« ドイツ (1-1)ICEチョイ乗り | トップページ | ドイツ (1-3)フライブルク旧市街その1 »

2009.01.22

ドイツ (1-2)はじめの一歩はフライブルクから

シュヴァルツヴァルトの南西部に位置するフライブルクは人口20万人余りの大学都市。正式名称はフライブルク・イム・ブライスガウ(Freiburg im Breisgau)となり、ここからそう遠くないスイス国内にもフライブルクという同名の町があるので(但しフランス語読みの「フリブール」の名称が使われる事が多い)、特に鉄道のチケットを購入する場合など結構使い分けは重要である。

このさして大きくもない町(ドイツでは人口10万人以上で大都市と区分されるので、その定義に従えば十分大都市なのですが)の名が日本でも広く知られている理由は、しばしば「環境都市」や「環境首都」といった“定冠詞”を伴って紹介されることに端的に現れているように、環境問題に関心が高いドイツ国内でも抜きん出て先進的な環境政策を実行していることである。私も帰国後にフライブルクの環境政策への取り組みをテーマとした書物に何冊か目を通してみたのだが、特に内外から注目されているゴミ問題・エネルギー問題に関しては古くからの取り組みとそれによるノウハウの蓄積が功を奏して、既に高度なサイクルシステムが確立されている。小学校から「エコの授業」が取り入れられ、自ずと市民の環境意識が高まることもうまく作用しているのだろう。フライブルクの目指す究極の目標としては、「地域内だけで完結した自給自足による環境サイクルを実現」することにあるようで、とにかく政策の具体性、そして何よりも本気度が違う。もちろんフライブルクでも最初から環境問題への関心が高かったわけではなく、自動車交通の増大に起因する大気汚染、そして酸性雨によるシュヴァルツヴァルトの枯死など苦い経験が生かされた結果なのだが、掛け声ばかりが空しく響くだけでなかなか真剣には考えられない我が国も(むしろ近頃は「エコ」という言葉が独り歩きして単なるファッション化しているような風潮も・・・)少しは見習いたいところである。

とはいえ一介の、それも一泊限りの旅行者がそんな市民生活を実感する場面はあるはずもないのだが、フライブルクの環境政策における三本柱のひとつである交通政策にはその一端に触れることもできよう。というわけで、街の風景の一つとしてすっかり溶け込んでいるトラムでホテルのある街の中心部へ向かうことにする。

フライブルク中央駅のトラム停留所は駅構内を直角に乗り越える跨線橋上に設けられており、各ホームの端から階段やエスカレーター、エレベーターで直接停留所にアクセスすることが可能。この辺は改札のないドイツの鉄道の柔軟性が最も顕著に現れた部分である。

20080409121400s
《フライブルク中央駅・トラムのりば》

フライブルクのトラムは2008年4月現在1・2・3・5の4系統が運行されており、ストラスブールのトラムと同様にそれぞれにラインカラーが付けられている。そのうちフライブルク中央駅に発着するのは1・3・5の3系統。運転頻度も高く、ひっきりなしに電車が発着しているような印象である。

目的地のOberlindenへ行くのは1系統。ホームに設置されている券売機でゾーンA(トラム全線が含まれる)用の一回券を購入する。お値段は2ユーロ(320円)とロンドンの地下鉄も顔負けのびっくり価格。今日はトラムを色々と乗り歩いてみる予定なので5ユーロの24時間券を購入する方がお得なのだが、ちょっとアテがあるので・・・


《フライブルクトラムの一回券》

赤のラインカラーを方向幕に掲げた1系統の電車に乗り込む(車内のチケットキャンセラーでの刻印を忘れずに!)。跨線橋のスロープを下って地上に降りると、もうそこはトランジットモールの真っ只中。繁華街は往来する人々で賑わい、非常に活気のある様子が車内からでも手に取るように伝わってくる。市のヘソであるBertoldsbrunnenを過ぎると狭い路地をそろそろと進み、間もなくOberlindenに到着。

下車後は予約してあるホテルへ歩いて行くが、地図上に示されたポイントにそのホテルの姿は見当たらず。仕方なく地図を広げて再確認していると、傍にいたおばさんが「何処へ行きたいの?」と声を掛けてきてくれる。ホテルの名前を指し示すと、自分では分からないのかまたそばにいたおじさんを呼んで訊ねてくれた。お陰様で直ぐに難なく発見することが出来たのだが、あぁ、この困っている人には躊躇いなくスッと手を差し伸べてくれる親切心こそがゲルマン民族の素晴らしさだよなぁ、と、8年前のスイスの旅をふと思い返してしまった。この短い旅でも何度「ダンケ・シェーン(どうもありがとう)」を連発したことか。

というわけで『Hotel Schwarzwälder Hof』にチェックイン。シャワー・トイレ付き、朝食込みで一泊60ユーロと割とお手頃だったのが決め手となった。「地球の歩き方」にも掲載されているので日本人が多いのでは?と予想していたが、意に反してこの一泊限りでは一度も見掛けなかった。ちなみにフランスのホテルでは朝食は別料金が基本なのに対して、ここドイツでは逆に一部の高級ホテルを除けば部屋代に朝食が含まれているのが原則なので、お得感がある。

そして出掛ける前に忘れずにゲットしておきたいのが、フライブルク都市圏のホテルの宿泊者に無償配布される、RVF(フライブルク地域交通連合)管内の公共交通機関が乗り放題となるパスである(右の写真)。フライブルクやその周辺地域ではパークアンドライドの促進や格安の環境定期券(レギオカルテの名称で知られている)の導入など、自家用車から公共交通機関への移行を促す様々な施策が実行されているが、我々旅行者とてその対象の例外ではないというわけだ。有効期間はホテル到着直後からチェックアウト日の終日まで。その有効範囲はかなり広く(ゾーンの端から端まで70km近くあったりする)、近郊のエクスカーション程度ならばこれ一枚で充分間に合ってしまうほどである。一応パスの裏面には有効となる地域の地図が載っているが、実際の利用にあたってはRVFのホームページからダウンロードできる詳細なゾーンマップを持参した方が便利だろう。

フライブルク地域交通連合(都市圏全体の公共交通を統轄)
http://www.rvf.de/

フライブルク交通株式会社(市内交通を担当; 英語版のページにリンク)
http://www.vag-freiburg.de/index.php?id=49&L=1

ちなみにこれはチェックイン時に黙っていると貰えなかったりするので(今回がまさにそう)、そういう場合はちゃんと必要な旨を伝えるべし。一応正式名称があるようだが(私のパスには『KOMBI TICKET』と書かれていました)、私の場合は英語の「Regional Pass」で通じた。

かなり前置きが長くなってしまったが、荷物から開放されたところで早速街歩きに繰り出すとしよう。

(2008.04.09)



« ドイツ (1-1)ICEチョイ乗り | トップページ | ドイツ (1-3)フライブルク旧市街その1 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドイツ (1-2)はじめの一歩はフライブルクから:

« ドイツ (1-1)ICEチョイ乗り | トップページ | ドイツ (1-3)フライブルク旧市街その1 »

スポンサーリンク

Blog内検索

無料ブログはココログ