香港2008 (5-10)曾大屋にて
《車公廟駅・駅舎》
車公廟駅から曾大屋へは、途中地下道をくぐって徒歩で10分弱。香港域内ならば辺境だろうと離島だろうとあらゆる場所に立っている、親切な案内サインに従って行けばすぐの道のりである。やがてテニスコートとサッカー場を併設した緑豊かな公園に出て、頭上の馬鞍山線の高架を時折音もなくスーッと電車が通り過ぎていく。少し園内を進んだところで、木々の切れ間から曾大屋(ツァンタイオッ/Tsang Tai Uk)の黒々とした城壁が視界に飛び込んできた。
曾大屋は約150年前に造られた客家の城壁村で、創設者の出身地の建築様式で建てられた為に、他の新界の城壁村とは趣を異にしているという。
ここは吉慶圍や屏山文物径の上璋圍と同じく現役の住居になっており、観光客の見学も容認している模様だが、入り口の掲示板には「敷地内で喧嘩に巻き込まれたり、不慮の事故が起こった場合には責任を負いません」としっかりと明記してある。誠にごもっともな話で、これも契約社会であるイギリスの慣習に則ったものなのだろうか。
せっかくなのでちょっとだけ敷地内にお邪魔させて頂くことに。他の場所では城壁村と言えども、残っているのは城壁だけで中は現代の建築にリビルドされているというケースが多いのだが、ここに関しては創建当時の原型をほぼそのままに留めており、非常に見応えがある。周りは高層住宅に囲まれているが、ここだけが時間の流れから取り残されたようだ。
それでも頻繁に住民が出入りしている上、目の前には公園と馬鞍山線の高架があり、しかも裏山の山腹には高速道路まで通っているので、ひっそり…という感じではない。伝統建築であるのは勿論だが、それ以前に暦とした今を生きる暮らしの場であり、伝統か変化かという浅薄な二元論を超越したかのような毅然とした佇まいであった。
さて、時刻は午後4時半。日没までには中途半端に時間が余ってしまい、どう過ごそうかと思案したが、折角馬鞍山線の沿線に来ているわけで、この路線で終点まで行ってみることにする。ここからだと沙田圍駅も近いのだが、そうすると車公廟~沙田圍間が未乗で残ってしまう可能性も考えられるため、車公廟駅へ戻ることに。
というわけで次回へ続きます。それにしても今日の出来事は長くなりそうですね…。
(2008.12.25)
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