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2009.06.11

香港2008 (1-2)龍運E34の車窓から

龍運E34 機場(地面運輸中心)(14:15)→天水圍市中心(15:25) ※実時間

同時発車の空港バスと隊列を組みつつバスターミナルを離れる。前を走っていたバスはすぐに高速道路へと入っていくが、当方のバスは空港島内をぐるりぐるりと巡回していく。というのも、空港バスには番号の頭にAがつく系統とEがつく系統の2種類があり(※深夜帯のバスはN)、Aの方は所謂リムジンバスに相当する系統でバスターミナルを出るとまっすぐ市内を目指していくが、いっぽうEは空港島の諸施設や対岸の東涌へ寄り道してから市内へ向かうという、いわば“各駅停車”。車内設備にも区分がされており、Aはリクライニングシート装備のグレードアップ車両が用いられるのに対し、Eは市街地を走るバスがそのまま空港へ乗り入れてきたという感じの普通の車である(但し荷物置き場のある特別仕様)。

天水圍行きのバスはE系統だけなので、ぐるぐる走り回る分だけどうしても所要時間が余計に掛かってしまうが、どちらにしても空港と市内との間は高速道路に乗るので、実の所そう大差がつくわけでもない。むしろコストパフォーマンスに長けるのは圧倒的にEの方で、天水圍市中心まで13ドル(約150円)という値段は、先進国の乗り物とはとても思えないほどの激安運賃である(走行距離を考えると尚更に)。

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《(上3枚)空港島内を巡回中》

そういえば2年前に乗車したMTR東涌駅行きのS1バスも空港島を回っていたが、あちらとは全然コースが異なるよう。10分少々かけて巡回を終えると、昂坪360(ロープウェー)と並行してランタオ島へと渡る、確かに見覚えのある橋を通過して東涌へ。間もなく「東涌纜車站」という、ロープウェー乗り場前の停留所に停車する。バスターミナル出発時点ではガラガラだったがこの停留所でまとまった乗車があり、車内もかなり賑やかに。空港バスと言うよりは寶蓮寺帰りの行楽客がメインのような雰囲気である。

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《ランタオ島へ渡る橋》

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《富東商場》

東涌駅前のショッピングセンター「富東商場」、そしてニュータウンの停留所にもう一つ停まると、いよいよ市内へ通じる高速道路へ。すぐに左手に機場快綫/東涌線の線路が寄り添ってきて、その線路越しには真っ青な海。対岸の屯門の街もくっきりと見える。空は快晴、なにより二階建てバスの一番前からの素晴らしい眺望に心が浮き立たないはずがない。

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《(上3枚)北大嶼山公路を走行中》

やがてランタオ島から島伝いに本土へと渡って行くが、ここが空港バスならではの見所。2層式になっている汲水門大橋と青馬大橋において、下層を走る鉄道からは防風壁に遮られて見られない橋上からのパノラマをたっぷりと堪能することが出来る。

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《汲水門大橋》

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《青馬大橋》

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《青馬大橋の上から左前方に見える汀九橋》

特に青馬大橋の方は2kmもあるので、まるで空を飛ぶような爽快感が味わえる。青馬大橋を渡りきって青衣島に入るとすぐに丁字路状のジャンクションに差し掛かり、九龍・香港島方面の右に対し、こちらのバスは左へ。そのまま青馬大橋から左前方に見えていた汀九橋へ続いていく。こうして3本も続けて海上の吊り橋を渡っていると、まるで瀬戸大橋を走っているかのようだ。

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《汀九橋の上から》

右手やや遠くには超高層ビルの如心廣場が一際目立つツェン湾の街、そして前方には海岸からかなり高所をへばり付くように走る屯門公路の高架が見え、ダイナミックなジャンクションでその屯門公路と直角にクロス。そのまま山の谷間へ分け入っていくと、程なく九龍と新界北西部を短絡する大欖トンネルへ突入していく。

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《大欖トンネル入り口》

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《トンネル内部》

くぐもった走行音を伴いつつ延長4kmほどのトンネルを抜けると、そこは新界の原野。すぐに「大欖隧道」という乗り換え専用のバス停に停車する。長い橋や長大トンネルの入り口付近など、数多くの系統が集中する場所にこういう停留所が設けられていて、出発地から目的地までの直通のバスが無くとも、ここで連絡を取ることによって補完しているというわけ。香港のバスの運賃は基本的に一回一回の乗り切り制だが、こういった停留所でオクトパスカードを使って乗り継ぐと後半のバスが無料になることも多いそうだ。このオクトパスの割引制度、私もこれから実際に何度かその恩恵に浴することになるのだが、その話はまた後ほど。

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《大欖隧道》

再び出発し谷間の無人地帯を進んでいくと、いつの間にやら右手にはMTR西鉄線が併走している。間もなく錦上路駅の駅舎が見えてくるのだが、前回の旅でこの駅に降り立った時には反対側の出口から出たので、駅のこんなすぐそばを高速道路が通過しているとはまるで気が付かなかった。

やがて遠くにゆらゆらと元朗の街並みが見えてくると共に人の気配が漂いだし、あれよあれよという間に高速を下りて街の真っ只中へ。軽鉄(ライトレール)が中央を走る元朗のメインストリート、青山公路である。ここから天水圍へは軽鉄が通じているが、何故かこの停留所から乗ってくる人も。

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《元朗又新街》

クルマの波を掻き分けながらメインストリートを抜けると、また少しだけ高速道路に乗り、最終目的地である天水圍の整然としたニュータウン風景の中へ。林立する高層アパートの合間には豊かな緑が広がり、シンガポールを髣髴とさせる公園都市である。

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《天瑞邨》

元朗までは50分弱だったが天水圍エリアに入ってからが結構長く、空港島内と同様にあちこち巡回。ホテルが見えてきて着いたー、と思ったら、またあさっての方向へ走り出す始末である。結局1ブロックをぐるりと回り、今度こそ終点の天水圍市中心に到着。標準所要時間は80分のようだが、それよりも10分早い70分だった。このように車窓は息つく暇もないほどの変化に富み、空港からホテルへ移動しただけなのに小さな旅をひとつ終えたような充足感があった。

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《E34バスのサイドビュー。天水圍市中心にて》

(2008.12.21)


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