「きのさき」「北近畿」系統に287系新型電車登場
かねてから投入が予告されていた山陰本線・福知山線特急の新型車両ですが、先日プレスリリースが出まして、形式は287系に決定したようです。
特急「きのさき」「北近畿」などへの新型特急形電車の投入について(JR西日本)
エクステリアについては「サンダーバード」や「はくたか」で運用されている683系の進化形といったところでしょうか。681系以来連綿と続いた、あの貫通先頭車のしまりのない顔は今一つ好きになれなかったのですが、ここへ来てようやくデザインと呼べる域に達したようです。どこかJR北海道の789系を彷彿とさせますね。
車内設備は683系を踏襲し、JR東日本の近郊型電車では既に標準となっている衝突対策のクラッシャブルボディを導入。新型「はまかぜ」と同様に、座席のグレードアップやシートピッチの拡大も盛り込まれ、関西に最後まで残った国鉄型特急電車の独壇場もいよいよ切り崩される日がやって来ました。
それにしても、現在のJR西日本を取り巻く情勢からは当然と呼ぶべきなのでしょうが、振り子機構が取り入れられなかったのは意外と言えば意外です。福知山線には舞鶴若狭道が既に完全並行しており、山陰本線に並行する京都縦貫自動車道も2013年に名神高速道路への直結、そして2014年の全線開通を控えているわけで、競争力の向上は喫緊の課題となっているわけですが、福知山線脱線事故の記憶も未だ新しい今の時点で高速化に踏み切るのは、マスコミの格好の餌食になることは間違いありません。
もっとも、舞鶴若狭道ルートで大阪へ出るには西日本一の渋滞のメッカである神戸三田IC~宝塚ICの区間を通過しなければならないですし、京都縦貫自動車道ルートにしても京都市内へ通じる名神高速の京都南ICから国道1号線にかけての区間はこれまた渋滞ポイントとして有名(従来の沓掛IC経由は言わずもがな、です)。従って鉄道には依然定時性については大きく分があり、すぐには競争力も消失するには至らないと考えられますが、やはり自動車交通のネットワークと対等以上に渡り合うには、現状の設備ではやや力不足の感も否めません。
いずれにせよ、20世紀も終盤まで都市近郊に非電化単線区間が残っていた福知山線が、ものの四半世紀でほぼ全面的に新型車両に統一される日が来ようとは、当時からは想像も出来ない大変貌ぶりです。特に篠山口以北のローカル区間にも2008年夏に223系が導入され(お陰で世紀の珍車と名高い113系3800番台が、10年にも満たない活躍期間で過去帳入りしてしまったのは些か残念という気がしないでもありませんが)、リニューアルが施されたとはいえ古参の183系は大きく見劣りしていただけに、沿線住民としてもまさに待望の登場となります。
営業運転開始は2011年春、「はまかぜ」系統の新型ディーゼルカーとの同時デビューの予定です。以前にも増して逆風の吹きすさぶ鉄道ではありますが、いよいよ間近に迫った北近畿ビッグXネットワークの大躍進に、心からのエールを送りたいと思います。
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