フランス (2-1)長い一日の始まり
4月5日土曜日、午前6時前という夜も明けきらぬ早朝に起床。これから乗車する列車の時刻に合わせる為だが、実はこの早起きは旅行中何だかんだで終始続くことになる。健康的でいいけどね。
朝食が6時半からなので、支度を済ませて時間ぴったりに地下の食堂へ。かつてのワインカーヴ(貯蔵庫)を改造したもので、石積みの丸天井、そして壁に掛けられた近代パリの点景写真(建設中のエッフェル塔とか)がえもいわれぬ情緒を醸し出している。さすがにこの時間だと給仕のおばちゃん以外には誰も居らず、部屋を独り占め。
メニューはクロワッサンやデニッシュなどのパン類、ハム、チーズ、シリアル、ヨーグルト、ミルク、フルーツジュース、ホットコーヒー、ホットココア、紅茶といったラインナップ。ホットミールが見当たらず今一つ彩りに欠ける感じは否めないが、フランスの朝食はパンとコーヒーでチョチョイと済ますスタイルが一般的なのだとか。無論、郷に入りて郷に従う必要はさらさら無いわけで、メニューを全部制覇するつもりでたっぷりと腹に詰め込みましたとさ。
さて本日最初の目的地は、パリから南東へ90kmほど離れたプロヴァンという田舎町。12世紀から13世紀にかけ、南北交易路の要衝として当時のパリをも凌駕する程の発展を遂げた町で、その後水運の発達に伴い急速に衰退したことから現在に至るまで中世の街並みが完璧に残っており、2001年には『中世市場都市プロヴァン』としてユネスコ世界遺産に登録された。計画段階からパリ滞在中一日くらいは近郊へのエクスカーションを盛り込みたいと考えており、今回の旅のテーマが田舎町巡りという事もあってヴェルサイユやモン・サン・ミッシェルといった混雑が容易に予想されるメジャーどころはまず候補から外れ、汽車旅が楽しめるちょっと遠めの場所、ついでに世界遺産の訪問リストも増やしておきたい・・・ということで白羽の矢が立ったのがプロヴァンというわけだ。穿ったことを言うと、まだ凱旋門もエッフェル塔も見てないうちからどうしてパリを飛び出すのか?ということだが、スケジュールの都合上今日しか行ける日がないのである。その訳は後ほど・・・って、伏線張ってばっかりですね。
朝7時のCadet駅ホームは、土曜日ということもあって通勤客の姿も無く閑散とした様子。パリのメトロは非常に駅間隔が短いことで有名だが、東隣のPoissonnière駅はここからだとそれこそ手が届きそうなほどにすぐ近くに見える。
僅か2分余りでプロヴァン行き列車の始発駅であるパリ東駅(Paris Est)に到着。駅構内に直結している出口もあるものの間違えて表へ出てきてしまったが、お陰でターミナル駅らしい堂々とした構えの駅舎を外から眺めることが出来た。
パリには方面別に7つのターミナル駅があるが、ここパリ東駅はフランス東部、シャンパーニュ・アルザス・ロレーヌ地方への玄関口。2007年6月にはLGV(高速新線)東ヨーロッパ線が開通し、TGVによってフランス東部各地への到達時間が大幅に短縮されたほか、お隣ドイツご自慢のICEが遂にパリへの乗り入れを開始。ルクセンブルク・フランクフルト・シュトゥットガルト・ミュンヘン・チューリッヒといった国外主要都市を結ぶ高速列車も多数発着するようになった。
《LCDによる発着案内。長距離列車出発(左上)・長距離列車到着(左下)・近郊列車出発(右下)》
この駅には明後日ストラスブールへ向かう際に再度立ち寄ることになるのだが、今日乗車するのは近郊列車。2番線から30番線まであるホームのうち、真ん中の13番線から22番線までが近郊列車の発着専用に充てられている。その為ヨーロッパの駅には改札は一般的に存在しないのだが、これらのホームへの出入り口には珍しくRERと同仕様の自動改札機が設置されている。
プロヴァン行き列車は16番線から7時45分に発車となる。発車時刻も近付いていることだし、早速ホームへ向かうとしよう。
(2008.04.05)
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