香港2008 (5-13)香港一のダウンタウン
バスを降りて彌敦道と直角に交わる登打士街(Dundas St.)へ。早朝・深夜以外は歩行者天国になっている通りで、道幅いっぱいに人がひしめき合っている。地元の大阪や神戸では用事でも無い限り繁華街に近寄ることはまずないのだが、旅先、特に海外旅行先では別。会話が外国語なので耳に入ってくる情報量が圧倒的に少ないという要因もあるのだろうが、この喧騒が逆に心地良いのである。
《登打士街》
女人街へ行く前にとりあえず腹を満たしておきたいのだが、色々とうろついていたところ、店頭で火にかけられた土鍋が幾つもホカホカと湯気を立てている店を発見。ふーむ、これは初日に堅尼地城で食べた煲仔飯の専門店のようだ。丁度違う店で食べ比べをしてみたいと考えていた所なので、一人でも入り易そうな店構えなのもあってここに決める。
相変わらずバリエーションは盛り沢山だが、漢字は読めても意味がさっぱりなのでほぼランダムに近い形で適当に選択(所謂「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」方式)。注文を終えて一息ついていると、隣のテーブルにいた現地の男性が「日本人の方ですか?」と話しかけてきた。数年前まで日本の長崎で働いていた経験のある方で、日本語はペラペラ。今日は中国本土からやって来た友人を案内しているとのことだ。その後もしばらく雑談していたのだが、面白いことに男が3人集まっているというのに飲んでいるのは全員コーラ。なんでも香港人はあまりお酒を飲むという習慣がないらしく、喫煙率もかなり低いというから(これは世界トップレベルの長寿命という統計にも明確に現れている)、元来酒もタバコもやらない自分にとってはナチュラルに順応する土地のようだ。尤も、アジア人はアルコールの消化酵素を持っていない(或いは少ない)人が多いわけで、考えてみればごく自然な話でもある。宴席とて豊かな人間関係と美味しい料理があればコミュニケーションには十分なはずなのだが、日本に依然として蔓延っているアルコールハラスメントや酒狂いの撲滅には、悲しいかなまだまだ長い時間が掛かりそうである(下戸がいない欧米でとっくにポピュラーな存在であるノンアルコール飲料が、潜在的なニーズにも拘らずここ数年で漸く日本でも普及の兆しを見せ始めているというのも、日本社会の後進性を象徴していて滑稽だ)。
そうこうしているうちに煲仔飯のご到着。店員サンが蓋を開けてくれるが、その瞬間にモワっと上がる白い湯気の向こう側に現れたてんこ盛りの具。タレをかけてジューっと上がる音と立ち昇る香りがまたよい。B級グルメではあるが、狭い店内で見ず知らずの客と肩を寄せ合ってホフホフと頬張る味は、旅情も相まってまた格別なものがあった。
店を出て、男性との別れ際に「次香港を訪れる時には連絡を下さい」と勤務先の名刺をいただく。何故か「一人でも大丈夫ですか?」と心配されてしまったのだが、いやいや、大丈夫どころか一人で地球の裏側にも行ってしまうんですが(笑)。昨年の台湾に引き続き、またしても個人旅行ならではのステキな出会いに恵まれたのだった。
さて、いよいよ女人街へ…と思ったが、登打士街をウロチョロするのもまた楽しく、寄り道してデザート代わりにココナッツミルクを一杯。日本で歩き食べをするのは行儀が悪くて気後れしてしまうのだが、郷に入れば郷に従えということで、国外では躊躇いもなく次から次へと手が出てしまうのは不思議である。
そして本題の女人街へ(通り自体の名称は「通菜街(Tung Choi St.)」)。前回の旅では油麻地の男人街(廟街)を訪れており、こちらは女人街と銘打つからには目のやり所に困りそうなヒモパンとかの品揃えが充実しているのでは、と期待交じりで想像していたのだが、どうしてどうして他のナイトマーケットと変わらないフツーのラインナップである。これだけ有名になってしまった手前、均質化してしまいなかなか個性を打ち出しにくくなったということなのか。
《(上3枚)女人街。トラブルを避けるために大っぴらな写真撮影は控えたほうが無難》
マーケット内をぷらぷら歩いていると、どこからともなく「ニセモノトケイ」という声が。お~、本当にいるんだ~とちょっと感動である。といっても日本人だとバレているわけではなく、それらしき風貌の人に片っ端から声を掛け、日本語に反応した人を捕まえているだけなので、無視していれば何の実害もない。21世紀に入っても未だ絶滅しないところを見ると、やはりネタ混じりに買っていく輩が後を絶たないということだろうか。
女人街の途中で交わる山東街にはこんな店も。いや、たこ焼きのチェーン店の中では好きな所なんですけどね。なんでも高い地代と日本からわざわざ輸入している生地とでコストが嵩み、全然採算に乗っていないらしい。それでも無理して出店しているのは、やはり海外進出という実績をこしらえる為か。
ランガムプレイスを正面に捉えて。
夜の街の楽しみは尽きないが、尖沙咀の方も歩いてみたいので、ある程度満足したところで彌敦道から尖沙咀碼頭行きのバスに乗り込んだ。九龍バスの最新型の車両で、LEDによる次停留所案内に加えて英語のアナウンスまであるのだから素晴らしい。英語による案内が完璧に整備されているのとオクトパスカードの利便性のお陰で、香港は恐らく世界一路線バスの利用しやすい国だろう。
長くなりましたが、今日の出来事の話は次エントリで終わりです。
(2008.12.25)
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