香港2008 (3-3)石澳(セックオー)・その1
《バスターミナル周辺の風景》
村の中心部へはバスで来た道をそのまま進めば良いようだ。バスターミナル周辺には何軒かの商店や食堂が並んでおり、ちょっとトイレを借りられないか・・・と、ある食堂の前で立ち止まっていたところ、通りに面したテーブルでくつろいでいたオッチャンが何やら広東語で話し掛けてくる。どう見たって地元の人なので「ごめん、広東語解らないんだ」と英語で答えると、思いがけず「何が欲しいの?」と英語で返事が返ってきた。おお~。
結局その店でホットコーヒーを注文。お目当てのトイレを無事済ませ(初めて見る香港式の和式トイレで面食らいましたが)、モーニングコーヒーと洒落込む。前回の香港旅行でふらりと訪れた錦田の飲茶の店を思い起こさせる雰囲気で、どこか中国の田舎の村に迷い込んだかのよう。メニューの表紙にも登場しているこの店の可愛らしいマスコット犬が客に愛嬌を振りまき、何とも平和で緩やかな時間が流れている。
しばらくの間心地よい空気に浸り、さっきのオッチャン達と店員のオバちゃんの笑顔に見送られて再出発。すぐにロータリーのある三叉路に出てくるが、家並みの立て込んだ左の道へ。乗用車がやっとすれ違える程度の細い道で、トラックが対向車と鉢合わせしてバックしていた。建物の外壁は緑やオレンジ、ピンクといったビビッドな配色が多く、こういった鮮やかな色合いの建物がこの村の文字通り特色なのだということに程なくして気付いたのだった。
《(上2枚)村のメインストリート?》
路地に入ると、海辺の村らしく天后廟(海の守り神を祀る廟)が。ヨーロッパのどんな小さな村にも必ず教会があるように、中国や台湾、そしてここ香港でも廟は常に暮らしと共にある篤き信仰の場。隅々まで美しく手入れされた外観もさることながら、壁に貼られたタイル画の数々が見事である。
《天后廟》
《天后廟前の鮮烈なブルーの家》
更に路地の奥へ向かっていくと・・・
とうとう海岸に出てくる。この辺りは岩場になっており人影は全く見当たらないが、まだ出来て間もない綺麗な公衆トイレがあったのには感心してしまった。はるか遠くには将軍澳の高層マンション群が幻のように浮かんでいる。
そのまま路地を東へ縫って進み、石澳山仔と呼ばれる丘の上の住宅地へ。石澳村の素朴な街並みとは一転、敷地を贅沢に取った邸宅街が広がっている。ここ石澳には古くからの住民はもちろん、外国人も多く暮らしているそうな。別荘地を思わせる佇まいではあるが、都心からも決して通勤できない距離でもないわけで、一体今自分が田舎に居るのか都会に居るのか混乱してしまいそうになる。
《(上2枚)石澳山仔》
石澳山仔を通り抜け、再び白波の打ち寄せる海辺へ。ここがあの高層ビルの林立する中環からものの1時間で来られる場所だとは俄かに信じ難い。
集落のほうへ戻り、路地裏を彷徨いつつビーチへ向けて歩いていく。迷路のように入り組む狭い路地、白壁の家と反響する足音。ここは香港のミコノス島――というのは流石に言い過ぎだろうか。
《石澳の路地とギリシャ・ミコノス島の路地。こう並べてみると似てませんか?》
タダの田舎とはやはり違い、カラッと垢抜けた空気とオフシーズンでもほのかに漂う観光地の香り。香港人と西洋人の子供が仲良く遊んでいる光景に国際都市香港を実感する。
次回はビーチへ向かいます。
(2008.12.23)
« 香港2008 (3-2)リゾートバス、買い出しバス | トップページ | 香港2008 (3-4)石澳(セックオー)・その2 »
« 香港2008 (3-2)リゾートバス、買い出しバス | トップページ | 香港2008 (3-4)石澳(セックオー)・その2 »
コメント