香港2008 (3-2)リゾートバス、買い出しバス
シャウ箕湾には以前路面電車の試乗の際に一度訪れているが、こうして明るいうちにやって来たのは初めて。バスターミナルに向かう前に少し駅周辺を散策してみたところ、路地いっぱいに展開する生鮮市場は朝から熱気ムンムンの大盛況。中環のオフィス街や銅鑼灣の繁華街とはまた違う、パワフルな香港の素顔の一端を垣間見ることのできる、市場好きの私にとってこの上なく魅力的な街である。
ところで香港島一周の旅と銘打っておきながら、いきなり看板倒れになりかねないことなのだが、香港島を海岸線に沿って完全に一周するという道は実は存在しない。なかでも比較的険しい地形の続く東海岸には海に沿って走る車道はほとんど無いため、どうしても東半分は疎かになることは避けられない。
そんな中で少しでも埋め合わせをするつもりで最初の目的地として選んだのが、香港島のほぼ南東の端に位置する小さな海辺の村、石澳(Shek O/セックオー)である。この村は日本の一般的なガイドブックには載っておらず、私も旅の準備中インターネットで情報収集をしていてたまたま見つけた場所。地下鉄の駅からたったの数十分で行けるちょっとしたリゾート、ということで非常に興味深く、今回の旅でも最も楽しみにしているスポットである。
新巴9 シャウ箕湾巴士総站(09:34)→石澳(09:57) ※実時間
石澳への公共交通機関でのアクセス手段は、シャウ箕湾バスターミナル始発の新巴(新世界第一バス)9系統と、その辺に屯している(笑)赤のミニバス。休日の午後には中環からの直通バスも運行されるが、基本的には先の二種類のみである。二階建てバス大好きの私はもちろん9系統のバスを選択するが、辺境の村へ行くバスなんて一時間に一本、多くて二本くらいかと思っていたら、時刻表によると平日でも一時間に3~4本、休日にいたっては驚いたことになんと10本(6分間隔!)という頻発運転である。
既にバスは入線していたものの発車時刻までにはまだ時間があり、運転手も何処かへ行っている。というわけで乗車扉の前でしばらく待機していると、朝市に買い出しに来ていたらしいお婆ちゃんが開いている降車扉から入り、どっこいしょと大きな買い物袋を車内に置いて出てきたのだった。きっと夏場の休日は観光客で溢れ返るであろうこの路線も、平日はこうして日々の暮らしを支える生活路線としての役目を淡々とこなしている。
そのうち運転手がやって来て乗車扉を開き、オクトパスをタッチして2階へ。運賃は6.5ドル(約80円)である。最前列に腰掛けると間を置かずにターミナルを出発。シャウ箕湾の街を抜けると、すぐに丘に取り付いてエンジンの唸りを上げながら片側三車線の坂道を登りはじめる。シャウ箕湾は東と南を山、北を海という具合に三方を阻まれた地形で、今でこそ地下鉄が更に東のニュータウンへ延びているものの、長らく香港島北岸の市街地の東端だった地区である。ちなみにトラムの堅尼地城~シャウ箕湾間の開業が1904年なので、既に100年前に香港島北岸の市街地の全域が鉄路で結ばれていたことに。
《柴灣道を登坂中》
サミットで右折すると大潭道(Tai Tam Road)に入り、いよいよ本格的な山道へ。昨晩のビクトリアピークからの下山道のような激しい起伏はないものの、二階建ての大型バスが通るのにはギリギリの車線幅なのには変わりなく、見通しの利かない急カーブはヒヤヒヤものだ。
後ほどバスの乗り換えのために下車することになる大潭峡の三叉路で石澳道に入り、尾根伝いに鶴咀半島を南下。そういえば先程から所々で工事のために片側通行となっており、日本ならば白旗と赤旗を振って合図したりするものだが、こちらでは表が緑(=進め)、裏が赤(=止まれ)で塗られた円板をクルンと回して合図するようになっている。ずっと立ちっぱなしということで常々大変な仕事だと思っているが、香港ではこの円板を回す係の人、なんと椅子に座っている。日本でもこの方式にしたら楽なのに。
道の両側は崖や樹木で遮られてなかなか視界は開けないが、石澳道が最も南へ突き出る辺りでようやく右手に海がじっくりと眺められるように。
《赤柱方面》
その南端でバスは鶴咀というバス停に立ち寄るために一旦石澳道を外れるが、その途中で左やや後方を振り返ると、石澳の街並みと海水浴場の砂浜を俯瞰することが出来る。鶴咀でUターンして戻ってくるので、帰りは右やや前方に同じ景色が広がる。
ここから高度をぐんぐん下げていき、かなり北上したところで180度方向転換。最後はゴルフ場の横を通過し、終点の石澳バスターミナルに到着する。シャウ箕湾からの所要時間は20分少々、それにしてはとんでもなく鄙びた空気をバスを一歩降り立った瞬間からひしひしと感じるが、村の様子は次回以降またじっくりと。
《石澳ターミナルに到着した9系統のバス(方向幕は既に折り返しのために変換済み)》
(2008.12.23)
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