大規模なベッドタウンが遍在しながらも、長らく中心部とを結ぶ軌道系交通機関が存在しなかった新界西地区に漸く開通した待望の路線だ。この記事を書いている現在、KCRとMTRは合併し、新生MTRとして香港の都市鉄道網の一翼を担っている。
改札を出て、駅周辺の地図をチェックしてみる。1、2km程度ならツェン湾西駅まで歩いてもいいかなと考えていたが、地図の横に掲示されていた、駅を発着する路線バスの行先一覧に「九広西鉄-ツェン湾西駅」の文字を見つけ、渡りに船とばかりにバスを利用することにした。
2日目の朝、7時頃に起床してカーテンを開ける。昨日と変わらず空がどんよりと曇っているのが残念ではあるが、窓の外にはビクトリア・ハーバーを背景に、煤こけた旧いビルから最新の超高層マンションまでが入り乱れてニョキニョキと立ち並び、自分が香港で朝を迎えているという実感を新たにする。
フェリーを降り、埠頭の少し東側から九龍を振り返ってみる。香港島とは対照的に高い建物が少なく、100万ドルの夜景どころか1万ドルにも満たない・・・といった所だが、これは1998年に現在の香港国際空港が開港するまで香港の玄関口の役割を担っていた『啓徳空港』が九龍半島の東にあったため、建築物の高さ規制が敷かれていたから。それも撤廃された今、九龍半島側でも高層ビルの建設ラッシュが続いており、九龍と香港島とで夜景の美しさを競い合う日も、そう遠い未来の話ではないのかもしれない。
尖沙咀から香港島へ渡る交通手段は2つあり、一つ目はMTRツェン湾線で金鐘・中環へ向かう方法。速いが海底トンネルをはさむと運賃がはね上がるのが欠点であるものの、今日を含む3日間はツーリストオクトパスの威力で無料である。とはいえ、トンネルなので暗闇の中でビクトリアハーバーを越えてしまうわけで、やはり大多数の観光客に倣ってスターフェリー(天星小輪)を利用することにした。
ちょっと時間を戻して、とっぷりと日の落ちた九龍公園の北東の角へ。ここからしばらく彌敦道は九龍公園の東縁を走り、右手にはビルの姿が無くなる。警察署の前を過ぎると、公園と彌敦道の間には「パークレーン・ショッパーズ(柏麗購物大道)」というファッション系のショップ群が細長く延びており、頭上には電飾のカーテンが。
まだ17時過ぎではあるがちょっと早めの夕食を摂って、お腹を膨らませてから色々と巡ってみることに。それはともかく、オクトパスのお陰で1香港ドルの現金も持たずにここまで来れてしまったので、手近な両替所で夕食代として100香港ドルほど作っておく。残りは重慶マンションで。
通過線を疾風の如く駆け抜けていく機場快線を見送ると、3、4分のインターバルののちに東涌線の香港行き電車が入線。先ほどよりかは空いているので手近な座席に腰掛ける。シートはステンレス製で硬いが、お尻の形に合わせて深い窪みがついているので、意外とフィット感は上々。むしろ下手なモケット張りの座席よりは坐り心地が良く、夏なんかはひんやりとした感触が気持ち良さそうだ。
欣澳で降りた理由というのは、ここから分岐しているMTR迪士尼線に乗ってみたかったから。迪士尼とはディズニー、即ち2005年9月に世界で5番目に開園した『香港ディズニーランド』のこと。迪士尼線はディズニーランドへのアクセスラインである。
2階の最前列に着席。S1系統のバスはバスターミナルを出発すると、ターミナルビルの到着フロアの道路へ。ここのバス停で何名かの乗客を迎え入れた後、今度は空港敷地のすぐ隣にあるコンベンションセンター、「亜洲国際博覧館(Asia World Expo)」に寄り道していく。今日は何も催し物がないので、ひと気もなく一瞬停車してすぐに出発。空港の諸施設を眺めながら5分強も走ると「昂坪スカイレール」の軌道と交差し、左手に並行しつつ空港島からランタオ島へと渡ると、間もなく東涌に到着する。空港からの所要時間は10分強。
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