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2008.09.25

フランス (2-11)パリトラム3号線

Porte d'Ivry―[T3]→Pont du Garigliano

トラム3号線は市南西のPont du Gariglianoと市南東のPorte d'Ivryを結ぶ全長7.9kmの路線。2006年12月に開業し、パリ市内では約70年振りに路面電車が復活したということで地元では大きなトピックになったそうだ。パリ市の境界となっている環状高速道路(ペリフェリック)のやや内側を同じく一周する環状道路、Boulevards des Maréchaux(ブルヴァール・デ・マレショー)上に敷設されており、かつてパリに存在した環状鉄道、プティット・サンチュールの南部の路線をほぼ引き継ぐ形になっている。

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《(上2枚)Porte d'Ivryにて》

トラムのチケットはメトロと共通で一乗車1.5ユーロ(2008年9月現在は値上げされて1.6ユーロ)。もちろんカルネ(回数券)も使用可能である。この市内の公共交通機関の共通チケットである「Ticket t+(チケ・テ・プリュス)」と呼ばれる切符、バス相互間やバス⇔トラムでは1時間半の間なら乗り継ぎが自由になるのだが、メトロやRERを利用する場合は別にもう一枚チケットが必要になってしまう。気軽にぶらり途中下車を楽しむためにも、試乗目的ならば「Mobilis」や「Ticket Jeunes」といった乗り放題きっぷを用意しておきたいところだ。きっとすぐに元が取れるはず。

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《Porte d'Ivry駅ホーム》

ホームの発車案内板によると、今の時間(土曜の17時45分頃)は6分間隔での運転。程なく東側の引き上げ線から7両連接の電車がスルスルと入線してきた。真正面から見ると横幅にボリュームのある感じだが、ちょっと角度を変えるとスマートな卵形に見えるという、なかなか趣向を凝らしたデザインだ。パリのトラムでは信用乗車方式が採用されており、車内のキャンセラーで自分でチケットに刻印するようになっている。当然抜き打ちで(無賃乗車の常習犯にとっては)コワイコワイ検札員が乗ってきたりするのだが、今回の試乗では一度も出会わなかった。

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《トラム3番線車内》

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《座席。壁面の色はライムグリーン》

「ヒュイ~ン」と小気味良いVVVFサウンドを奏でながら、マレショーを一路西へ向けて出発。Porte d'Italieまではさっき乗ってきた7号線の直上を戻っていく。メトロとトラムの駅数は全く同じで、パリのメトロの駅間隔が短いのも嘗てパリ市内に路面電車が張り巡らされていた時代の名残だとか。なるほど。

沿線にはボコボコと高層マンションが林立し、東京湾岸のニュータウンのような様相を呈している。渋滞気味の車道を尻目に、トラムはセンターリザベーションとなった道路中央をスイスイと進んでいくが、一方でトラム敷設の為に車線が縮小されて渋滞が悪化したという見方も出来るかもしれない。近年では世界規模で路面電車復活の機運が高まっているが、地下鉄や高架鉄道と比較すると建設コストや利便性の面では優位にあるものの、こういったトレードオフの関係が避けられないのが悩ましいところである。

Porte d'Italieから先はトラムの単独区間。しばらく走ると街路樹越しに中層のアパルトマンが建ち並ぶ、パリらしい風景になっていく。Cité Universitaire(国際大学都市)駅付近では右手に緑に溢れたモンスーリ公園が広がり、途中下車してみたい衝動に駆られるが、ここは短期旅行者の哀しさ・・・である。

トラム3号線はパリ中心部から放射状に延びるメトロ・RERの計7路線を繋いで走っており、不意に繁華街らしい街並みが現れたと思えばメトロとの接続駅だったりする。同じ地上を走る乗り物でもバスだと複雑な系統も相まって、土地勘に疎いうちはなかなか積極的に乗ってみようという気にもなれないが、路面電車ならば心配はご無用。延々と闇の中をゆくメトロには無い楽しみに満ちている(メトロはメトロでちょっとしたイベントがあったりするのですが・・・ その話は後で)。

マレショーには結構起伏もあるのだが、最新鋭の電車はそんな坂も物ともせず軽やかに駆け抜けていく。椅子は硬いが不快な揺れは全く感じず、氷の上を滑るようなすこぶる上々の乗り心地。始発駅の出発時点では立ち客も多かった車内も西進するにつれて徐々に乗客の数を減らし、最終区間はスッカラカンになってしまった。

繁華街と住宅地を繰り返しつつPorte d'Ivryから30分弱、セーヌ川に架かるガリリアーノ橋の東詰に位置するPont du Garigliano駅に到着する。さっそく電車の写真をパチパチ撮っていると、ネクタイをビシッと決めた折り返し電車の運転手と目が合い、ニカっと笑われる。この辺りは外国人が観光で訪れるような場所ではないし、鉄道趣味というものの存在を認識してくれているのかどうか。

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車両は国産でアルストム社製。窓の上下にはRATPのコーポレートカラーの帯が巻かれており、所々にパリの街から切り取った点景写真があしらわれている。その写真のチョイスもなかなかセンスに溢れているので、試乗の際には是非ご注目あれ。

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【動画】パリトラム3号線の車窓から

お次はトラム2号線へ。

(2008.04.05)

〔関連記事〕パリトラム2号線


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