フランス (3-9)チュイルリー公園~コンコルド広場
ルーヴル宮殿を背に、チュイルリー公園(Jardin des Tuileries)の中央を通ってコンコルド広場へ向かう。もとはルーヴル宮殿のすぐ西側に隣接していたチュイルリー宮殿の庭園だったが、宮殿は19世紀に焼失してしまい庭園のみが現存している。
下の写真はカルーゼル凱旋門付近からシャンゼリゼ方面を向いて撮影。チュイルリー公園の中心線を軸に、コンコルド広場のオベリスク、エトワール凱旋門、ラ・デファンスの高層ビル群が一直線上に並んでいる様子が見て取れる。
この広大な公園を取り巻くのは東のルーブル宮殿、そして公園北縁を走るリヴォリ通り越しには屋根の高さがきっちりと揃った建物がずらりと並び、あたかも単一の建物のように見える。景観を乱すものは一つとして存在しない調和美の極みに感服すると同時に、あまりに景観に無頓着な我が祖国のありさまが恥ずかしく思える。
公園内にはそこかしこに彫像が展示されており、ちょっとした彫刻美術館のよう。そんな中で際立って異色の存在である巨大なオブジェが公園の一角にあり、それがこちら。
この蜘蛛は、現在ニューヨーク在住のフランス人アーティスト、ルイーズ・ブルジョワによる『ママン(Maman)』という作品。Mamanはフランス語で母親を意味し、その名の通り蜘蛛を彼女の母親に重ね合わせているそうなのだが、その辺は芸術家特有の感覚なので何とも・・・ 接地しているのはか細い8本の足のみで、上手くバランスを取ってるなぁ、とちょっと感心してしまった。
公園のヘソには円形の噴水があり、池の周囲にはデッキチェアーがいくつも置かれている。足の痛みがひかないので、ここでちょっと休憩。午後になって雲の合間から青空が覗き始め、ぽかぽかと日向ぼっこをしているような気分だ。他にデッキチェアーに座っている人々を観察すると、連れと会話を楽しむ人、ノートパソコンで黙々と仕事かネットサーフィンかに精を出す人、子連れの家族たち・・・と、なんとも平和な時間の流れる市民の憩いの場である。あぁ、もし時間が許してくれるのならば、このまま夕方まで陽光を浴びてまったりと過ごしていたい。
半時間ばかりそよ風に吹かれながら一休みし、公園のすぐ西側のコンコルド広場(Place de la Concorde)へ。フランス革命後の混乱の時代、この広場には断頭台(ギロチン)が設置され、ルイ16世やマリー・アントワネットをはじめとした1300名以上の人々が粛清の犠牲となった。フランス革命の光と影を内包したこの広場、今ではエジプトから運ばれたオベリスクが中央に設置されており、セーヌ右岸の道路交通の要として車がひっきりなしに行き交っている。
広場の南側、コンコルド橋(Pont de la Concorde)の向こうにはフランス国民議会として使われているブルボン宮が。
180度振り返って北側、ロワイヤル通り(Rue Royale)越しにはマドレーヌ寺院を望むことができる。写真を撮影していると、この交通量の非常に多い交差点のど真ん中を自転車で颯爽と通り過ぎる勇者が・・・。
そしてこの広場の西側がシャンゼリゼ通りの起点。というわけで、次回はシャンゼリゼ通りを凱旋門へ向けて出発します。
(2008.04.06)
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