香港2008 (5-11)馬鞍山線(大圍~烏渓沙)
車公廟駅へ戻り、烏渓沙行きの電車に乗車。出発して間もなく、右手に今しがた訪れたばかりの曾大屋を見下ろすように。さすが新線と新車のコンビだけあって、乗り心地は素晴らしいの一言である。
沙田圍・第一城と、駅を取り囲むように高層住宅が立ち並ぶニュータウンを抜け、石門を出ると左を城門河(Shing Mun River Channel)、右を山に挟まれた狭い回廊のような場所を進む。この区間では線路は大老山公路(Tate's Cairn Highway)の上下線の間を走っており、駅間距離も長くなるので列車は線内の最高速度へ達するが、防音がしっかりしているので走行音は極めて静かだ。実は大圍~恒安間では、城門河と沙田海を隔てて僅かの距離で東鉄線と並行している。
線名にも冠せられている馬鞍山駅はこの路線最大の拠点駅のようで、ニュータウンどころか最早一つの独立した都市を形成していると言っても過言ではないほどの大規模な開発が行われていた。この馬鞍山線、全線に渡って海と山に挟まれた狭い土地を走っているのだが、なにせ人口密度が非常に高いわけで、線的輸送を身上とする鉄道にとってこの上なく有利な条件であることが見て取れる。
恒安駅から馬鞍山駅に渡って展開する巨大なニュータウンエリアを抜けると、途端に風景は寂しくなり、最後の一駅はオマケみたいな様子で終着駅の烏渓沙(Wu Kai Sha)に到着。大圍からでも15分程度の乗車時間である。駅に着くや否や先頭車両に駆け寄り、お顔の写真を一枚パチリ。馬鞍山線のほかに西鉄線や東鉄線でも運用されている新型車両だが、東鉄線の所属編成は少数派で、西鉄線内でも全駅ホームドア装備なもので、なかなかこうやってクリアに眺める機会はないのである。
一旦改札を出て駅舎の周りを歩いてみる。駅南側には数えるほどのアパートが並んでいるものの、北側は広大な更地が広がるのみ(地図によると駐車場の跡地とのこと)。駅前につきもののショッピングセンターもここでは見当たらず、馬鞍山まで伸ばすついでに線路を引いてきました、という感じの閑散とした駅である。無論これから幾歳月を経ればそれなりの発展を見せる筈ではあるが。
駅南側にはバスターミナルが隣接しており、海鮮料理で有名な西貢(サイクン/Sai Kung)へのバスも発着しているが(99系統)、これから訪れるにはちょっと時間が遅すぎるので今回は諦める。そこで都心方面へ向かうバスを探してみたのだが、このバスターミナルからは出ていないようだ。というわけでそのまま馬鞍山線で大圍へ戻ることに。出来れば往復でバリエーションを付けたかったものだが、片道よりは往復の方が試乗の印象も深化するわけで、これはこれで悪くはない。
ということで再び電車に揺られて大圍へ。このまま東鉄線に乗り換えて九龍へ出ても構わないのだが、もう一工夫凝らして沙田駅前から81系統というバスを利用し、獅子山を越えていくことにする。間もなく日没ということで、ガイドブックによれば車窓から九龍の夜景が楽しめるとのこと。大圍から沙田へは東鉄線の上水方面行きで一駅である。
(2008.12.25)
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