香港 (2-7)屯門~元朗~上水
続いては九広鉄路の東鉄線を試乗しに、香港域内路線の実質的な始発駅である上水(Sheung Shui)へ向かう。屯門から鉄道だけで行くとすると、一旦九龍へ戻る形となって遠回りになるので、元朗辺りで上水行きのバスを探してみることにしよう。
西鉄線のキレイな電車で元朗へ。高架上を走るので見晴らしがよく、香港島や九龍を見てきた目には、新界の風景は殊の外のどかに映る。ニュータウンを結ぶように走り、それなりに駅の数は多い為にスピードは乗らないが、屯門埠頭に寄り道したとはいえ40分以上掛かった道のりを、ものの10分少々で駆け抜けてしまった。ちなみに屯門~元朗間は西鉄で4駅、軽鉄では16駅(但し直通する系統はなし)である。
元朗駅へ戻ってきたのは13時前。そろそろお昼にしようと思い、駅ビルの食堂街をうろうろ。お洒落なカフェレストランに入り、海南鶏飯を注文した。
海南鶏飯は主にマレー半島の国々でよく食べられる料理で、日本ではチキンライスと称される事が多いが、ケチャップライスではなく鶏のダシ(チキンスープ)で炊いたご飯のこと。調理の過程で自然にご飯・鶏肉・スープの三点セットが出来上がってしまい、まさにトリ尽くしといったところ。私も家で作ったことがあるが、いざプロの味を堪能しようと思っても関西でこの料理を出す店は滅多になく、海南鶏飯が好物の私にとっては感動の再会。食べれば必ずハマること間違いなしのこの料理、食の都・大阪でも気軽に食べられるようになる日が来ればいいのだが。
《ええ、おいしかったですとも》
お腹も気持ちも満たされたところで、バスターミナルで上水へのバス乗り場を探す。事前情報によると逆方向、つまり上水→元朗だと上水の乗り場は少々分かりにくい場所にあるらしいのだが、こちらはバスターミナル内なのであっさり見つかった。二階建てバスが来ないかな?と期待してみたが、残念ながら普通のバス。おまけにここが始発ではないので、座席も結構埋まっていた。若い男の子の隣の通路側に腰掛ける。
雨はいよいよ激しさを増してきており、バスは元朗の市街地を抜けると、水煙を上げながらハイウェイを疾走する。ガイドブックの地図によると新田公路、続いて粉嶺公路を経て上水へ・・・というルートを取るようだ。この辺りは中国との国境(※今ではどちらも中国ですが、従前と変わらず入境/出境審査があるので、実質的には別の国です)に近く、心なしか緊張感が漂っている気がしないでもない。道路標識には「落馬洲(クルマで国境を越える際のメインゲート)」の文字もあり、しばしばバスを追い越していくトラックも、香港と中国本土双方のナンバープレートを装着している。
雨に煙る人口希薄地帯の景色は単調で、無聊を持て余すことに。隣の男の子はMade in JapanのPSPに没頭しており、根拠もなく征服感を感じる一方で、日本と異国の狭間をふわふわと漂流するような不思議な気分である。
ひたすら高速道路を驀進し、やがてバスのスピードが落ちるとインターを降り、程なく上水に到着。依然雨足は弱まらず、とうとう折り畳み傘を開くことになってしまった。
(2006.12.13)
« 香港 (2-6)新界LRT | トップページ | 香港 (2-8)東鉄線(上水~九龍塘) »
コメント