フランス (2-12)Boulevard Victor~Val de Seine
ガリリアーノ橋は市のほぼ南西端でセーヌ川をまたいでおり、一般道の橋の中では市内で最も下流に位置している。ここまでやって来るとあの優雅なセーヌの流れもただの都市河川だ。わずかな滞在時間のうちに多くの貨物船が行き交い、回送のクルーズ船も通り過ぎていった。
《橋上から下流方向を眺める。すぐそばをペリフェリックが通過》
上流方向に視線を転じると、集合住宅の陰から本日の最終目的地であるエッフェル塔がその威容を現している。まだ分厚い雲は残っているが、ここに来てようやく天候も回復の方向へ向かっているようだ。
橋の東詰にはこの界隈で抜きん出て存在感を示している、ガラス張りのフランス・テレビジョンの社屋が。この国の公共放送を統括する会社で、要するにフランスのNHKである。
Boulevard Victor―[RER-C]→Issy Val de Seine
ガリリアーノ橋の真下にあるRER-C線のブールヴァール・ヴィクトール駅から、南へ一駅のイシー・ヴァル・ド・セーヌへ移動する。イシー・ヴァル・ド・セーヌはパリの市域外となり、「Ticket t+」は有効範囲外となる。一方メトロだと市内・市外に関わらず全線均一運賃なので、例えばこれから向かうラ・デファンスとパリ市内との間ではメトロとRERで運賃が異なるという現象が発生してしまうのだが、そんなややこしい事を考えずに済む一日乗車券はやはり便利である。
《RERの自動改札機。一番右のレーンはIC乗車券・NAVIGO専用》
《Boulevard Victor駅ホーム。「Pont du Garigliano」の副駅名がついている》
RER-C線はパリ市内からヴェルサイユ宮殿へのアクセスラインの一つであるため、観光客の利用も多い路線。・・・なのだが、ホームに降りて発車案内板を見ると次の電車は十数分先。C線はエッフェル塔の辺りで二股に分岐しており、半数程度の電車はそちらへ振り分けられてしまうようである。たった一駅の為に足止めを食らうのはどうにも解せないが・・・。橋の下を吹き抜ける風は冷たく、ガラスの防風スクリーンに囲まれたベンチでじっと電車を待つ。
相変わらずホームから見上げると凄い迫力の二階建て電車でイシー・ヴァル・ド・セーヌへ。ホームからスロープを下るとすぐそこがトラム2号線との乗り換え改札口なのだが、「Ticket Jeunes」を受け付けてくれない。というか、そもそも切符の投入口がシャッターで閉じられてしまっているのである。故障かと思いきや全部の改札機が一様にそうなので打つ手も無く途方に暮れていると、IC乗車券を改札機にタッチして通っていったおじさんが振り向き、「バーを押して!」とジェスチャーしている。その通りにしてみると・・・ おいおい、切符入れなくても通過できるんかい! 私の後から来た老夫婦も見事に引っ掛かり、身振り手振りで教えてあげたのは言うまでもない。「ややこしいね~」と4人で顔を見合わせて苦笑いである。
ホームで次の電車を待っていると、またもや高校生くらいの男の子と女の子のグループが改札機の手前で立ち往生している。線路越しに大声で教えてあげるのだが気付いていない様子で、どうするのかと思いきや・・・ なんと男の子がバーをジャンプして強行突破。おお、伝説のautoréduction(自主割引。つまり無賃乗車のこと)を実践する現場を目の当たりに出来るとは!(違うって) 女の子の方も「よいしょっ」とバーを跨いで何とか通過。地元の人間でさえこれだけ難儀するのだから、案内の不備にも程があるのではないのかなぁ。
そんなこんなで次回はトラム2号線に乗車します。
(2008.04.05)
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