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2009.08.27

香港2008 (3-7)淺水灣(レパルスベイ)にて

淺水灣の読み方も、外国人観光客にとっては赤柱と同様に英名の「レパルスベイ(Repulse Bay)」が馴染み深い(広東語では「チンソイワン」)。《淺水灣海灘》でバスを降りたすぐ山側には、ある意味この街のシンボルとも呼べる、とある建物がこちらを見下ろしているが、そちらは後回しにしてまずは階段を下りて海岸へと向かう。

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ここは香港を代表する大規模な海水浴場で、大きな更衣室・シャワールームも備えられて設備も充実。つい3時間前には大潭の山中で冷たい風に打ち震えていたというのに、すっかりうららかな陽気が戻り、浜辺には水着の若者までいる。後ほど海岸に設置された温度計を見たら20度とのことで、そういえば数年前の12月に沖縄の八重山諸島を訪ねた際にも、少し気合を入れれば泳げそうなくらいに暖かかった記憶があるが、こちらもまるで常夏のようなムードである。

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背後の山腹にはモダンなリゾートマンションや邸宅が乱立し、ここもまた赤柱と同様に無国籍な雰囲気。ところで数多あるガイドブックでこの街を紹介する記事にはおしなべて「淺水灣は映画『慕情』の舞台で・・・」と書かれているが、「そんな映画聞いたこともねぇなあ」と思っていたら、それもそのはず公開は1955年という古典映画。20代の自分は知らなくて当然である(但し主題歌は誰でも一度は耳にしているほどに超有名。こちらのYouTube動画をどうぞ)。内容もわりとベタな恋愛ドラマだそうで、昔の淺水灣の風景を見てみたい気持ちも山々ながら、「わざわざTSUTAYAに借りに行くのもなぁ・・・」と二の足を踏んでいる状態である。

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浜辺をずーっと南東(赤柱へ戻っていく方向)へ歩いていくと、淺水灣で唯一観光地らしいスポット、天后廟に到着。いかにも中国らしいハデハデの極彩色の寺院が出迎えてくれる。

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日本人が神社でする願い事といえば、「家族が幸せに過ごせますように」とか「病気が治りますように」といった感じで、抽象的というか奥ゆかしいものが多かったりするが、こちらでは「良縁に巡り会えますように」「長生きできますように」「お金持ちになれますように」といった、より即物的かつ自分本位なものが目立ち、境内にも硬貨をかたどった石碑が置かれていたりする。とはいえ人間の根源的な欲求を包み隠さず露にするというのは却って清々しく、とかく堅苦しさの付きまとう日本の神社仏閣などよりは余程人間味に溢れているとも言える。もっとも、日本でも近頃は拝金主義的な風潮が蔓延し始めているので、絵馬に「お金がい~っぱい欲しい!!」と堂々と書かれる風景が当たり前になる日もそう遠くないかもしれない。

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ここで韓国人のカップルに記念撮影を頼まれるが、渡されたのはデジタル一眼レフ。最近は量産効果による価格の低下も相まって、特に写真を趣味としていない人でも一眼レフを携えているのを旅先でよく見掛けるが、いくら画質や撮影の自由度に優れているとはいえ、一日何万歩も歩く自分にとってはあんな重いものは只々負担になるばかり。ということで、弊ブログの写真は今後も機動力重視のコンデジ一本で参りますのでどうぞヨロシク(何が?)。

山側に目を転じると、浜辺に沿って近日オープンらしい商業施設の細長い建物が内装の最終段階に入っており、さらに丘の上ではくびれた円柱の建物がビニールシートに覆われて建設中。まだ他に何か造るつもりらしくクレーンも一台見える。

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その浜辺沿いの建物の横を抜け(舗装されて砂浜よりも歩き易いので)、淺水灣海灘バス停へ戻る。そのまま階段を上がり、穴あきビルとして有名な高級マンション、『影灣園(The Repulse Bay)』の敷地内へ。風水の龍脈の流れを妨げないようにわざわざ穴を空けたというが、「じゃあ最初から建てなければいいのに」というツッコミが多数入ったとかないとか。中環の香港上海滙豐銀行や中国銀行タワーといった現代建築でさえその思想を大胆に採り入れているあたり、風水は香港人の精神世界に深く根ざした思想であることがよく分かる。

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この建物の低層はショッピングセンターになっているが、表には青々とした芝生が広がり、「シュシュシュシュシュシュ・・・」とスプリンクラーが絶えず水を撒いて手入れに余念がない。コロニアル様式(とガイドブックに書いてありましたので)の中庭の周りにはオシャレな面構えのショップがずらり。「あなた方下々の者とは住む世界が違いますことよ。オホホホホホ」とご婦人の高笑いが聞こえてきそうなセレブ~な空間である。ケッ、スノビッシュな・・・

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城巴73 淺水灣海灘香港仔海濱公園

ここの住人の皆様は高級車を駆ってお出掛けになるのですね・・・などといじけつつ、庶民の私は淺水灣海灘のバス停から最後の目的地・香港仔を目指す。ここを通るのは殆どが香港仔の手前で香港島北岸へ抜けてしまう路線で、南の海岸線をそのままトレースするのは大型バスでは73系統のみ。西灣濾水廠ほどではなかったが、ここでも結構長いこと待たされてしまった。

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《淺水灣海灘バス停》

レパルスベイは浅い水の湾と書くが、ここからバスで少し西へ走ると対になる地名として深水灣(Deep Water Bay)という場所があり、林に囲まれた海岸にはバーベキューの設備が整っている。入り江の奥にあるため、リゾート然とした淺水灣とは対照的にぐっと静謐で落ち着いた空気を車窓からでも感じる。

更にしばらく行くと、銅鑼灣・ハッピーバレーへ抜ける香港仔トンネルのインターチェンジに差し掛かる。運動場が広がり、この辺りから徐々に都会っぽくなってくるかと思えば、バスはいきなり煤けた工業ビル群の間へ。つい5分前は静かな入り江の畔を走っていただけあって、物凄い落差にびっくりである。

劇的な車窓の変化についていけないまま、香港仔の中心近くの《香港仔海濱公園》バス停で下車する。

(2008.12.23)


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