フランス (2-8)乗り換え乗り換え、また乗り換え
Transilien/LigneP Provins(13:47)→Gretz Armainvilliers(14:47)
駅に着くと列車は既に客扱いを始めており、車内で発車を待つ。せめてあと1時間あればセザール塔や博物館などを見学する時間も捻出できたのだが、土日祝日は列車の本数が極端に減ってしまい、13時47分の次は16時21分まで3時間近くも空白が出来てしまうのである。しかもこの列車は往きのようにパリ東駅発着ではなく、ぐっと手前のGretz Armainvilliersが終点。パリ方面へはRERのE線に乗り換えなければならない。
トコトコと単線の線路を進みロングヴィルに到着する直前、木立ちの向こう側をトロワ方面へ向かう急行列車が猛スピードで追い抜いて行った。今回の旅ではTGVには乗車するのだが、SNCF在来線の長距離列車を利用するチャンスは残念ながら無い。またいつかフランスレイルパス等を活用して、存分にフランス国鉄の旅を楽しんでみたいものだ。
走り出してまだ10分、ロングヴィルで再び11分の長時間停車である。固い座席でジッとしていても仕方が無いのでホームに出てみると、いつの間にか青空が広がり始めていた。
本線の向こう側、駅舎の方角を見渡していたところ、またしても「コンニショワ~」。声のする方を向くと、駅舎の傍で人懐っこそうな黒人のティーンの女の子二人組が手を振っている。大の知日家・親日家であるシラク元大統領の功績か、フランスでは日本文化への関心がかなり高いという。それ自体は必ずしも本質的な理解に直結するわけではないにせよ、遠い東洋の国に親しみを感じてくれる事は手放しで嬉しい。二国関係というとどうしても政治・経済というマクロなレベルで論じられがちだが、案外こういう草の根的なネットワークが世界を変えていくものなのかもしれない。
この先は複線区間となり、優等列車を先に通すわけでもなく何の為の長時間停車なのかさっぱり分からなかったが、とにもかくにも支線から本線に出た途端、生き返ったかのように力走が始まった。日中に3時間近くも運転間隔があいてしまうことからさぞ車内も閑散としているのだろうと思いきや、途中駅でもコンスタントに乗車があり、行きの列車とは段違いの盛況ぶり。若い人の姿が多いのも意外で、これからパリへ遊びに行くのには遅い時間のはずだが、ひょっとするとナイトライフが目的なのかもしれない。

《(上2枚)Longueville~Gretz Armainvilliers間の車窓から》
プロヴァンから丁度1時間、RER-E線との接続駅であるGretz Armainvilliersに到着。4両の客車からは「こんなに乗っていたのか」と驚いてしまうほどに多数の乗客が降り立ち、RERの出発ホームへ渡る跨線橋は一瞬人波で埋め尽くされた。
RER-E Gretz Armainvilliers(14:55)→Val de Fontenay(15:20)
ひとつ手前のTournan(トゥルナン)が始発のRER-E線電車は、8両から10両くらいの長編成。堂々とした体躯の二階建て車両は、低いホームから見上げるとより一層迫力が増す。始発近くなので車内は空いており、難なく二階の窓側席を確保。ロングヴィルでは回復の兆しをみせていた天候は再び悪化し、走り出してしばらくすると窓を雨粒が滴りはじめた。
さて次なる目的地は、パリのトラム3番線の東の始発駅であるPorte d'Ivry(ポルト・ディヴリー)という駅。ラクに行くならば北駅と東駅の間に位置するMagenta(マジェンタ)でメトロ7号線に乗り継げばたった一回の乗り換えで済むのだが、RER-E線はパリの東側から若干北へ回り込むような形で市内へ入るのに対し、Porte d'Ivryは市の南東部に位置するので、途中のVal de Fontenay(ヴァル・ド・フォントネー)からRERとメトロを乗り継いで行くルートが距離的にも時間的にも近そうだ。鉄道趣味的にもより多くの路線を体験できる方が充実することだし。
行きはノンストップの列車で走り抜けてしまったこの区間も、RERは各駅に停車していく。結構こまめに駅が設置されており、往路に感じた人口希薄地帯という印象から一転して生活の匂いが濃厚に伝わってくるのだから不思議なものである。時間はかかるものの、これだから各駅停車の旅は面白い。
いよいよ都会の気配が漂い始めたVilliers sur Marne Le Plessis Trévise(ヴィリエ・シュル・マルヌ・ル・プレシ・トレヴィズ)を過ぎると、いきなり次駅をシュンと通過して面食らった。Val de FontenayはRER-A線との接続駅なのできちんと停車してくれたが、慣れないうちは結構ハラハラさせてくれるRERである。
Val de Fontenay―[RER-A]→Nation―[M6]→Place d'Italie
ヴァル・ド・フォントネーでA線へ。こちらも二階建ての電車だが、下車駅のナシオンはすぐなので扉の横に立つ。時刻は午後3時半、腹の虫がうずいて止まらない。というのもプロヴァンでゆっくり昼食を摂るヒマがなく、然りとてドネルケバブでも買って列車の中でパクつくのも、ひょっとしたらマナー違反かもしれないという疑念がよぎった為、ここまで食事を持ち越してしまったというわけ。乗り継ぎルートの途中にイタリー広場という繁華街があるので、ここで一旦途中下車して遅い昼食にありつこうと思う。
Nation(ナシオン)でまたまたメトロ6号線に乗り換え。RERはもう地下線に潜っているが、電車が出て行った後に全容を現した、大ホールのような巨大なホームにおったまげる。戦車でも通すつもり?
6号線はパリメトロの例に倣って小ぶりの車両。ベルシーを出ると地上に躍り出て、セーヌ川を橋で渡る。しばらくヴァンサン・オリオール通りを高架線で走り、再度地下へ戻っていくと間もなくPlace d'Italie。プロヴァンを発って既に2時間、頭の中はメシのことで一杯である。
(2008.04.05)
« フランス (2-7)中世市場都市プロヴァンその5 | トップページ | フランス (2-9)LES DEUX MOULINS »
« フランス (2-7)中世市場都市プロヴァンその5 | トップページ | フランス (2-9)LES DEUX MOULINS »











コメント