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2008.09.21

フランス (2-9)LES DEUX MOULINS

地下鉄の駅から地上にあがってまず最初に目に飛び込んできたのは、おなじみケンタッキーフライドチキン。こと外来文化に関しては保守的なイメージのあるフランスでも、アメリカ文化の権化たるファーストフードは着実に浸透しつつあるようで、店内には長蛇の列が出来ている。私は日本を出発する少し前にケンタッキーを利用していたので、特に珍しいメニューも無さそうだったためここはパス。ちょうど隣に雰囲気の良さそうなカフェ兼ブラッスリー(庶民的な食堂)があり、食事もできるようだったのでそこを選んでみた。

白熱灯風の照明が暖かく照らすクラシックなインテリアの店に入ると奥にはカウンターが並んでおり、地元民らしき立ち飲みの客がちらほら。比較的広い店内を占めるのは殆どがテーブル席で、適当に腰掛けていると程なくして如何にも典型的な欧米人の中年女性という感じの、恰幅の良いやり手そうなマダムが注文を取りに来た。店内に入るやいなや、黒板に書かれた「本日のおすすめ」欄のメニューをガイドブックと首っ引きで照合作業を行っていたのだが、結局一番値段の高いメニューが辞書に載っていたこともあり、量も多かろうということでサクッと決定。一緒にカラフ・ドー(瓶入りの水。転じてミネラルウォーターではない水道水のこと。無料)も頼んでおいた。ここのメニュー、フランス語の筆記体ではあるが丁寧に書いてあって読みやすい。ここまで幾つかレストランの店頭のメニューをチェックしていたのだが、店によっては黒板に乱暴に殴り書きしミミズがのたくっているようにしか見えないものもあり、観光客などハナから相手にしていないような地域密着型の店には魅力を感じるのだが、やはり踏み込む勇気がなかなか持てないのは確かである。

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ランチタイムや夕方以降なんかはてんやわんやなのだろうが、午後4時という中途半端な時間のブラッスリーは客も疎らで、カウンターの向こうのギャルソンも客とちらほら会話を交わしつつ台所の手入れ中。「ザー」という音に外を見やると、いよいよ雨脚が強まり街角の風景も煙っている。ふとトイレに行きたくなり店内を探し回っていたところ、「ムッシュー!」とさっきのマダムに呼び止められ、地下へおりる階段を教えられた。そうそう、パリのカフェって地下にトイレがあるんだっけ。ブラッスリーひとつ取ってみても、パリという街には独特な雰囲気があると実感するのには充分である。

そんな心地よい空気に浸っていると、やがて料理がご到着。アントルコート、牛の背肉のステーキである。メニューには付け合せに「Frits ou Salade」と書かれており、「ou」は「または」という意味なのだが、フランス語が通じない外国人に説明は無用とあってか、両方が山盛りになって出てきた。肉は250g、そしてフレンチフライとサラダの他にパンも付いてくるので、量は相当なものである。

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《写真ではそんなに大きく見えませんが・・・》

味はというと・・・ 美味いとか不味いとかという以前に、空腹を引きずってきた身にとってはまさに天の恵み。ソースはベアルネーズソースで、ちょっと味付けが大人しすぎるかなという気がしないでもないが、十分美味しい肉である。普通の人ならばなかなか皿の中身が減らずに途方に暮れるのかもしれないが、こちとら最後まで順調に平らげ、ようやく人心地ついてホッとした。

「おいしかった?」と皿を下げに来たマダムに「デザートはいかが」と水を向けられたが、私の真正面にはティラミスの収まった冷蔵ケースが。ということで、デザートまでいっちゃいました。今日は晩メシ要らないなぁ。

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時計を見ると、のんびりしている間にもう午後5時を回ってしまっている。これから先も予定が立て込んでいるので、雨も止んだことだしお勘定を済ませて出発することに。ステーキ14.5ユーロにティラミス4.5ユーロで計19ユーロ(3040円)。決して安くはないが店の居心地も良かったし、飾り気のない素顔のパリに触れられて有意義であった。入る前は気付かなかったが店の名前は「LES DEUX MOULINS(二つの風車)」といい、これは一昔前に日本でも話題になったフランス映画、「アメリ」で主人公が働いていたカフェと同じ名前だそうな。私はこの映画は見ていないのでなんともコメントのしようがないのだが(サントラは好きで時々聴いてるけど)、別にパクったわけではなく、かつてパリの市域がもっと狭かった時代、郊外の農村地帯には風車が建ち並んでいたそうで、ここイタリー広場の周辺もそうだったとか。

せっかくイタリー広場に立ち寄ったことでもあるし、少し散歩してからトラムに乗りに出掛けることにする。

(2008.04.05)


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